県の面積の1/6を占める日本最大の湖、琵琶湖を湛えるエリアが滋賀です。水と森林の豊かな自然があふれるこの場所は、雄大さや変化に富んだその風景は古くから「琵琶湖八景」や「近江八景」と呼ばれ、お酒を楽しむことにも適した場所といえるでしょう。
このような特徴を持つ滋賀は京都にも近く経済や文化の先進地としても栄えてきました。
今回この滋賀名産の酒器をいくつか紹介しまとめました。これを読めば滋賀の酒器について知ることができるでしょう。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
信楽焼のぐい呑み
全国各地に出荷される陶器の酒器滋賀県の南東部、甲賀市にある信楽地区で焼かれている焼き物が信楽焼です。狸の置物などで全国的に知られているこの焼き物は、日本六古窯のひとつとして古い歴史を持つ容器でもあります。温かみのある火色(緋色)の発色と自然釉によるビードロ釉と焦げによって独特の風合いを醸し出しているのが特徴の焼き物でもあります。
耐火性に富んでいることから巨大な陶器の制作にも適しており、置物、傘立て、庭園陶器、衛生陶器など装飾品から実用品まで様々な製品を生み出しています。このような特性から全国各地に発送され、大量生産が行われてきた側面もあります。
信楽焼のぐい呑みもその一つで、高い品質を維持しながら、多く作られてきた信楽焼の酒器です。安価でありながら堅牢な作りで、食洗器に入れてもびくともしない強さです。
木村年克 銀化鉄釉
昨日はワイン6杯で軽く酔いつつ、第2回埠頭さん訪問。金澤尚宜さんの飯碗、木村年克さんの銀化鉄釉のケーキ皿、高橋燎さんの箸置き黄色を購入。軽くて質感のいい飯碗はほぼ一目惚れ。軽くて陶器なのに銀色が意外で格好いいケーキ皿は、おやつはもちろんサラダも乗せる。箸置きも使って食卓の丁寧化を🥳 pic.twitter.com/rGNynpCclr
— さわら🐟 (@sawaramisoyaki) January 10, 2021
大津の作家の技術が魅せる
滋賀で焼き物というと信楽焼をイメージしますが、実は滋賀には信楽焼の特徴によらない個人作家による作陶も盛んです。この銀化鉄釉もその一つとして数えられ、独特な風合いが魅力的です。まるで錫の器のように鈍い銀色に輝くこの陶器は、鉄釉という特別な釉薬をかけることによって焼くことに成功しています。
手掛ける木村年克氏は大津にアトリエを構え、金属器のような陶器を多数生み出している作家として有名です。見かけは金属器でも持ってみると陶器の温かみを感じます。
古信楽の徳利
伝統的な信楽焼の手法で生み出された徳利古信楽には2つあります。骨董品的価値を持つ、古い年代に制作された信楽焼と伝統的な製法を用いて作られた現代の信楽焼です。今回紹介する古信楽の徳利は後者の信楽焼で、現代の生産設備で生み出された伝統的な製法の信楽焼です。伝統に則りスタンダードな製法である信楽の土を使って灰が融けてできるガラス質の釉薬を使ったシンプルな製法で生み出されています。
そのため、新品の徳利でありながら、味わい深い質感をかもした徳利になっているのが特徴です。もちろん実用性も意識しているため、電子レンジでお燗にするのも問題なく使える、クラシカルでありながら現代的な機能を持つ徳利に仕上がっています。
湖東焼のぐい呑み
もう一つの滋賀の焼き物で生み出されたぐい呑み
湖東焼は、信楽の北となる琵琶湖東岸で焼かれている焼き物で、同地を治めていた彦根藩の保護の元、始められたことで知られています。明治期になり、藩の保護がなくなったために途絶えた歴史を持っていますが、昭和に入って復活し現在に至ります。有田焼の職人を招いて作られた歴史を持っていることから、どこか有田焼のような絵付けや白さが光る風合いが感じられる焼き物です。
このぐい呑みも湖東焼の特徴をしっかり持っており、中国風の絵付けが九州の焼き物のような雰囲気です。滋賀で生まれたもう一つの焼き物で一杯飲んでみてはいかがでしょうか。
VANTECHのステンレスタンブラー
滋賀は、経済や文化の他、その地理的な要素から全国に発送しやすい利点があり、工業も盛んに行われています。このVANTECH(ヴァンテック)も滋賀の企業の一つとして滋賀の栗東市に拠点を構えています。もともと触媒技術を用いた様々な事業を行ってきましたが、プロダクトデザイナーの秋田道夫氏を招聘して一般消費者や飲食店に向けてステンレスタンブラーを発売しました。
触媒加工により飲料の雑味を取り除き、口当たりを変化させることに成功した独特のタンブラーと秋田氏の洗練されたデザインがコラボレーションし、現代的な酒器を生み出しています。晩酌のひと時を特別な体験にするタンブラーを体験してみてください。
米原の木製コップ
伝統工芸を生かした酒器
滋賀の北東、米原の上丹生(かみにゅう)地区は200年以上前から木工の産業がありました。その技術は高く木彫師を中心に塗師なども多く、仏壇の一大産地として知られる木彫りの里として現在も多くの木器が生み出されています。
この木彫り技術や塗装技術を生かしたのがこの酒器です。シンプルなデザインで場所を問わずに楽しめる酒器になっており、木器ならでは口当たりのやさしさや質感を十分に体験できます。使えば使うほど味わい深い風合いとなっていき晩酌のお供として長年付き合える酒器です。
信楽焼のビアカップ
実用性を意識したビアカップ信楽焼は実用性の高い焼き物として非常に多くの種類が生産されています。その実用性への追及は、現代になっても止むことはありません。この信楽焼のビアカップもその一つで、信楽焼をはじめとした陶器の持つ多孔質な性質を生かし、ビールの泡がとてもきめ細かく、クリーミーになるのが特徴です。
また信楽焼でビアカップを作ることで十分な強度も得られ、ビールの飲む頻度、洗う頻度を考えると信楽焼とビアカップは最適な組み合わせといえるでしょう。
信楽焼 ふくろうの焼酎サーバー
信楽焼の定番をサーバーに
信楽焼といえば狸のイメージですが、実はフクロウの置物も信楽焼の定番です。このフクロウをモチーフに焼酎サーバーにしたのがこの酒器で、フクロウの愛嬌ある表情が焼酎をより楽しませてくれるでしょう。
焼酎サーバーとしての機能も申し分なく最大容量2.2リットルは、一升瓶の焼酎も丸々入るサイズです。いつもの焼酎をより気軽に美味しくいただける最良のパートナーとなってくれるでしょう。
まとめ
滋賀は、信楽焼を中心とした陶器の酒器が中心ですが、それ以外にも様々な個人作家や湖東焼といった焼き物も存在します。
豊かな自然と共に酒器のバラエティに富んでおり、工業技術を生かした現代的な酒器もみることができました。このように多くの酒器の中からきっと相性の良いものを見つけることができるのではないでしょうか。信楽焼だけではない、滋賀の酒器の魅力を存分に楽しんでみてください。