雨後の月

雨後の月(広島の日本酒)斗瓶取り・真粋・涼風・BLACK MOONの特徴や美味しい飲み方を分析

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軍港で発展した呉市。その南側に仁方という港町があります。オールドの鉄道ファンなら、「かつて鉄道連絡船で四国と繋がっていた港町だ」と、思い出される方もおられると思います。この仁方の地は三方を山に囲まれ海に面した土地。この辺りの地質は花崗岩層で、浸透した水は時間を掛けて良質の軟水となります。

日本酒、気になる事調べものライターdencross
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かつては、日本酒の醸造には硬水が向いているといわれていましたが、明治期に確立された軟水醸造法により、軟水でも良質の日本酒の醸造が可能となりました。ここ仁方の地でも素晴らしいお酒が生まれています。その名も「雨後の月」といいます。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール

呉は酒造の街

呉と言えば、戦前からの軍港のイメージが強い港町ですが、実は酒蔵の街ということはあまり知られていません。広島県の酒蔵の街と言えば西条が有名ですが、呉の街も10軒以上の酒造会社あるということはあまり知られていません。特に、仁方から三原にかけての瀬戸内沿岸は花崗岩質の地質による、豊かで良質の軟水を利用した酒造が発展しました。明治31年に開発された軟水醸造法により醸される喉越しのよい甘口のお酒は広島酒といわれ、全国に出荷されて人気を博し、広島酒の地位の向上に貢献しました。
呉市
「雨後の月」を醸す相原酒造は、明治8年(1875年)創業、140年を超える歴史を有する酒蔵です。古くから軟水醸造法を採用し、良質のお酒を醸造してきました。明治の中ごろには1700石あまりを出荷する広島県内有数の生産石高を誇る酒蔵に成長しましたが、戦時中、企業整理により一時休業という憂き目を見ました。終戦後、酒造りを再開し、昭和40年代初期の頃に純米酒の醸造販売を開始するなど先駆的な取り組みを行い、現在では普通酒の醸造比率が10%台という、広島県内屈指の特定名称酒の醸造が多い蔵という特色をもった蔵になっています。
 

酒造りの3か条

相原酒造は明治期には県内有数の出荷量を誇る酒蔵でしたが、現在では1000石程度の生産高にとどまる酒蔵になっています。それは、相原酒造の酒造りにかける想いを実現するためには、たくさん醸造することはできないからなのです。
 相原酒造には酒造りに3つの決まりがあります。

  • 1、大吟醸造りで醸す
  • 1、全量を冷蔵保存する
  • 1、最上の原材料を使う

なるほど、大変手間の掛る大吟醸造りを全量行うことは大変な労力です。地方の酒蔵では大量に醸すことはできないのは当然のことでしょう。また、最上の原料の調達も簡単ではないでしょう。全国の名だたる酒蔵も最上の原料を求めます。そこでは競合も激しくなります。安定した原料の調達には信頼できる農家さんとのお付き合いや、酒米の育成など簡単に増やすことができないという事情もあります。そしてなにより、酒造りは自然相手の部分も大きく、人が手間を惜しんでは完成しないファクターも存在します。そう考えると、生産量が限られるのも納得といえます。

 
 

純米酒のパイオニア

日本酒
相原酒造は純米酒の先駆者的存在としても知られています。まだ純米酒というものがどんなものか知られていない昭和40年代に、相原酒造では純米酒の醸造に着手。いち早く製品化に成功し出荷を始めました。昭和57年には大吟醸酒を発売するなど、高品質で美味しい酒造りへの取り組みを積極的に進めてきました。
昭和59年には、全量冷蔵保存するための冷蔵庫を導入、従来の広島酒の濃醇な酒質から、軽く上品、芳醇淡麗な酒質へと目指す方向性を転換することになりました。
 
 

「雨後の月」の由来

 
日本酒
相原酒造はかつていくつかの銘柄のお酒を醸造していましたが、現在、醸造しているものは「雨後の月」だけです。雨上がり、見上げれば煌々と輝く月が照らす澄んだ光のようなお酒を目指して命名されたといいます。出典は小説「不如帰」の作者としても知られる徳冨蘆花の随筆集の短編「自然と人生」より、2代目当主が命名したといわれています。
実際、「雨後の月」を口にすると、丁寧できれいな澄んだ酒質のお酒に仕上がっています。酒名のイメージに酒質が近づいている感じが伝わってきます。
「雨後の月」は、酒質の良さは折り紙つきです。昭和54年以来、幾度も全国新酒鑑評会最高金賞を受賞。特に平成23年から30年までの8年連続の最高金賞は簡単に達成できるものではありません。令和元年度の新酒鑑評会は新型コロナの感染拡大にともない結審が中止となり金賞酒は決定されませんでしたが入賞酒は決定されており、「雨後の月」も入賞酒に選定されています。

世界的にもカナダのオタワで開催された第9回国際酒祭りで「平成9年純米吟醸・純米大吟醸部門」優勝の栄誉獲得。国際的にも高い評価を受けています。
 
 

「雨後の月」の味わい

「雨後の月」とはどんな味わいのお酒なのでしょうか。すべての「雨後の月」に共通するのは広島酒の伝統である軟水醸造法を生かした、米の旨味を十分に引き出した濃醇で柔らかな味の枠内にとどまりません。米の旨味は甘さがしっかりと引き出され、香り高く柔らかな優しい味わいながら、豊醇で余韻がきれいに流れていく印象です。
もっとも、「雨後の月」もさまざまな商品がラインナップされています。それぞれの商品には味わいもそれぞれ特長も異なりますが、根底にある味わいの定礎とでもいう部分にはしっかりとしたお酒へのこだわりを感じ取ることができます。 
それでは、「雨後の月」のラインナップの中からいくつかの商品をご紹介します。
 

雨後の月 大吟醸 真粋

「大吟醸 真粋」は少々高価なお酒ですが、「雨後の月」に魅力がギッシリとつまったお酒です。日本酒好きの方への贈答としても申し分のないお酒です。
原材料に兵庫県特A地区の最上の山田錦を使用。贅沢にも35%まで磨き上げ、仁方の軟水で仕込んだ珠玉の一本開栓と同時に微かに香る果実のような香り。グラスに注ぐとハッキリとした香りとなり立ち上がります。イチゴか梨と形容される瑞々しくフルーティな香りを味わいつつ口に含むとしっかりとした米の旨味と甘みが口一杯に広がります。どこにもとがったところはなく、角が取れた深い味わい。
常温で愉しむよりも、軽く冷やして凉冷え、花冷えで愉しむのがおすすめ。暑い夏場にキリリと冷やした雪冷えで愉しむのもいいのではないでしょうか。
 

雨後の月 吟醸純米酒

雨後の月
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「雨後の月 吟醸純米酒」はリーズナブルな価格ながら「雨後の月」の魅力をしっかりと愉しめる一本。
麹米に50%に磨いた雄町、掛米に60%に磨いた八反錦を使用。最初にトロリとした白桃か完熟の柿のような甘みが口に広がりますが、嫌味のない優しく柔らかい味わい。しっかりと感じられる甘さの奥から米の旨味も顔を出し、喉奥へきれいに流れて、スーッと消えて行きます。淡い味わいの肴とも合いそう。
軽く冷やした凉冷え、常温で愉しむのが定番ですが、花冷えや雪冷えに冷やしても味わい深いものがあります。また冒険をしたい方には燗もおすすめ。もっとも、熱燗やとびきり燗なんてするのはどうかと思います。じんわりと甘さが引き立つ日向燗や人肌燗あたりで愉しむと、また新たな顔を見せてくれるでしょう。
 

雨後の月のにごり梅酒

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梅酒というのは多くの場合、度数の高い焼酎やブランデーといった蒸留酒で漬けるのが普通です。しかしこちらの梅酒は、贅沢にも純米酒「雨後の月」を使用しています。また梅にもこだわり、3Lサイズ以上の手摘み南高梅を用いて、じっくりと漬込んだ梅酒です。
日本最大の梅酒の祭典「天満天神梅酒大会」で2012年2位を獲得。その品質と味わいは折り紙つきです。辛口純米と南高梅のマッチングはいままでの梅酒の常識を覆します。ロック、ソーダ割り、水割り、お湯割りと愉しみ方も色々。食前酒として食中酒としても十分に愉しめるお酒に仕上がっています。
ただ、この梅酒はなかなか入手困難です。こだわりの詰まった梅酒のため多くは作れません。広島県内でほとんどが消費されるため県外へは出荷されていないともいいます。しかしネット通販全盛。もし取扱いを見かけられたら迷わず注文してはいかがでしょうか。
 

雨後の月 大吟醸 斗瓶取り

定番の商品として人気があるお酒です。甘い香りが楽しめます。味わいは酸味と苦みのバランスが取れているお酒となっていて口当たりは滑らかです。飲んだ後の余韻がバニラのような後味だといわれています。香りは南国のフルーツのような甘さがあり高級感のある味わいです。
 

雨後の月 純米大吟醸

雄町の中でも最高峰とされている赤磐雄町が使われているお酒です。軽快な飲み口で上品な味わいのお酒になっています。みずみずしさを感じられるお酒です。冷やして飲むと美味しくいただけます。
 

雨後の月 大吟醸

兵庫県産の山田錦特Aクラスが使用されています。マスカットやメロンのような高級感のある香りが楽しめます。口に入れると力強い味わいが感じられます。冷蔵庫で冷やして飲むと美味しいお酒です。
 

雨後の月 吟醸純米酒

雨後の月
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熟した桃や柿のような香りが楽しめるお酒です。口当たりがとろりとしているのが特徴で柔らかな味わいのお酒です。冷やして飲むか常温で飲むと美味しいお酒です。
 

雨後の月 雄町 純米吟醸 無濾過 生原酒

広島県の酒蔵適合米、雄町を使用して造られているお酒です。柔らかな旨味が特徴で最後に優しく酸味が残ります。雄町で完成させたお酒と山田錦で完成させたお酒は味わいが異なるので飲み比べてみるのもおすすめです。季節限定で販売されています。
 

雨後の月 涼風純米吟醸

雨後の月
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ラムネのようなボトルが特徴の季節限定のお酒です。飲むと酸味が感じられるお酒ですが、徐々に旨味が広がっていきます。甘酸っぱい余韻が残ります。冷やして飲むと夏にぴったりの味わいでしょう。さらっとしたのど越しが良いお酒になります。季節限定のお酒です。
 

雨後の月 愛山 純米大吟醸

季節限定のお酒で7月に販売されています。愛山を使用した上品な味わいのお酒です。優しい甘さと香りが楽しめます。
 

雨後の月 ひやおろし 純米吟醸 千本錦

広島オリジナルの酒米である千本錦を使用して造られているお酒です。優しい味わいのお酒になっています。青リンゴのようなすっきりとした爽やかな香りが楽しめます。まろやかな旨味があるお酒です。季節限定のお酒となっています。
 

雨後の月 ひやおろし 純米吟醸 八反

広島の酒米である八反錦が使われています。八反はシャープな味わいのお酒が完成する酒米で冷蔵庫にて熟成させてから発売されているお酒になります。飲み口がとても良いお酒なので何杯でも飲めてしまいます。
 

雨後の月 八反錦 純米大吟醸

広島の酒米八反錦が使われているお酒です。低温で熟成させているお酒なのでお米の旨味がぎゅっと詰まっています。果物のような香りと酸味が楽しめるお酒で余韻がかすかに残ります。冷やして飲むと美味しいお酒です。季節限定のお酒です。
 

雨後の月 辛口純米 無濾過 生原酒

11月に限定で販売されるお酒で辛口です。ガスが含まれているのでシュワっとした感じがあります。しっかりした味わいのお酒で冷やして飲むと美味しいです。季節限定のお酒です。
 

雨後の月 斗瓶取り 真粋 大吟醸

華麗で味わい深く香りがとても華やかなお酒です。

 

雨後の月 中汲み 純米吟醸生酒

徐々に酸味を感じられる味わいで軽快なキレが特徴です。お酒の一番美味しい部分だけを瓶詰めしています。
 

雨後の月 BLACK MOON 純米吟醸 生酒

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12月に限定で販売されているお酒です。フレッシュな味わいのお酒になっています。
 

まとめ

「雨後の月」は広島酒伝統の軟水醸造法で醸造された広島酒の枠内に収まりきらない新たな魅力をもったお酒です。まだ飲んだことがない日本酒党のみなさん、一度飲んでみてその魅力を味わってみて下さい。
雨後の月は季節限定で発売されているお酒も多いのでぜひ色々と飲み比べしてみてください。飲食店でも提供されているお酒です。お近くにお店がある人はぜひ外でも雨後の月を楽しんでみてください。
雨後の月は開栓した後の保存方法でも味が変わってくるお酒になります。お酒は熟成されていきますので必ず低温で保存してください。購入してすぐに飲まない場合も冷蔵庫や冷暗所で保管しておくことでお酒の風味を落とさないで保てます。美味しいお酒を飲みたい人は保存方法にもこだわってください。

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中国白酒酉方(とりかた)




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