日高見は「ひたかみ」と読む日本酒の銘柄です。1861年に宮城県石巻市で生まれたという、たいへん長い歴史をもつ蔵元が造ったお酒です。長年愛されてきた吟醸酒は、深い味わいとコクが魅力です。
名酒と名高い日高見について、その歴史や味わいをご紹介します。お酒選びの参考にぜひ読んでみてください。
※この記事を書いたお酒ライターAnchanのプロフィール
日高見を造っているのは「平孝酒造」
平孝酒造は港町として知られる宮城県石巻市に位置しています。創業は古く、1861年にまでさかのぼります。もともとの母体は岩手県にある「菊の司酒造」で、そこから分離して蔵元ができました。
石巻にある世界三大漁場のひとつ「金華山沖」はとても有名で、毎年上質な魚介類が水揚げされます。ここで造られるのは、魚との相性が最高の地酒です。やわらかく透明感があり、きりっとした後味が魅力のお酒です。
「日高見」という銘柄が使われ始めたのは1990年ごろのことです。平孝酒造は昭和のころに廃業寸前となるほど厳しい状況だった時期がありました。そこで状況を打開するために試行錯誤して作られたのが「日高見」で、バランスの取れた辛口がたいへん人気を集め一躍有名になりました。
東日本大震災を乗り越えて
2011年には東日本大震災の津波によって被災してしまいますが、被災した酒を「震災復興酒 希望の光」として販売するなど復興への努力をひたむきに続けました。
復旧ではなく、進歩を!と平井さん。震災後、蔵の復旧作業と同時に県の産業技術センターと、より美味い酒作りを目指してきた。宮城の酒といえば[日高見]
石巻、株式会社平孝酒造
あちこちの通販でも買えます。 pic.twitter.com/hEJjeqAPyL
— masuhisa kimura (@masuhisakimura) April 29, 2015
さらにそこから2年半をかけ、設備をステンレス張りにするなど改善も重ねていきました。環境を変えたことで温度や衛生管理がより徹底できるようになり、品質の向上にもつながっています。
長年の歴史と伝統だけに頼らず、常に新たなチャレンジをしているのが今の平孝酒造の魅力です。近年では、いままでの南部杜氏の引退をきっかけに、地元の蔵人が酒造りを行うようになりました。より良い地酒造りを目指して、いまも成長し続けています。
日高見の味わいについて
日高見の仕込み水には、牡鹿半島の伏流水が使われています。これによりスッキリとした味わいが表現されており、食中酒としても飲みやすいように仕上がっています。
酒米と共に日本酒原料に欠かせないもの、それが仕込み水(しこみみず)です。 この仕込み水は日本酒の成分の大きな部分を占めているものであり、味わいにも関係の深い材料と言えます。 ランニングフリージー 今回、この仕込み水についてその概要や適した水、味への影響や硬度別の代表銘柄につ...
これらの原料を使用し作られた「日高見」は、バランスの良さがポイントです。魚料理に合う日本酒を目指して作られているそうで、程よい香りとさっぱりとした味わいが魅力です。いつまでも飲み続けていられるような味で、地元だけでなく全国区で愛されています。
日本酒はお米を原料にして作られています。日本人の主食であるお米から作られているのでとても身近に感じられるお酒ですよね。 日本酒はお米が原料になっていますが、どんなお米でも日本酒を作れるわけではありません。日本酒を作るのに向いているお米とそうでないお米があります。またどのようなお米を使って日本酒を作...
「日高見」シリーズをご紹介
ひとことで「日高見」といっても、純米大吟醸・純米吟醸酒・純米酒とその種類はさまざまです。ここではこんな日高見の各シリーズについて、それぞれご紹介していきます。
日高見 純米酒
定番の純米酒は、冷や~常温~お燗とさまざまな温度で楽しめるのが良いところです。フルーティーな味わいの中にしっかりとしたお米由来の旨味がつまっており、後味はスッキリとしています。初めて日高見を飲むという方は、ぜひこちらを飲んでみてください。- 原料米:蔵の華
- 精米歩合:55%
- アルコール度数:15.0~15.9%
- 日本酒度:+3
- 酸度:1.5
日高見 超辛口 純米酒
その名の通り、超辛口の純米酒です。辛いだけでなくきちんとしたコクと旨味もあり、魚介類との相性抜群です。インパクトのある味わいは、辛口好きの方にぴったりです。冷やせばよりキレ味が増し、お燗につければ旨味と香りが引き立ちます。季節によって飲み方を変えるのもおすすめです。- 原料米:ひとめぼれ
- 精米歩合:60%
- アルコール度数:15.0~16%
- 日本酒度:+11
- 酸度:1.7
日高見 純米大吟醸 しぼりたて生酒
酒米の王様とも呼ばれる山田錦、その中でも特に上質と言われるものを使用した純米大吟醸のボトルです。上品な吟醸香で贅沢感を楽しめ、一口含むとバランスの取れた酸味と旨味を感じます。後味はスッキリとしており、ついつい飲みたくなるお酒です。四葉のクローバーとてんとう虫があしらわれた可愛らしいラベルは、ギフトに選んでもいいでしょう。
- 原料米:山田錦
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:16%
- 日本酒度:+2~+4
- 酸度:1.6
日高見 純米大吟醸 Daccha だっちゃ
「Daccha」は宮城の方言だっちゃに由来しています。地酒として話題性もあるネーミングなので、宮城出身の方と楽しむ時やおみやげ・ギフトに選んでも面白いでしょう。もちろん名前だけでなく、味も一級品です。酒造好適米「蔵の華」が生み出す芳醇な香りと、奥行きのある旨味を堪能できるお酒です。- 原料米:蔵の華
- 精米歩合:40%
- アルコール度数:16%
- 日本酒度:+3
- 酸度:1.4
日高見 中取り大吟醸 ベネチアンボトル
こちらは日高見シリーズの中でも、季節・数量限定で発売される特別感のある1本です。山田錦の中でも最上級の特Aのものを使用しており、さらにお酒を絞るうえで一番上質な部分とされる“中取り”のみを詰め込んだ、高品質のボトルです。ちょっとしたお祝いなどにも飲めるような、贅沢感のある日本酒です。いつものお猪口ではなくワイングラスで飲んでみるなど、こだわりながら飲んでみてください。
- 原料米:特A吉川産特上米山田錦
- 精米歩合:40%
- アルコール度数:17%
- 日本酒度:+3
- 酸度:1.4
日高見 純米大吟醸 虹の応援ラベル
平孝酒造は、東日本大震災の際たくさんの応援をいただいたことから“恩返し”を目指していました。2020年の新型コロナウイルス感染拡大を受け暗いムードのなか、お酒の力で明るさを届けたいと作られたのがこの“虹の応援ラベル”です。ラベルに書いてある「Andrā tutto bene」の文字は、大丈夫きっと全て上手く行くという意味を持っています。味わいは甘みと酸味、旨味がまとまっており、クリアで心地よいです。元気を出したいときに飲んでみてはいかがでしょうか。
- 原料米:山田錦
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:16~17%
- 日本酒度:-
- 酸度:-
日高見 超辛口純米吟醸 弥助
日高見の蔵元である平井氏は、大の鮨好きとして知られています。そんな蔵元が鮨に合うお酒として造ったのがこのボトルです。お酒を考えるにあたり、東京中のお寿司屋をめぐったと言われるほど、こだわり抜かれた絶品です。お酒好きの方はもちろん、鮨好きの方にもぜひ試していただきたいシリーズです。- 原料米:蔵の華
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:16%
- 日本酒度:+4
- 酸度:1.5
日高見の楽しみ方、合わせたい料理
港町で生まれた「日高見」は、主張しすぎないので食中酒にぴったりです。特に相性がいいのが魚介類とされており、白身・赤身・貝類などなんにでも合わせられます。
季節によって楽しみ方を変えてみるのもいいでしょう。
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程よい旨味とさわやかさ、キレ味で主張しすぎない「日高見」は、魚介類をはじめとした食事にぴったりのお酒です。美味しいのにも関わらず、リーズナブルで親しみやすいのもポイントです。
特に辛口が好きな方にはイチオシです。お気に入りの飲み方を見つけて、味わってみてくださいね。