日本海に突き出た山口県は三方を海に囲まれ、海産物が豊富なエリアでもあります。更に内陸に入れば、日本最大のカルスト台地として知られる秋吉台などを始め自然の恵みが豊かさもあります。
また、明治維新を推し進めた豊かな文化や小京都と言われる山口の文化が食の文化にも多大な影響を与えました。そんな山口県もそういった食文化の充実によっておつまみも充実しているエリアです。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
海鮮系
ふく刺し
山口の代名詞!ふく刺し
山口グルメの代表と言えばふぐ刺し身、ふく刺しです。てっさとも呼ばれるこの料理は、現地でふ「ぐ」ではなく、ふ「く」と呼ばれています。このことから縁起を担ぐめでたい魚でもあるのです。そんなふく刺しですが、三枚におろした後、すぐに調理せずお店によってはさらしに巻いて熟成させるなどのこだわりがあります。
また、美しい透けた切り身もふぐ刺し専用の包丁、フグ引き包丁(一般的な柳場包丁よりも刃の厚みが薄い)と呼ばれる包丁で調理されているのも特徴です。薄造りにしたところに九条ネギのような地元野菜、高等ネギ(こうとうねぎ)を添えれば、最高級のおつまみになります。高等ネギ3~4本をふく刺しで巻きポン酢に漬けてみましょう。極上の体験ができるはずです。
みかん鍋
周防大島をまるごと味わう!ミカン鍋
おはござー!🐕
昨日はお友達が来たので
山口県周防大島名物
みかん鍋からの締めにメレンゲ雑炊でしたゾ ‼️🐕🐈✨✨✨ pic.twitter.com/PSIojTAJoz— ニャトリエ@フリー素材サイトと時々原画オークション開催! (@Nyatelier_12) January 27, 2020
みかん鍋は文字通りみかんをいれた鍋です。醤油ベースの寄せ鍋のような鍋に焼いたミカンを入れて味わうのですが、いくつか特徴があります。それは地魚つみれとみかん胡椒を入れているという点です。
地魚つみれは、山口の海で取れる様々な魚をすり身にしてネギなどを混ぜたつみれのことで、山口の海の幸がたっぷり入っています。みかん胡椒と言うのは、九州のゆずと唐辛子を合わせた調味料、柚子胡椒を元に開発された調味料です。青唐辛子とみかんの果皮を使ったもので、これをみかん鍋に入れて食べます。ピリ辛さと海の幸の旨味、そしてみかんの爽やかさ、これだけの条件がそろえばミカン鍋がお酒に合わないはずがありません。
萩の金太郎の刺身
人の名前をした美味しい魚!萩の金太郎の刺身
初日萩の夜は市内のMARUというお洒落な居酒屋でご当地グルメを堪能♪
ここが大正解でどのメニューも美味しくて最高だった。今回の旅で一番美味かったかも(≧∀≦)
・萩産刺身6点盛り(甘鯛.金太郎.地ダコ.瀬付あじ.赤ウニ)
・見蘭牛のにぎり
・MARUのおとうふ
・たこつぼ
瀬付あじが本当に美味かった! pic.twitter.com/kvwjpMroI5— Wakana Romanoff (@waaakaner) May 3, 2019
萩の金太郎と言うと、人の名前かお菓子をイメージする方がほとんどではないでしょうか。しかし、この萩の金太郎は、山口の萩地方で食べられる魚のことです。
古くから山口で食べられている魚で、全国では「ヒメジ」と呼ばれています。15cm程度のサイズの赤い白身魚で甘みのあるほっこりとした身の魚です。山口以外はほとんど漁獲されないことから、非常に珍しく、それでいて山口では比較的容易に食べられるという特徴もあります。漁場が近いことから鮮度も高く、刺身にして食べるのが最高です。
繊細な風味が味わえますから、様々なお酒にも当然会うおつまみと言えます。ちなみに、フランス料理で重宝される高級魚「ルージュ」の近縁種ですから、調理すればワインにもよく合うおつまみです。
おばいけ
おばいけ?奇妙な名前のクジラ料理
これ何だか、知ってる人~~
私子どもの頃から好きで、今も普通に食べるんやけど…
調べたら山口の郷土料理らしい🙄
#おばいけ #郷土料理 pic.twitter.com/KBSjikJfJd— 龍知(りゅうとも)🤙ノリスナ/Eクルー (@ryutomo_nori) May 15, 2022
山口ではクジラの尾びれと身の間の部分をおばいけ(尾羽毛)と呼びます。くじらの部位の中で最も味わいがあり、おいしいとされる部位です。カロリーが低く、コラーゲンも豊富なことから評判の高いおつまみと言えます。
山口県は、かつてクジラ漁が非常に盛んな土地だったという歴史がありました。そのため、このクジラ料理は盛んに食べられており、当然お酒と共に供されてきたのです。山口ではこのおばいけを酢味噌あえにして食べることが多く、お酒のおつまみとして親しまれています。
お肉系
牛汁
トン汁?いいえ牛汁です!おつまみにもなる汁物
こんにちは。あんしんの里です🤗
今年度最初の全国郷土料理の旅。山口県の郷土料理をご紹介します。
岩国寿司、けんちょう、レタスのちしゃもみ、牛汁です。
山口県岩国市作られる岩国寿司は押し寿司の一種で、合戦の際の保存食が町民にひろがったといわれ…社会福祉法人 八生会さんの投稿 2019年4月18日木曜日
豚の代わりに牛肉を入れる牛汁は昔から各地で作られて来ました。山口にもこの牛汁文化は存在しています。
この牛汁はたくさんのゴボウを中心に里いも、人参、大根、こんにゃく、ねぎを入れて煮ていくのが特徴です。
しかし、もっとも特徴的なのは餅を入れること、これを入れることで汁物から食事、更にはおつまみに昇華させています。これでもかと言う位様々な具が入った牛汁をつまみながらお酒を飲むのも良いのではないでしょうか。作り方によっては肉中心にも野菜中心にも、あるいは餅を中心にもできますから、お酒に合った食べ方を研究するのもおすすめです。
長門焼きとり
山口のやきとりは一味違う!長門焼きとり
今日のおよる。長州どりの「長門やきとり」と「ながとりめん」
さくら食堂@長門湯本温泉 pic.twitter.com/WZEvBXh7oH— あおうみうし (@fugubus_3222) May 31, 2020
お酒のおつまみの定番と言えば、やきとりです。このやきとりを山口風に仕上げているおつまみと言えます。その特徴は、ガーリックパウダーを用いたり玉ねぎを使うことです。
塩焼きにしたやきとりにたくさんのガーリックパウダーを振りかけることで、ニンニクの美味しい香りが漂います。さらにねぎまのねぎを長ネギではなく、玉ねぎにすることで、より甘みを感じることができるのです。
博多の屋台で出されていたやきとりが山口へ伝わって独自の進化を遂げたことで、お酒に合うやきとりの魅力を別方向へ伸ばしました。また、柚子胡椒などを七味の代わりに使う等の特徴もあります。
このように独特なやきとりに仕上がっているのも、長門やきとりの魅力であり、当然お酒にも素晴らしい相性のおつまみです。
大平(おおひら)
たっぷりの鶏もも肉がポイント!大平
大平(おおひら/おおびら)3人前
山口県周防・長野県木曽・新潟・福井あたりの大皿料理
汁物煮物中間位の料理。今回は山口の大平で煮物寄り。#おうちごはん#おうちごはんを楽しもう pic.twitter.com/F39YD7oOyy— あかささのはべら (@mundzuk4179) May 18, 2020
大平、人の名前のようなこの料理もおつまみに合います。大平はたくさんの鶏肉と山口名産のレンコン、サトイモをはじめとした根菜類(このほかゴボウや人参も入れる)の煮物です。このユニークな料理名の由来は「大きな平たい鍋」を使って一気に煮込むことから名づけられたと言われています。
山口は、慶事や弔事(弔事の時は鶏肉を入れません)など様々な場面で提供される料理であり、当然それらにつきもののお酒にも合います。あっさりとした味わいなので、お酒の邪魔もすることも少なく、お酒が進む料理と言えるのではないでしょうか。大きなお椀にたくさんの鶏肉と根菜の入った料理でお酒がすすむこと間違いありません。
山口の食の文化や郷土料理について
山口は日本海と瀬戸内海に囲まれていることから、海の幸が豊富です。そのため、これまで様々な海の幸を生かした料理を紹介していきました。また、鶏肉も頻繁に食べられることが多く、長門焼き鳥や大平などお酒に合う肉料理も多くあります。
そんな山口ですが、野菜を使ったものや甘味など意外な視点からお酒を楽しめるおつまみが少なくありません。ここからは、趣向を変えて野菜や甘味などのおつまみを紹介し、まとめていきましょう。
その他
はなっこりーコロッケ
山口県のオリジナル野菜を使ったはなっこりーコロッケ
山口県のご当地コロッケ😋🍴
「はなっこりーコロッケ」コロッケって見つけるとつい
食べたくなっちゃいません😂?💕 pic.twitter.com/ic0Zjyy1mM— てぃら (@sgtmmsk) June 14, 2017
山口県では、県独自のオリジナル野菜を開発しています。その1つがはなっこりーです。この野菜はブロッコリーと中国野菜のサイシン(菜心、くせがないため様々な料理に用いられる)を掛け合わせた野菜として生まれました。冬に収穫できると言う特徴から、山口では冬に食べられることが多くあります。
そんなはなっこりーは味にくせがなくてブロッコリーのような甘味が感じられ、茎からつぼみまで全て食べることができる野菜です。このはなっこりーをサイコロぐらいの大きさに切ってコロッケの具に混ぜ合わせた料理がはなっこりーコロッケになります。
コロッケ自体もおつまみにできるように、このはなっこりーコロッケもおつまみに最適です。コロッケのサクサクした歯ごたえとはなっこりーのしゃきっとした食感でお酒が進む逸品に仕上がっています。飲食店や自宅でも作られることが少なくありません。
瀬戸内花嫁たいやき
具だくさんの洋風たい焼きはお酒にも!瀬戸内花嫁たい焼き
たい焼きの型を使ってワッフル状にし、そこに生クリームを入れています。フルーツや栗、アンシャンティ(紅茶の一種)、ベルギーチョコなどお酒との相性が良いトッピングがあるのも特徴です。
ういろう(外郎)
山口こそ本場!ういろうはお酒に合う
ういろうというと東日本の方は名古屋のお菓子をイメージする方がほとんどではないでしょうか。しかし、ういろうはもともと山口で生まれたお菓子として知られています。そして米粉を使う他のエリアのういろうに対しわらび粉を使用しているのです。
特に蒸していない生外郎は鮮度が命であり、山口県内で購入後そのまま食べるのがオススメの食べ方と言えます。この適度な甘さとつまみやすいサイズでお酒のおつまみにも十分ではないでしょうか。
低迷を打開し、時代の旗手となった山口県の酒 山口県といえば近年希に見る日本酒、の活況に見舞われています。10年以上連続で出荷量が前年を越えているのは日本でも山口県だけです。しかしこれは単なる偶然ではなく、各蔵元、そして酒造組合が一体となって対策を打ち出してきたからによるものだと言っていいでしょう。...
まとめ
山口県は、様々なおつまみがあります。いずれも個性的な料理やお菓子、食材ばかりで、お酒のおつまみとしてもかなり新鮮な体験ができるのではないでしょうか。もし、山口を訪れるようなことがあれば、これらのような魅力的なおつまみでお酒をいただくのもオススメの過ごし方です。