お酒の席に欠かせないのが「お酌」です。お酌が上手にできれば、会社の上司や同僚などとの距離をうまく縮めることができるでしょう。またお酌をすることで、日頃からお世話になっている方に感謝の気持ちを表現することができます。
ただしお酌にはマナーがあり、間違えてしまうと失礼にあたることもありますので気をつけましょう。正しいお酌の仕方を覚えて、相手に好印象を与えられるようにしましょう。
目次
なぜお酌にはマナーがあるの?
お酌は日本の文化の中で古くから行われてきました。日本人は祝い事などで必ずお酒を飲む風習があり、相手との親交を深めたりお祝いの気持ちを表す際にお酌を必ずしていたそうです。
お酌には相手への敬意を表したり、相手に対しおもてなしをするという意味があります。そのため決められた作法があり、マナー通りにきちんと行うことで相手への気持ちをしっかりと伝えられることになります。
マナーどおりにお酌をすることで、お酌を受ける側は気持ちよくお酒を飲むことができます。お酒を飲む機会が多い大人にとって、正しいお酌はぜひ覚えておきたい作法のひとつと言えます。正しいお酌を覚えておけば、日頃の飲み会はもちろん、結婚式や法事などの冠婚葬祭のシーンでも役に立ちます。
お酌をするタイミングはいつ?
お酌をする際にもっとも重要なのが、お酒を注ぐタイミングです。お酌をする相手がグラスを空のまま待つことがないよう、スムーズに行うことが重要です。
一番ベストなタイミングはグラスが空になる直前ごろに、何を飲むか一声かけてから注ぐことです。
お酌は右側から?正しい立ち位置について
なお大人数の飲み会や大きなテーブルの時は、上司や先輩などお酌をしたい相手がやや離れていることがあります。その時は必ず近くに移動してからお酌をするようにしてください。
遠く離れた相手にテーブル越しにお酌をしてしまうと、周囲の人の食事の邪魔になったり、片手でお酌をしてしまう原因となります。
正しいお酌の方法はお酒ごとに違う
次に、実際のお酒の注ぎ方について説明します。実はお酌の方法というのは、アルコールの種類によって異なります。
飲み会の場でお酌をすることの多い「ビール」「日本酒」「ワイン」はそれぞれ注ぎ方のポイントやコツが異なるので、注意しておきましょう。
ビールの正しい注ぎ方
ビール瓶の場合は、ラベルを上にして注ぎます。ラベルが見えるように利き手は瓶の底をもち、反対の手は瓶の下側に添えてお酌をしましょう。なおこの時、しっかりと指を揃えると見栄えが良いです。片手でのお酌は失礼に当たるので、必ず両手で行いましょう。
ビールを注ぐ場合は、しっかりと泡立つように注ぐと喜んでもらえます。綺麗に泡立てるためには、高めの位置から勢いよく注ぐのがコツです。初めは勢いよく、徐々にゆっくり注ぐようにすると泡立ちが綺麗で、溢れる心配もありません。
ビールのお酌を受けるとき
自分がお酌を受ける時は、先ほど述べたようにグラスを空にしてあげるのが理想です。もしビールのおかわりを進められた際にグラスにわずかなビールが残っていたら、しっかりと飲み干してからお酌をしてもらいましょう。グラスは両手でもち、あまり傾けすぎずに差し出しましょう。
日本酒の正しい注ぎ方
徳利からお猪口へお酌をする場合は、徳利の真ん中の胴体部分を持つのがポイントです。ただし熱燗の場合は胴体部分を持つと火傷をしてしまうことがあるので、首部分を持つと良いでしょう。もしあつすぎる場合は、タオルなどを当てながらお酌をしてもOKです。
お猪口に注ぐ場合は、量が溢れすぎないように注意しましょう。お猪口の八分目あたりまで注ぐのが目安です。なお注ぎ終わる際に徳利を少し手前に回すようにすると、お酒がこぼれにくいです。
ちなみに徳利からお猪口へお酌をする場合、必ず相手にお猪口を持ってもらいましょう。置いてあるお猪口にお酒を注ぐことは「置き注ぎ」と言われ失礼にあたるので注意しましょう。
日本酒のお酌を受けるとき
自分が日本酒のお酌を受ける立場の場合は、お酒を勧められた際に必ずお猪口を持って受けるようにしましょう。また注いでもらったお酒は、そのままテーブルに置かずに少しでも口をつけるようにしましょう。もしこれ以上飲めない場合は、無理をせずにきちんと断ることも大切です。
ワインの正しい注ぎ方
レストランなどでワインを頼むと、基本的にはお店の人が注いでくれるでしょう。したがってビールや日本酒に比べ、ワインのお酌をする機会は少ないかもしれません。ただし大勢の飲み会などではボトルのまま来ることもあるので、ワインのお酌も覚えておいて損はありません。
ちなみにワインの有名なイタリアやフランスなどの欧米では、レディーファーストの文化があり女性がお酌をするのはNGとされています。そのためワインのお酌は、男性が率先して行うようにすると良いでしょう。
ワインのお酌を受けるとき
ワインのお酌を受ける場合は、日本酒とは異なりグラスをおいて受けるのが正解です。普段はビールや日本酒派という人は間違えやすいので注意をしましょう。
お酌でやってはいけないNGポイント
お酌は基本的におもてなしの行為です。飲み会などで目上の人から注いだり、パーティーの席でゲストがお酌をする必要はありません。上の立場の人が不要なお酌をしてしまうと、相手にとっては断りづらく「お酒を強要している」と捉えられてしまう恐れもあるため注意しましょう。
また先ほども述べた通り、片手でのお酌は失礼に当たります。席が遠い場合は必ず近くに行ってからお酌をするようにしましょう。
そして当たり前ですが、お酌を強要するのはNGです。無理矢理お酌をさせることはパワハラに値するので絶対に行ってはいけません。また反対に、無理矢理飲ませることもアルコールでの事故の原因となりかねないためNGです。
なお、お酌をする場合は、スマートさが大切です。瓶や徳利の中をのぞいたり降ったりして中を確認するのは下品であるため、行わないでください。
お酒の席はコミュニケーションをするために必要不可欠ですが、社会人として参加する際には関係が良くなるように最低限のマナーを守らないといけません。 日本酒は徳利や盃などを使う手法もありますが、細かいルールがあり知らないと恥をかくこともあります。また、お酒の席順は決められていないように思われがちですが、...
結婚式でのお酌のマナーは?
いつもの飲み会とやや異なるのが結婚式でのお酌です。基本的に結婚式はパーティー扱いになるので、会場のスタッフがお酒を注ぎに来てくれます。そのためお酌をしなくてもマナー違反にはなりません。むしろ洋風のテーブルマナーでは、自分たちでお酌をするのはNG扱いとされています。
ただし最近の結婚式では、おもてなしの気持ちを表現するために新郎新婦の親がお酌をしながら挨拶回りをするというケースが多いです。この場合は感謝の気持ちの表れなので、ゲスト側は快くお酌を受けるのが良いでしょう。
もし結婚式でお酌をしながら挨拶回りをするなら、きちんとどのタイミングで行くのか前もって両家とスタッフ間で共有しておきましょう。
結婚式の親交の妨げにならないタイミングで、両親揃って挨拶回りをするようにしましょう。
挨拶回りをする親は、事前に子供にゲストの情報を聞いておくと良いでしょう。そして子供にとって目上にあたる人から回るようにしましょう。また結婚式で受付や挨拶などを担当してくれたゲストには、お酌のタイミングでお礼を述べるのが理想です。
まとめ
いかがでしたか?意外と知らない点や勘違いしていることもあったのではないでしょうか。
正しいお酌のマナーを覚えれば、飲み会やパーティーがより一層楽しめるものになるでしょう。また正しいお酌をすれば相手との距離も縮めることができます。
飲み会はあなたの気遣いや常識力が試される場でもあるので、正しいお酌を覚えて参加するようにしましょう。