国産ウイスキーと言うと、サントリー、ニッカ、あるいはキリンディスティラリーと言ったアルコール飲料大手が手掛けているイメージを持っている方は少なくありません。

このマツイ ピュアモルトウイスキー倉吉やマツイが手掛ける魅力的なウイスキーについて今回紹介していきましょう。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
目次
「マツイピュアモルトウイスキー」の魅力
マツイ ピュアモルトウイスキーの魅力は、国産のウイスキーを製造しつつ、海外のウイスキーを輸入して独自のブレンドを行っていることです。
松井酒造自体も当然ウイスキーを醸造しており、鳥取県の倉吉で蒸留されているウイスキーは山陰地方らしさを表現していることから、それも魅力となっています。
また、海外のウイスキーを輸入し、独自のブレンデッドウイスキーを販売しているのも魅力です。
自社で作っていないウイスキーを使っていることに違和感を感じる方も少なくありませんが、海外では外部のウイスキーを集めてブレンデッドウイスキーを生産しているところもあり、松井酒造もそういった手法を取っているラインナップも存在します。
しかし松井酒造は単にブレンドをして終わりではなく、加水時に倉吉市の大自然の地下水を使用しているのが魅力です。
もともとウイスキーは40度程度のアルコールではなく、樽から直接出したものは50度以上になっていることも少なくありません。
そんなウイスキーを適切なアルコール度数にするために加水を行いますが、鳥取の酒造りに適した天然水を使うことでウイスキーの魅力をより高めているのが特徴です。
「蒸留所」について
マツイピュアモルトウイスキーを蒸留する松井酒造は2017年に単式蒸留を行うポットスチルを3基導入しました。
つまり、2020年にようやく3年目に入り、独自のウイスキーのみで販売するにはもう少しかかるものと考えられます。
ただ、これだけの規模を持つ蒸留所は山陰地方にはないため、山陰発の本格ウイスキーの提供開始が期待されています。
日本酒や焼酎などを作る酒造りに適した天然水で作ったウイスキーであるため、高い品質も期待できるのではないでしょうか。
松井酒造自体は明治43年に設立され、日本酒を中心に焼酎やリキュールなども手掛けています。
そんなノウハウを生かしているという点も注目すべきポイントです。
「マツイピュアモルトウイスキー」の歴史
マツイピュアモルトウイスキーの歴史にも触れていきましょう。
マツイピュアモルトウイスキーの歴史は比較的新しく、ウイスキー製造免許を新規取得した2015年に始まります。
当初自前の蒸留所を持っていなかったため、もっぱら海外のウイスキー(スコットランド北部で厳選した原酒)を輸入し、鳥取の天然水で加水して品質を調整するということが行われていました。
その後2017年に単式蒸留器を3基導入し、自前のウイスキー作りを始めます。
そしてマツイピュアモルトウイスキーのレパートリーを徐々に増やしていき、海外のウイスキー品評会でも高い評価を得るようになりました。
このように海外のウイスキーを利用して、独自のブレンド技術にこだわり、これによって高い品質のウイスキーを提供する姿勢をもって現在にいたります。
評価や受賞実績
マツイピュアモルトウイスキーやマツイのウイスキーの評価や受賞歴は、主にIWCとUSCの二つのウイスキー品評会で評価され、賞を取っています。
まずIWCはInternational Whisky Competitionという品評会で、アメリカのウイスキー品評会です。
毎年開催されており、ここでマツイピュアモルトウイスキーが表彰されました。
実績は2019年にBest Japanese Whiskyとして倉吉 シェリーカスクが1位を、倉吉18年が3位を受賞しています。
これ以外にも2019年は賞を多く取っており、Best Pure Malt Japanese Whisky部門では1~3位を独占しています(1位倉吉 シェリーカスク、2位倉吉18年、3位倉吉8年)。
もう一つの賞であるUSCはULTIMATE SPIRITS CHALLENGEという品評会で、バイヤーやバーテンダー、バーディレクターなどいわゆる業界人が評価を行っています。
ここでは厳正な評価を行うために徹底したブラインドテストが行われており、ここでも賞を獲得しているのです。
95点Final(最高評価)を松井 ミズナラカスクが、94点Final/GREAT VALUEをブレンデッドウイスキーの鳥取とピュアモルトウイスキーの倉吉 シェリーカスクが、そして93点を鳥取 バーボンバレル、倉吉12年、倉吉8年が獲得しています。
このように二つの品評会ではありますが、共に高い評価を得ていることから実力派ウイスキーの一つと言っても良いのではないでしょうか。
価格帯と定価購入は可能か?
マツイピュアモルトウイスキー倉吉の価格帯は、3,960円~129,500円程度の価格帯になっています。
定価購入は可能で、公式サイトでは定価で販売されています。
また、供給も安定していることからプレミア価格がつくことも少なく、時に1割程度割引の価格で販売されていることすらあります。
ちなみに主な銘柄のマツイピュアモルトウイスキーの定価は以下の通りです。
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉」 3,690円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 シェリーカスク」 4,400円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 8年」 4,950円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 12年」 6,600円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 18年」 13,200円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 25年」 56,900円
- マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 33年」 129,500円
このように幅広い価格帯となっているのが特徴で18年以上は高額になっておりお酒買取サイトでは高価買取してくれるところも多くあります。
シリーズ、種類・味わいの違いは?
マツイピュアモルトウイスキーの種類や味わいについて紹介していきましょう。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉」
マツイピュアモルトウイスキーの基本となる一本です。
味わいは最初にモルトの爽やかな味わいが広がり徐々にレーズンやナッツなどの甘い味が広がりつつ、酸味や苦みが味わいを引き締めるというのが特徴です。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 シェリーカスク」
シェリー樽で3年以上熟成されたモルトウイスキーです。
シェリー樽特有の果実の香りとチョコレートのような甘い香りが先行し、味わいも甘さを中心にしつつ酸味も感じられるものとなっています。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 8年」
甘さをより円熟させた味わいです。
レーズンやケーキシロップのような香りや味わいで、シュガーの風味すら感じられます。
まるでパンケーキのような印象を与える一本です。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 12年」
12年以上のスコットランド北部の原酒と国内の原酒(松井酒造以外のメーカーのもの)をヴァッティングさせた一本です。
ナッツなどの香りとしっかりした麦芽香から徐々にバニラ、レーズンがやってくるだけでなく、スモーキーさも感じられます。
味わいは甘い中にも苦みがあり、甘みがより強調される印象です。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 18年」
18年以上のモルトウイスキー原酒を独自のヴァッティングしています。
年代物でありながら、レモンやレモンピールを感じさせる爽やかな香りがやってきた後はちみつやバターの濃厚な味わいがやってくる印象です。
爽やかさと甘さと濃厚な味わいが特徴と言えます。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 25年」
25年を超えるものになってくると、濃厚さが強調された味わいです。
深いバニラ香とはちみつの香りが合わさり、その後にスパイシーさとスモーキーさがやってきます。
マツイピュアモルトウイスキー「倉吉 33年」
とにかくバニラ、はちみつ、スパイシー、スモーキーの洪水のような味わいです。
33年以上の原酒のみでヴァッティングしているので、個性的なものが多く使用されており、絶妙なバランスで合わせたものとなっています。
おいしい飲み方
ノンエイジである倉吉やシェリーカスクは、ハイボールにすると爽やかさが増します。
また、8年や12年は徐々に加水して味の変化を愉しむと美味しくいただけます。
18年や25年、33年は最初にストレートで少し口に含んだ後、ロックでゆっくり加水されていく味の変化を愉しむのが美味しい飲み方と言えるのではないでしょうか。
合う料理やおつまみ
倉吉は、やはり鳥取の料理が合うと言えます。
ノンエイジの倉吉やシェリーカスクは、トビウオのすり身で作る「あごカツ」などの揚げ物が合いますし、8年や12年と言ったやや高めのものは、カニ料理、例えば焼きガニやかにの刺身などが合うのではないでしょうか。
まとめ
マツイピュアモルトウイスキー倉吉は自前の蒸留が始まったばかりのため、スコットランドや国内の原酒を仕入れて絶妙なバランスでモルトウイスキー同士をヴァッティングさせたウイスキーとなっています。
そして品質を安定させるために行う加水を酒造りに適した鳥取の天然水を用いることで倉吉らしさを出した一本に仕上がっています。
将来この原酒の中に松井酒造自身の原酒が入ることが期待される一本です。