九州とお酒、この組み合わせを連想すると多くの方は焼酎をイメージするのではないでしょうか。しかし、実は多くの県で独自の地ビールを製造しているのです。更にその醸造元も様々で、完全に地ビール一本で製造をしているところもあれば、焼酎などを醸造するメーカーが新事業や挑戦の一環として取り組んでいるところもあります。
このような特徴を持っている九州の地ビールについてこれから様々な視点で紹介しまとめていきます。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
九州地方(長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・佐賀)のおすすめ地ビール6選
不知火浪漫 カルメン
スペイン、多国籍料理など、しっかりとマッチする地ビール
湯の児スペイン村福田農場内で製造されているビールです。濃い褐色の泡立ちの良いビールですが、ホップの香りは弱く、飲んでみると見た目ほど濃厚さは感じられません。ただし、苦みはしっかりと残り、飲みごたえはしっかり感じることができる地ビールです。
醸造所敷地内にあるセビリア館で、多国籍料理と一緒に楽しみながら飲むビールはまた格別の味に変わります。
醸造所:福田農場ワイナリー
住所:熊本県水俣市陳内2525
久住高原地ビール Beer Oh!
自社独自製法を取り入れた、非常に珍しい地ビール
Beer Oh!は風、星、花など、いくつかの味を楽しむことができます。また魚、お肉料理など味ごとで選び分けるといった楽しみも持ち合わせている大分県の地ビールです。
九重連山の天然水を利用したこの地ビールは、自社独自の製法を取り入れた、生きた酵母菌が入った「酵母入りビール」というところが特徴です。酵母菌に含まれるミネラルやビタミンB群といった栄養素と、独特の旨味をそのままボトリングするために独自の製法を用いています。
醸造所:くじゅう高原開発公社
住所:大分県竹田市久住町白丹7575-1
ひでじビール 九州CRAFT日向夏
宮崎原産、日向夏を使ったフルーツビール
自家純粋培養した酵母を使い、キレとコクを生み出した宮崎県の地ビールになります。受賞歴も輝かしく、全国の小規模醸造所が独自に開発したクラフトビールの総選挙で、宮崎ひでじビール(延岡市)が2連覇を達成した地ビールです。
味にごまかしの効かないラガー系地ビールは、宮崎県の日光をたくさん浴びた日向夏の旨味を引き出すことに成功した唯一の地ビールとなります。
醸造所:宮崎ひでじビール株式会社
住所:宮崎県延岡市むかばき町747-58
薩摩ビール
薩摩ビール ヴァイツェン
舌触りキメ細かく、バナナやグレープフルーツの様なフルーティーさで甘さ控えめ。夏にピッタンコ pic.twitter.com/ydeNXmXjEe— mamoru♪♪ (@mamorurururu) June 16, 2013
オーナーが本場ドイツへ視察に渡り、バイエルン地方にある、パブやレストランから探し出した独自の地ビールであり、麦芽やホップなどの原材料もドイツ産のものを使用しており、そこに独自のアレンジを加え、世界でたったひとつの味に仕上げています。
酸味と甘味が適度にミックスしながらも、重厚な「ヴァイツェン」と、ヴァイツェンにカラメル麦芽を多く配合した濃色ビール「ヴァイツェン ドュンケル」の2種を製造しており、鹿児島薩摩のとても力強い味の演出を感じることができます。
醸造所:薩摩麦酒株式会社
住所:鹿児島県霧島市国分姫城3080-1
長崎大島地ビール
本場ドイツにこだわった本格的な地ビール
長崎という過去の歴史から、貿易外交の盛んな地という地域から生まれた地ビールとなります。
大島地ビールは3種類からなります。小麦特有の味に、ほんのりとした酸味に、ビール特有の苦みは無く、フルーティーな「ヴァイツェン」。苦みの中にも爽快感すら感じさせ、その色合いは見事な黄金色である「ピルスナー」。そして、濃厚な味わにでありながら、スッキリしたのど越し感は、まさに大人のビールといえる「デュンケル」。
原料、技術から全て本場ドイツにこだわった地ビールは一度は飲んでみたい本格派ビールです。
醸造所:長崎大島醸造株式会社
住所:長崎県西海市大島町1577-8
みやき燦燦クラフトビール
佐賀県みやき町役場のホップで作った地ビール
なんと佐賀県で初めての試みで役場敷地内でのホップ造りを行い、そのホップでクラフトビールを造ったという少し驚かされた地ビールとなります。2020年の10月23日から販売を開始しました。
テイストはラガーのしっかりした味と喉を通るスッキリ感が味わえ今後は地元特産品として話題性も含め有望株になる事は間違いありません。
醸造所:みやき町役場
住所:佐賀県三養基郡みやき町大字東尾737-5
暑い日、美味しいビールが自宅で飲めたら幸せですよね。缶ビールそのままもいいけれど、やっぱりサーバーから出したてのビールは一味違います。ビールサーバーがあれば、きめ細かな泡で喉越しが良いビールを飲むことができます。
お土産におすすめの地ビール
綾の地ビール
PORTLAND CIDER &
杜の麦酒工房・綾の地ビール アルト pic.twitter.com/LGtjMZ9JbM— るり (@ruli_lapis) November 4, 2017
宮崎県綾町にある、綾酒泉の杜の「杜の麦酒工房(もりのびーるこうぼう)」は、平成8年宮崎初の地ビール工場として誕生しており、敷地内には、全国的にも有名な雲海酒造もあり、様々なお酒を楽しむことが出来ます。当初は綾町のワインが有名でしたが、最近では地ビールも豊富な品揃えとなりました。
「綾の地ビール」は「綾の湧水」の名水百選で仕込んでいます。雲海酒造の酒造としての酒造りの知識を活かして最高の味わいに仕上げています。ここでは、酒蔵を見学したりガラス細工の体験コーナーもあり、ちょっと立ち寄るには最高に楽しめる場所で、ここで飲む地ビールは格別に美味しいです。
掲載ページ:蔵元 綾 酒泉の杜
住所:宮崎県東諸県郡綾町大字南俣1800-19
九州地方の地ビールを楽しめる場所5選
オワゾー(熊本県)
オワゾーというお店で提供するこだわりのビール
【熊本がまだせ応援旅2018】
昨夜の熊本飲み歩き、2軒目はクラフトビールが味わえるバー「Oiseau」(オワゾー)へ。それぞれ個性豊かなビールは旨味もたっぷりで飲みごたえありました。おつまみに頂いた「カリーブルスト」(焼いたソーセージにカレー粉をふりかけたもの)もビールを進ませました。 pic.twitter.com/AWu2i6C5Xh— 閑古堂 (@1969KANKODO) May 4, 2018
この店の名物はドイツビールのスタイルを忠実に守って提供している熊本の地ビールです。熊本は球磨川水系の水によって古来から焼酎の多く作られる酒どころとして知られてきました。
そんな熊本の地ビールを堪能できるのがこのオワゾーです。もちろん地元の酒店でも購入できるので、気軽に球磨川の水とドイツのクラフトマンシップを楽しんで見てはいかがでしょうか。
掲載ページ:オワゾー
住所:熊本県熊本市中央区下通2-1-20 ホンダビル1F オワゾー
ゆふいん麦酒館(大分県)
温泉どころと地ビールのコラボが楽しめる
【プチネタ(大分県発祥編㉚)】
「九州地ビール」
温泉旅館「ゆふいん山水館」の敷地内に「ゆふいん麦酒館」が、九州で第一号となる地ビール会社(1994年設立)。ゆふいん麦酒館の道路に面した入口に「九州地麦酒発祥之地」と書かれた看板が掲げられている。 pic.twitter.com/VA3Hl1LOJW— 大分県民検定 (@vkewW0Xk0oNZiYj) November 27, 2019
温泉どころ、湯布院で地ビールが楽しめるお店です。ここで出されるゆふいん麦酒は老舗旅館「ゆふいん山水館」の敷地内にあるユニークな醸造所です。
九州第一号地ビールという、九州エリアの地ビールのパイオニア的な存在としても知られています。店内では和・洋・中華のブッフェスタイルの料理が楽しめるので自分の好みに合ったおつまみで楽しむことも可能です。
掲載ページ:ゆふいん麦酒
住所:大分県由布市湯布院町川南108-1
宮崎フェニックスブルーイング(宮崎県)
宮崎県の県木を冠した地ビールが楽しめるお店
11月26日 …
フェニックスは、宮崎県の県木にもなっているヤシの木のような樹木です。その名前を店名にしたフェニックスブルーイングは、宮崎の地ビールが楽しめます。
イギリスやドイツから取り寄せた麦芽とアメリカとドイツのホップを混ぜ、更に宮崎の水で仕込んで醸造しているこれらの地ビールは、本場の味わいの中に宮崎県の個性を感じることができる地ビールに仕上がっています。
掲載ページ:宮崎フェニックスブルーイング
住所:宮崎県宮崎市橘通東4-6-14
チェコ村ビール館 リトル・プラハ(鹿児島県)
チェコスタイルの霧島高原ビールが楽しめる
帰途@鹿児島空港。午後5時をすぎたので、霧島チェコ村ビール館に潜入。修士の指導教員がチェコの専門家だったわたくしにもすべてが謎。 pic.twitter.com/z1ZBnQPrRo
— 寺尾智史 Satoshi TERAO (@SATERAO) February 1, 2016
チェコはビールどころとしても知られている東欧の国です。そんなチェコから醸造設備を直接取り寄せて醸造技術を導入し、主な原料を全てチェコから仕入れるという徹底したスタイルでチェコビールを再現しているのが霧島高原ビールです。
そんなビールが楽しめるのがこのお店で、店内はボヘミアングラスを販売するコーナーも併設されています。
掲載ページ:霧島高原ビール
住所:鹿児島県霧島市溝辺町麓876-15
有田ポーセリンパーク(佐賀県)
焼酎や日本酒を手掛けるメーカーの地ビールを体験できる
いつきてもすごい場所だぜ!#有田ポーセリンパーク pic.twitter.com/6nnxqYJpM4
— 920さん (@qunyoel) November 23, 2020
有田ポーセリンパークという窯業が盛んな有田らしいテーマパーク内にあるお店です。ドイツの陶磁器やお酒が楽しめるというコンセプトで、地ビール・有田麦酒もその目玉として提供されています。
ビンや缶での提供をしていないため新鮮な有田麦酒をグラスかジョッキで体験するというスタイルは、まるでドイツの酒場にいるような雰囲気を楽しむことができます。
掲載ページ:有田ポーセリンパーク
住所:佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙340番地28 有田ポーセリンパーク
九州地方の地ビールにあうおつまみ2選
呼子イカ下足のフライ(佐賀県)
呼子イカ下足のフライは、イカの漁獲で有名な呼子のイカのゲソフライです。もともと品質の高いことで知られる呼子のイカは刺身でも美味しくいただけます。しかし、地ビールと楽しむのであれば、その新鮮なイカを使ったゲソのフライもおすすめです。
旨味のしっかり詰まったイカのげそと、工夫をこらした味わい深いフライの衣は、決して佐賀の地ビールのコクと旨味に負けることなくうまく調和します。
辛子レンコン(熊本県)
辛子レンコンは熊本の名物です。球磨焼酎との相性も良く、おつまみに供されることも多い名物料理です。
そんな辛子レンコンは、球磨焼酎と同じ水を使った熊本の地ビールともよく合います。熊本・阿蘇山の伏流水や湧き水の流れを持つ、球磨川水系の水で作ったビールは、程よい辛みと旨味を持つ辛子レンコンの味わいを引き立てます。そしてさらにビール自体の旨味を昇華させ、より豊かな時間を提供してくれるでしょう。
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まとめ
地ビールはかつて、ブルワリーがそれぞれの地元で造るビールを総称で、「地ビール」と呼ばれるようになったみたいですが、実際に今の流れを見てみると、副原料に地元の特産品を使用するなど、その土地ならでは風土や特徴を活かしたビール造りが行われていて、地域の名産品として定着した銘柄がたくさんあります。
今回は九州エリアの地ビールを紹介しましたが、そこの土地でしか味わえないビールというものはまだまだたくさんあります。やはり現地に出向き、その地ビールが出来るまでの歴史と苦労を知りながら、地ビールの味を楽しむことが、本当に一番美味しいビールの飲み方なのかもしれません。そして、それを製法するまでに努力されたオーナーさんのことも理解しながら地ビールを飲むとさらに格別な味わいに変わると思います。