日本酒には甘口・辛口という味わいの種類が存在します。どちらが優れているということはなく、それぞれにファンがいます。
甘口のお酒の最大の魅力は、濃厚な飲み口で甘みを感じられることです。辛口の日本酒よりもアルコール感を感じにくく、女性や初心者の方からもよく親しまれています。
ここではそんな甘口の魅力や味わいについて、詳しく解説していきます。
※この記事を書いたお酒ライターAnchanのプロフィール
目次
日本酒の甘口とは?
日本酒の甘口・辛口は、日本酒に含まれている糖分や酸味の量で決まります。甘口といってもジュースのような甘さがするわけではなく、辛口も香辛料などが含まれているわけではありません。
わかりやすく解説すると、口に含んだ時の感覚や味の感じ方が異なります。辛口のお酒は糖分が少ないためスッキリとした印象で、アルコール感やキレ味を楽しめます。一方甘口のお酒は、一口含むと米由来の甘味がじっくりと口の中に広がっていきます。優しい甘さで飲みやすく、コクがあり飲みごたえ抜群なのが甘口の魅力です。
甘口のお酒は日本酒度がマイナス
日本酒の甘口・辛口を見極めるためには、「日本酒度」という値が参考になります。日本酒度とは日本酒の比重を表した単位であり、糖分がどれほど含まれているかを判断することができます。
「日本酒度浮ひょう」という比重計がどれだけ浮き上がるか沈むかで値が決まります。日本酒度が低い=比重計は浮くということになるのですが、比重計が浮くということは日本酒の中に糖分が豊富に含まれているということを意味しています。
- 日本酒+6.0以上:大辛口
- 日本酒度+3.5以上:辛口
- 日本酒度+1.5以上:やや辛口
- 日本酒度±0付近:普通
- 日本酒度−1.5未満:やや甘口
- 日本酒度−3.5未満:甘口
- 日本酒度−6.0未満:大甘口
日本酒度は、ラベルに記載されていることが多いです。特定のお酒が甘口なのかそうでないのかを判断する場合、ラベルで日本酒度の値を確認してみてください。
甘口の日本酒の選び方
日本酒の味わいは日本酒度=糖分の量だけでは決まりません。同じ日本酒度−3のお酒でも、ものによっては非常に甘く、反対に別の銘柄ではさほど甘くなく感じるということがあります。甘口の中から自分に合った日本酒を探す場合には、酸度以外の値にも注目してみましょう。
日本酒の味わいには、日本酒に含まれている酸の量が大きく関係します。日本酒にはコハク酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸が多く含まれており、これが味わいに変化を与えます。日本酒の酸度の平均値は1.3〜1.5であり、これより高ければ濃厚、低ければ淡麗な印象を受けます。同じ日本酒度の場合、酸度が高い方が刺激が強いため辛口のような味わいに感じられます。
酸度が高い甘口のお酒は「濃厚甘口」、酸度が低い甘口のお酒は「淡麗甘口」と呼ばれています。
甘口を楽しめるのは日本酒ならでは!
甘口のお酒は初心者でも飲みやすい一方で、「日本酒好き=辛口が好き」「日本酒ファンなら辛口の飲むべき」というイメージを保たれている方も多いのではないでしょうか。
もちろん辛口も美味しいのですが、日本酒の甘口には日本酒ならではの魅力があります。例えば多くの家庭や居酒屋に浸透しているビールは、キレの良さや喉越しを楽しむ淡麗辛口のアルコールです。蒸留酒である焼酎も日本酒のような甘さは再現されません。
もともと辛口の方が美味しくて上質というイメージがついてしまったのは、過去に質の悪い甘口のお酒が多かったことと、それを改善するために生まれた1980年以降のお酒が辛口のものが多かったためだと言われています。醸造の技術が向上した現代では、甘口でも上質な味わいの銘柄が多く存在します。
日本酒ならではの米の旨味や甘味を感じたい人は、ぜひ甘口の日本酒にチャレンジしてみてください。
甘口を飲む時におすすめの料理・おつまみ
甘口のお酒を飲む時には、砂糖やみりんを使った甘い味付けの料理がおすすめです。煮物やすき焼き、うなぎの蒲焼などとの相性が抜群です。また日本酒の甘味は酸味との相性もいいので、酢の物をおつまみに日本酒を嗜むのも良いでしょう。
ワインのようなイメージで、クラッカーにクリームチーズを添えたものをおつまみに選んで見るのもおすすめです。少しずつ味わうようにして、じっくり飲むのがいいですね。
お酒を飲むときに欠かせないのがおつまみです。美味しいおつまみと合わせれば、いつものお酒がより美味しく感じられるようになるでしょう。 ※この記事を書いたお酒ライターAnchanのプロフィール お酒におつまみを合わせるコツ おつまみとお酒には相性があります。もちろん自分が好きな食べ物を選ぶ...
日本酒甘口おすすめ銘柄10選
1.奥能登の白菊 純米吟醸
石川県にて作られているお酒です。長い日数をかけて丁寧に醸すことで、甘口ながらも重くなく、優しい口当たりのお酒です。雑味が少ないため、普段は甘口を飲まないという方や日本酒に親しみがない方にもおすすめの1本です。- 特定名称:純米吟醸
- アルコール度数:16%
- 日本酒度:−4.0
- 酸度:1.5
2.大関 極上の甘口
- 特定名称:普通酒
- アルコール度数:10%
- 日本酒度:−50
- 酸度:2.3
3.屋守 純米吟醸 無調整生
- 特定名称:純米吟醸酒
- アルコール度数:16%
- 日本酒度:−0.5~−2.0
- 酸度:1.7
4.勝山 純米吟醸 LEI SAPPHIRE LABEL
- 特定名称:純米吟醸酒
- アルコール度数:12%
- 日本酒度:−42
- 酸度:2
5.越後鶴亀 ワイン酵母仕込み 純米吟醸
- 特定名称:純米吟醸酒
- アルコール度数:13%
- 日本酒度:−35
- 酸度:1.3
6.東洋美人 純米吟醸50
- 特定名称:純米吟醸酒
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:−5.0
- 酸度:1.6
7.多満自慢 純米無濾過
- 特定名称:純米酒
- アルコール度数:14.2%
- 日本酒度:±0
- 酸度:1.3
8.富久錦 純米 Fu.
- 特定名称:純米酒
- アルコール度数:8~9%
- 日本酒度:−60
- 酸度:5.0
9.雪中梅 本醸造
- 特定名称:本醸造酒
- アルコール度数:15.7%
- 日本酒度:−3.5
- 酸度:1.2
10.八海山 発泡にごり酒
- 特定名称:発泡にごり酒
- アルコール度数:15.0%
- 日本酒度:−23.0
- 酸度:1.6
甘口のお酒はタイプが様々!好きな銘柄を探してみよう
一言で甘口といっても、その味わいは千差万別です。強い甘味を感じられるものから、コクがあり濃厚なもの、爽やかな甘さのものなど、好みに合わせて好きなものを探してみましょう。甘口のお酒の中にはアルコール度を抑えて作られているものも多いですので、今まで日本酒をあまり飲んだことがないという日本酒ビギナーの方にもおすすめです。もちろん日本酒が大好きという方も、ぜひ飲んでみてくださいね。
日本酒ファンの間で大きな人気を集めている「辛口」の日本酒ですが、実は基準をよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。 今回は辛口の日本酒について、どんな味がするのか、どんな点が人気なのかをまとめました。辛口の日本酒を見分けるポイントやおすすめの銘柄についてもご紹介していきますので、日本...