コアな日本酒ファンの間で人気の「原酒」ですが、いったいどういうお酒なのかご存じでしょうか。「味が濃い」「アルコール度数が高い」というイメージが強いかもしれませんが、原酒には濃度だけにとどまらない深い魅力があります。ここでは日本酒の原酒について、その特徴や製造方法、味わいをご紹介致します。
原酒とは
原酒とは、ひとことで説明すると「水を加えていないお酒」のことです。
通常日本酒造りでは、瓶詰めの前に水を加えてアルコールを調整する「加水」という工程が行われています。原酒はこの加水を一切行わず、発酵させて絞ったお酒をそのまま瓶詰めしています。加水は日本酒の味やアルコールのバランスを整え飲みやすいものにするという役割を持ちますが、これが行われていない原酒では「日本酒そのままの味わい」を楽しめることが特徴です。どちらかというと、初心者の方よりは日本酒好きの方やアルコールに強い方に人気のお酒になります。
原酒の見分け方
一般的にはラベルや名前に「原酒」と書かれています。そのほか、「無加水」という言葉が使われることもあります。無加水はその言葉どおり、水が加えられていないという意味で原酒の意味合いとおなじです。
一般のお酒に比べてアルコール度数が高いことがほとんどです。まずはラベルに記載された情報に注目してみましょう。
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原酒の特徴は?
原酒は加水されたお酒に比べどういった特徴を持つのでしょうか。比較すると以下のような特徴を持っています。
香り
加水されたお酒はややマイルドに香りが抑えられたものが多く、これに対し原酒はお酒本来の濃厚な香りが楽しめることがポイントです。使用されたお米の種類や作り方によって香りの違いはさまざまで、原酒はその違いをダイレクトに楽しむことができます。
味わい・飲み口
加水されていないため、力強くインパクトの強い味わいです。一口含めばガツンとした飲み口で、お米本来の甘みや旨みを強く感じられるでしょう。個性的な味わいのものが多いため、コアなファンがいるお酒でもあります。
アルコール度数
原酒のアルコール度数は19度前後のものが多いです。加水された日本酒は15度前後まで調整されたものが多く、比較すると3~4度ほど高くなっています。ちなみに酒税法で「日本酒はアルコール度数22度未満 」と決められています。
アルコールが強い分、パワフルなものになっています。クセが強く、個性の溢れるお酒といえます。
「原酒」と「生酒」の違いは?
原酒と間違えやすいのが「生酒」です。こちらもラベルに書かれていることが多く、正確な意味を把握していない方も多いのではないでしょうか。
原酒とは「加水されていないお酒」のことで、生酒は「火入れ処理が行われていないお酒」を意味しています。生酒は熱処理殺菌がなされていないため、フレッシュで若々しい味わいが特徴です。
加水、火入れどちらもなされていないものは「生原酒」と呼ばれます。同じ銘柄でもそれぞれ特徴が異なりますので、いろいろ飲み比べてみても楽しめるでしょう。
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原酒はどうやって飲むのがおすすめ?
基本的に通常の日本酒のようにお好みの方法で飲んで大丈夫ですが、濃厚さがポイントの原酒は以下の飲み方が特におすすめです。
オン・ザ・ロック
氷を入れるオン・ザ・ロックであれば、原酒の強いアルコールを少し押さえながら味の変化を楽しむことができます。原酒らしい風味はそのままに、少しマイルドに楽しみたい方におすすめです。
水割り
原酒:水=8:2程度の水で割ることにより、アルコール度数が下がり飲みやすくなります。通常の加水のお酒に比べて水を入れてから寝かせていないので、アルコールの強さは和らぎますが濃厚さや香り、キレ味は引き続き感じることができます。寒い季節は水割り燗にするのも良いでしょう。
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カクテルベース
個性が強く濃厚な原酒は、他のものと混ぜ合わせるカクテルにしても風味が損なわれず相性抜群です。フルーツやジュースで割ったときに、日本酒ならではの旨み・酸味をほどよく味わうことができます。レモンやライムでさっぱりと、カルピスで割ってマイルドに、炭酸で割ってすっきりとなど、お好みの飲み方を探してみてください。
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おすすめの原酒5選
ここからは、実際におすすめの原酒を5つご紹介していきたいと思います。これから挑戦したいという方や新しい味を求めている方などはぜひ参考にしてみてください。
風の森 純米しぼり華
こちらは無濾過原酒タイプのお酒です。無濾過とは言葉そのままで、製造過程で濾過をしていないお酒になります。酸味が強く、ささやかな発泡感を楽しめます。よく冷やして飲むと喉ごしがさわやかで、強いアルコールながらスイスイと飲めてしまうシリーズです。菊水酒造 ふなぐち菊水一番しぼり
雁木 純米無濾過生原酒 ノ壱
強烈な辛口が特徴的な原酒タイプのお酒です。辛口好きの方にはたまらなく、コアなファンが多いお酒です。男性的でパワフルな一本で、強いアルコール感を感じられます。どちらかというと上級者向けのお酒ですが、ぜひ試してみてください。久保田 千寿 吟醸生原酒
人気の高い久保田シリーズの原酒は、生酒タイプでフレッシュさと濃厚さをバランス良く感じられます。飲みやすさとキレのある味わいで、食中酒としても楽しめる一本となっています。加水タイプと飲み比べしてみても面白いかもしれません。菊姫 山廃純米呑切原酒
毎年7月に発売される夏季限定商品で、ロックやハイボールなど幅広い飲み方で楽しめるお酒です。「呑み切り」は、酒造期に火入れを行ったタンクから原酒を少し取り、異常なく熟成が進んでいるかを確認する工程です。原酒らしいボリューム感と軽快な味わいが特徴の日本酒です。原酒に合う料理やおつまみ
お酒の種類や飲み方にもよりますが、濃厚さと力強さが魅力の原酒にはそれに負けない味の濃いおつまみを合わせると良いでしょう。唐揚げやおでんなど、ボリューム感のある食事にもぴったりです。味に合わせて水割りやソーダ割りにするなど、飲み方を調節してもいいですね。
原酒の強い香りは食事と合わせても負けてしまわないので、魚介類などの臭みが気になる食べ物と合わせれば臭みを消してくれる効果も期待できます。ほっけなどの焼き魚やお刺身、カルパッチョなどに合わせて飲んでみてください。
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原酒の保存方法で気をつけること、賞味期限は?
日本酒には賞味期限が記載されていないものも多く、原酒は正しい方法で保存していればしばらく日持ちするでしょう。一番気をつけたいのは日光などによる劣化です。すぐに飲まない日本酒は直射日光を避け、冷暗所で保存しておきましょう。自宅の電灯などでも劣化する可能性があるため、長期保存の場合には新聞紙などにくるんで保管するのがおすすめです。
普通の原酒タイプであれば上記の方法でしばらく保存が効きますが、生原酒のタイプは注意が必要です。火入れをしていない生タイプは痛みやすいので、必ず冷蔵庫で保管し早めに飲みきるようにしましょう。
「原酒」で本来のお酒の味わいを楽しもう
原酒は、そのお酒がもつ本来の味わいや香りを楽しめるのが魅力です。地酒を試してみる場合やいつもと違う強い味わいを感じたいときなど、ぜひ原酒タイプのお酒に挑戦してみてくださいね。お好みの割り方や飲み方で、原酒タイプの日本酒を楽しんでください。