日本の最南端の県、それが沖縄県です。この沖縄県は離島という地理的な条件から独特な文化がはぐくまれ、酒文化においても泡盛など独自のものを持っています。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
海鮮系
チキアギー
沖縄風のさつま揚げ!チキアギー
チキアギーは沖縄風のさつま揚げです。地元沖縄で獲れる白魚をすり身にして、そこにゴボウやニンジン、時にグリーンピースなどを入れてこねて作ります。一見さつま揚げにも似た外見ですが、ゴボウをたくさん入れたり、あるいはグリーンピースの甘み、そして沖縄の魚の旨味がうまく調和して本土とは違ったさつま揚げになっているのが特長です。当然お酒に合わないはずがありません。
このチキアギーは、本土のさつま揚げのベースになったといわれる料理で、むしろこちらが本家と言われています。鹿児島県ではさつま揚げのことをつけあげと呼んでおり、チキアギーが逆に変化したものとされています。
グルクンから揚げ
沖縄の地魚を丸ごと食べる・グルクンから揚げ
息子が釣ってきた
グルクンでから揚げ(^^) pic.twitter.com/X2yjzpzyCP— シュガー @沖縄野菜ラブ♥ (@syuger1965) January 7, 2020
お酒とから揚げは鳥でも魚でも合います。沖縄のそんな魚のから揚げが、グルクンのから揚げです。このグルクンとは鮮やかな赤色の白身魚で、沖縄では年中獲れることからよく食べられる魚です。初めて聞く方も多いかもしれません。しかし、このグルクンは本土でタカサゴと呼ばれる魚で、もしかしたら食べた方もいるのではないでしょうか。
そんなグルクンを下処理し身と背骨の部分が分かれるような独特の背開きにして、塩をふったり小麦粉をまぶしたりして、油に入れて揚げます。そしてカラッとした鮮やかな小麦色になったら油を切ってレモンや沖縄特産の柑橘・シークワーサーの搾り汁をたっぷりかけるのです。熱いうちにお酒のおつまみにすれば、きっと沖縄らしいお酒が楽しめるのではないでしょうか。ちなみに骨も丸ごと揚げるので、頭から尾まで全て食べられます。
スクガラスの塩漬
小魚とお酒の相性は抜群!スクガラスの塩漬
お酒の珍味に塩漬けがあります。沖縄にはアイゴという地魚の稚魚、スクガラスを塩漬けにしたものが食べられているのです。このスクガラスの塩漬けは、そのままでも食べられます。しかし、現地で人気の食べ方は地元の島豆腐にかけてネギと一緒に食べるスタイル、まるで冷ややっこのような食べ方です。
冷ややっこと言えばお酒、塩漬けのスクガラスと島豆腐の冷ややっこでお酒が進むこと間違いありません。
イラブチャーの刺身
鮮やかな魚も刺身で絶品!イラブチャーの刺身
いらぶちゃー、初めてイラブチャーの刺身を食べる。
お造りなのに青の主張が激しくて一瞬食べるか戸惑うけど美味しかったです。 pic.twitter.com/gpienjpjqc— いらぶちゃー (@okadna35) April 22, 2018
沖縄の魚というとイメージするのが、鮮やかな色彩の魚ではないでしょうか。このイラブチャーもその一つです。さんごしょうの海にすむ青色をした魚で、本土では見られない位キレイな色をしています。こういった色の魚は味がどうなの、そう感じる方も多いかもしれません。しかし、このイラブチャーは現地で旨い白身魚として知られています。旨い魚は何にしてもおいしいですが、このイラブチャーは特に刺身がおいしく、お酒のおつまみにも最適です。
沖縄風にシークヮーサーをかけ、わさび代わりにコーレーグス(島とうがらしを泡盛に漬け込んだ沖縄県の調味料)をつけて食べましょう。酢味噌で食べてもおいしいおつまみです。
お肉系
ラフテー
沖縄の定番おつまみ!ラフテー
ラフテーは皮付きの豚肉で作る沖縄風の豚の角煮です。これだけの言葉を聞いただけでお酒に合うと感じるのではないでしょうか。このラフテーの特徴は泡盛と黒砂糖を使って煮込むこと、お酒を使って調理している料理はお酒との相性も抜群です。
よくソーキそばのソーキと一緒になっている方がいますが、これは部位の違いです。ラフテーは三枚肉など豚の角煮に使う部位を調理するのに対し、ソーキは骨つきあばら肉を使います。もちろんソーキもお酒に合いますが、単独でおつまみとして食べるならラフテーをおすすめしたくなります。
ナーベーラーンブシー
スパムを使った煮物料理・その名はナーベーラーンブシー
日曜日が終わる….
今日のおつまみは
・赤嶺鮮魚店さんの刺身盛り合わせ
・ナーベーラーンブシー明日からもお仕事頑張りますか^o^#酒のくわっちぃー pic.twitter.com/D5DINgweDj
— ゆーまー (@yuuuuu_man38) August 29, 2021
沖縄はアメリカ軍の駐留によってアメリカの食材も用いられるようになりました。その一つがスパム(ソーセージの材料を、腸ではなく缶詰に詰めたもの)を使った味噌煮、ナーベーラーンブシーです。もともとへちまを使ったシンプルな味噌煮でした。しかし、アメリカ文化が浸透し、そこにスパムなどの肉を加えた料理へ進化したのです。
へちまのどろっとした汁と食感、スパムなどのジューシーさなど様々な食感が楽しめるのでこれ一つでお酒がいけるおつまみと言えます。「ンブシー」は具が多い味噌煮込みを意味し、お店や家庭によってへちまと肉以外にも島豆腐など様々な具材を入れるのも特徴です。
ヒルヌファー炒め
ゴーヤだけが炒め物じゃない!豚のヒルヌファー炒め
ヒルヌファー炒めは、沖縄のニンニクの葉の炒め物です。豚バラ肉とニンニクの葉を調味料でいためただけの炒め物ですが、にんにくと豚の相性の良さを知っている人であれば、それだけでおいしいと感じるのではないでしょうか。
実際にヒルヌファー(にんにくの葉)と豚肉は相性がよく、炒めているだけでおいしそうな香りが漂います。それだけでお酒が進んでしまうほどの料理です。ただ、沖縄でも通年で食べられるのではなく、12~3月の寒い時期にのみこの葉が出回ります。そのため沖縄の冬の風物詩として楽しみにしている現地の方も少なくありません。冬の沖縄も寒さ逃れだけでなく、こういった冬独自のおつまみもあるのです。ヒルヌファーの鮮やかな緑と豚バラのおいしそうな色は、いかにもおつまみと言った印象の料理と言えます。
沖縄の食の文化や郷土料理について
沖縄は他の都道府県から離れた島が点在する県です。そのため島ごとに様々な食文化があり、ここでは紹介しきれないほどお酒に合うおつまみが多くあります。その種類の豊富さは魚や肉だけでなく、野菜がメインの料理も例外ではありません。ここからは野菜を使ったお酒に合うおつまみを紹介していきます。同じ食材でも他の都道府県では見られない調理方法で食べられている料理もあり、楽しめるのではないでしょうか。
それでは紹介していきましょう。
その他
ゴーヤー天ぷら
ゴーヤは天ぷらもおつまみに!ゴーヤー天ぷら
他の都道府県のスーパーでも並ぶことが多くなり、家庭菜園でも栽培されるようになった沖縄の野菜がゴーヤーです。このゴーヤーも肉や卵といためたゴーヤーチャンプルーで調理されることがほとんどですが、実は沖縄では違った調理がされます。それがゴーヤーの天ぷらです。天ぷらと言えばお酒との相性も良く、当然このゴーヤーの天ぷらも例外ではありません。天つゆも良いですが、沖縄の海塩で頂くことで、きっと沖縄らしいお酒のおつまみに感じられるのではないでしょうか。火の通りも関係しますから、カボチャのように気持ち薄く切るのがおすすめです。
ンジャナバーのスーネー
呪文のようなヘルシーおつまみ!ンジャナバーのスーネー
夕飯。帽子屋との昔話で思い出して久々に作ってみた。若い沖縄の子ももはや知らないかもね。ウムクジプットゥルー。美味でした。あとはンジャナバースーネーと、その残りで作ったツナとの炒め物、相方作のパパヤーとニンジンのシリシリーサラダ☆ pic.twitter.com/3au4Y5X6BW
— makoto otoguro (@makotoguro) February 16, 2016
ンジャナバーのスーネー、聞きなれない単語ですが、これもれっきとした沖縄料理です。これはふだんそう(不断草)とも呼ばれる沖縄の葉物野菜、ンジャナバーを使ったスーネー(白和え)のことを意味します。冬野菜の代表で、アクが強いもののエグ味が癖になるこの野菜は、苦味がおいしいビールにも合うおつまみです。舌を噛みそうな料理名ですが、きっと気づいたらスムーズに言える位お気に入りのおつまみになるかもしれません。
アロエの刺身
アロエの刺身・不思議な酒の肴
沖縄名物、天然のアロエ♪
スーパーに山積みで売ってた。198円!
醤油やポン酢をかけてアロエの刺身が定番みたい。
アロエは美肌効果、解毒作用、抗腫瘍作用、整腸作用など古代エジプト時代から万能薬として食べられていたそう。
お肌ぷるぷる! pic.twitter.com/AFpc92DsuD— くみんちゅ (@kuminchuu) January 10, 2015
アロエと聞いて連想するのが、化粧品やヨーグルトなどのデザートです。しかし、沖縄ではこの果肉は刺身にして食べます。刺身と言えばお酒、当然このアロエの刺身も意外とお酒に合うのです。濃厚な味わいのお酒やスッキリとしたお酒でも、お酒の味を邪魔しません。もちろん切り方によって味わいは全く変わりますから、そういったものをしっかり研究するのも楽しいのではないでしょうか。珍味のようなお酒のおつまみです。
沖縄県の地酒の歴史 沖縄県の地酒の歴史は泡盛の歴史と重なります。14世紀後半から15世紀頃に東南アジアのシャム国(現在のタイ王国)から酒を造るための蒸留技術が伝えられたことに始まります。こういった経緯もあり、現在も泡盛はタイ米などの長粒のお米を使って作られていると言われています。その後、黒麹の使用...
まとめ
沖縄は独特の食文化、そしておつまみ文化があります。今回紹介したのは一例であり、自分で探してみればどんどん魅力的なおつまみが見つかるはずです。そんな奥深い沖縄のお酒に合うおつまみを一度試してみてはいかがでしょうか。