九州の北東、豊後水道を臨むエリアに大分県があります。面積は北関東の群馬県と同じ程度で、沿岸部は年中温暖な気候ですが内陸は冷え込むことがあるなど気候に富んだ県です。
そんな気候や九州の文化によって様々な料理が誕生し、別府や湯布院など有名な温泉を多く持つため他のエリアからの観光客経由で文化の流入によっても影響を受けてきました。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
海鮮系
うるか(あゆの塩辛)
大分の川の幸!うるか(あゆの塩辛)
大分は九州を代表する河川・筑後川の本流である三隈川をはじめ大野川など数多くの清流に囲まれています。そんな清流では新鮮なあゆがたくさん漁獲されることでも知られています。
このあゆを塩辛にした、あゆうるかも大分の名物として知られています。あゆの旨味を濃縮したうるかはお酒の珍味としても適しているだけでなく、発酵食品でもあることからお酒で疲れた胃腸をいたわる作用も期待できる食品です。最初はお酒と一緒に楽しんで、残った分は締めのご飯に乗せて食べましょう。
りゅうきゅう
沖縄由来の大分料理!りゅうきゅう
りゅうきゅうは、魚の刺身を醤油や酒、みりんにゴマ、ショウガのたれに漬け込んだ料理です。
豊後水道ではアジ、サバ、ブリ、カンパチといった新鮮な魚が漁獲され、それらは品質の高さからブランド化されています。そんな新鮮な魚の刺身をたれ漬けにしています。もともとは、沖縄の漁師の料理として大分にやってきて伝えたという説や、ゴマを和える調理法である「利休和え(りきゅうあえ)」がなまった説がある料理です。いずれにしてもお酒のおつまみに合う料理であり、特に焼酎との相性が良いとされています。
きらすまめし
倹約料理もおつまみに!きらすまめし
【Oita's local cuisine】
008.「きらすまめし」
臼杵市の郷土料理で、醤油に漬けた魚の身におからを和えたもの。
「きらす」は「おから」を、「まめし」は「まぶす」を意味する方言であり、全体では「おからをまぶしたもの」という意味。 pic.twitter.com/wd4Qs7KpRW— 大分県民検定 (@vkewW0Xk0oNZiYj) December 29, 2019
きらすまめしは魚の切り身とおからをまぶしたものです。きらす(おから)まめし(まぶす)という大分臼杵(うすき、大分中部の沿岸部のエリア)の言葉から来ています。元々江戸時代の倹約令によって生み出された料理で、切り身も魚をおろした後の中落ち、刺身の切れ端を使ったり、おからは豆腐の搾りかすを使う等して調理されていました。
現在は、様々な工夫か凝らされ、ブリ、マグロ、アジなど季節の魚の切り身を醤油ベースのさっぱりしたタレに漬け込み、おからにねぎやショウガを入れて切り身をまぶし、爽やかなかぼすの汁を絞り入れ、お酒にも合う料理に進化しています。
お方ずし
焼いたアジのうまみが光る!お方ずし
073.「お方ずし」
大分市竹中地区に伝わる「お方ずし」。その昔、農繁期に入る前の「地獄入り」に、お方(庄屋)が「頑張ろうえ」と農家の人々に振る舞った。具は煮豆と焼きアジだけ。 pic.twitter.com/vas7FSKcgd— 大分県民検定 (@vkewW0Xk0oNZiYj) December 29, 2019
お方ずしは、すし飯に焼いたアジとうずら豆の煮豆を混ぜて俵状に握ったお寿司です。素朴な味わいながら、大分名産である焼きアジの旨味が広がって、お酒が進む料理に仕上がっています。
元々は貴重なお米のかさ増しをするために豆や魚を入れてボリュームを増やしたという背景があり、昔の人々の苦労と美味しくいただくための工夫が光る料理です。お酒と一緒にいただけば、きっとそんな苦労で生まれた料理とは思えない質の高い味わいが楽しめるのではないでしょうか。
お肉系
中津からあげ
大分名物のニューフェイス!中津からあげ
元々大分県は養鶏が盛んに推奨されたエリアであり、九州でも有数の産地になっています。そのため、昔から鶏肉を使った料理が多く生まれており、からあげ専門店も珍しくはありませんでした。こういった背景からからあげの進化が進み、全国有数のからあげの名所として知られるようになったのです。一味違う唐揚げをお酒と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
とり天
大分の定番総菜・とり天
先ほども触れたように大分は養鶏が盛んです。そのため料理方法も多くの種類が考案されています。特に定番になっているのがこの鶏の天ぷらであるとり天です。
唐揚げのように下味をつけた鶏肉に天ぷらの衣をつけて揚げたもので、飲食店や弁当店、スーパーなど大分のいたるところで目にする定番の総菜になっています。イメージ通り、お酒にもよく合う料理で、とり天があればお酒がどんどん進みます。
豊後牛の煮込み
大分の牛の旨味をしっかりと凝縮!豊後牛の煮込み
大分は鶏が有名ですが、豊後牛というブランド牛を忘れてはいけません。豊後牛は黒毛和牛の品種で、大正時代「牛の神様」とまで称賛された前田辰雄氏によって現在のベースとなる牛の品種へと成長させました。現在も全国の品評会でトップの成績を残すなど、ブランド牛としての地位を固めています。
そんな豊後牛の首部分で採れる肉(ネック)を使用し、甘辛く煮込んだ料理がこの豊後牛の煮込みです。ご飯のおかずになるのはもちろんのこと、ショウガの香りがお酒のおつまみにも最適な存在になります。
レトルトのように販売されているところもあるのでお土産に買って、家飲みのお供にもなる豊後牛のうまみが濃厚なおつまみです。
大分県の食の文化や郷土料理について
大分県の食文化は豊後水道で獲れる青魚を中心とした海産物や平野部の養鶏などに注目されがちです。しかし、大分県は沿岸部から内陸の高原部に至るまで、広大な農地が広がるエリアでもあり、豊後牛の飼育や様々な野菜が採れることでも知られています。特に野菜に至っては、高原地まで様々な野菜が栽培されているのです。全国的に見て温暖な気候がこれらの野菜を育ててきました。
こういった食材の豊富な大分県は、それらを生かして様々な料理が生み出されてきました。ここから紹介するのは野菜やお菓子と言った分野でお酒に合うおつまみです。これらを知ることで、大分の食文化の違った一面を知ることができるのではないでしょうか。
野菜やお菓子
かぼすこんこん
かぼすの香りがたまらない漬物!かぼすこんこん
こちらが手羽元と
かぼすこんこん!#日本酒応援団 pic.twitter.com/vr9n2GNqBU— 風宮まつり🍁お酒インフルエンサー (@matsuri_kzmy) July 31, 2020
かぼすこんこんは、割り干し大根(大根を縦に切って干したもの)を醤油ベースの漬け汁や大分名産のかぼすの果汁をミックスして爽やかな味わいの漬物に仕上げてあります。
醤油漬けは何となく飽きてしまった、そんな不満を感じる方も、このかぼすこんこんは別の漬物です。大ぶりに切ってお酒と一緒に頂いた後は、残ったかぼすこんこんを刻んでお茶漬けにしましょう。一度食べたら止まらない大分の名物漬物です。
やせうま
シンプルな郷土菓子!やせうま
名前から何もイメージできないお菓子ですが、平たいうどんを細かく切ってきなこと砂糖をまぶしたお菓子です。同じく大分名物のだんご汁で使う平麺の残りを使って作ることもできます。
冷やして食べたり、温めて食べたり自在に楽しめるシンプルなお菓子でお酒にも合うおつまみにもなります。田舎の素朴なお菓子と思われがちなこのやせうま、実は平安時代の貴族が乳母の名前を呼んで「八瀬、うま」と旨いおやつをねだったことがきっかけという雅な所以を持っているお菓子でもあるのです。
石垣もち
さつまいもが光る!石垣もち
大分の郷土料理
「石垣もち」じゃい!!※昨晩、全国区じゃないと知り大変強いショックを受けた pic.twitter.com/kryVvd0aFN
— 雪ししゃも (@RegulusThe) January 19, 2020
大分県の農家で古くから食べられているお菓子です。さつまいもを切りこんで小麦粉の生地に練り込みふかして作られるお菓子ですが、メインはさつまいもで生地はつなぎのような印象を受ける位さつまいもの味を存分に楽しめるお菓子です。
サイズも手ごろなのでおつまみにも向いており、芋焼酎で石垣もちを食べるのもおすすめの楽しみ方と言えます。
大分県と言えば、やはり有名なのは温泉でしょう。由布院や別府、鉄輪といった日本の名湯が揃っています。では、温泉上がりに飲みたいものと言えば…やはりお酒です。 温泉上がりに居酒屋に入って、その土地の地酒をグッと…酒好きには溜まらない魅力です。今日はそんな温泉を引き立てる、大分県の地酒の歴史や、おス...
まとめ
温暖な気候でありながら時に厳しい冬を持つ大分県は魚介類、肉類、野菜類など豊富な食材に富んでいます。そんな食材を存分に生かしたローカル料理やお菓子を紹介しました。大分は焼酎などお酒を造るところも多く、それらの地酒と共に楽しむのも大分の醍醐味と言えるのではないでしょうか。