日本最大の湖、琵琶湖が県の中央に位置するのが滋賀県です。滋賀県では、この琵琶湖を中心とした様々な文化がはぐくまれてきました。その一つが食文化です。琵琶湖とともに関西の文化にも影響を受けた滋賀県の食文化。当然中にはお酒にあうおつまみも少なくありません。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
湖魚料理系
鮒寿司
お寿司の原型？鮒寿司
琵琶湖の湖魚（こぎょ）料理の代表と言えば鮒寿司です。古くは奈良時代から食べられていた記録があります。この鮒寿司は米や塩などを使って漬け込んだ魚料理です。
ゲンゴロウブナに似ていることから命名されたニゴロブナを主に用いて塩漬けにしその後、塩抜きして炊いたご飯を入れます。さらにそのまま漬け込んでようやく完成する1年以上かけて漬け込む手間のかかる料理なのです。
魚を長期間漬け込むことから、独特の臭みが出ている料理でもあります。しかし、味わいは熟成されて非常に素晴らしいものとなっており、古くからお酒のおつまみとして滋賀県のみならず関西でも食べられてきました。スライスしてお酒と楽しんでも良いですし、お酒の締めにお茶漬けの具にしても相性が良い伝統料理です。
小鮎の甘露煮
琵琶湖の幸を凝縮！小鮎の甘露煮
琵琶湖はその大きさから、海にも負けない様々な魚が漁獲されます。そのうちの一つに鮎がいます。鮎は様々な料理にも出されるほどの琵琶湖の名物です。そんな鮎のうち、小さなアユの品種コアユを使って甘露煮にしたものも滋賀県のお酒に合うおつまみの一つに加えることができます。
このコアユは琵琶湖独特の品種であり、他の地域の湖や川には見られない品種とされています。そのコアユを関西名産の山椒やしょうゆ、酒、砂糖などで甘露煮にしたものがこの料理です。鮎の旨味と山椒の爽やかな香りを調味料がうまくまとめ上げ、ご飯のおかずやお酒のおつまみとしても素晴らしい料理として食卓で活躍してくれます。
ホンモロコの塩焼き
琵琶湖独自の魚を使った塩焼き！ホンモロコの塩焼き
ホンモロコの塩焼きが美味すぎる pic.twitter.com/tvNs9rOSj1
— けんじP (@velfekonda) December 21, 2019
ホンモロコをシンプルに塩焼きした料理、それがホンモロコの塩焼きです。このホンモロコという聞きなれない名前は実は琵琶湖周辺でのみ、その姿を見せる貴重な淡水魚として知られている大変美味しい魚です。
その味わいの良さから積極的に養殖が試みられており、福井県や山梨県でも生産されるようになりました。しかし、天然物は近年急激に数を増やしつつある外来魚の影響によってその数を激減しており、見ることが難しくなっている高級魚でもあります。そんな希少な魚をシンプルに塩焼きで頂けばその旨味を存分に楽しめます。この旨味とお酒との相性はバツグン。滋賀県でこの料理を見かけたら一度召し上がってみてはいかがでしょうか。
えび豆
京都のおばんざいにも数えられる滋賀の郷土食！えび豆
えび豆とは豆の煮物に琵琶湖名産の小エビ（3センチ程度のサイズ）、スジえびを加えた料理です。この料理が生まれた背景として、滋賀県は古来から大豆の産地でもあり、豆が多く収穫されてきました。そして琵琶湖の小エビをその豆に組み合わせて生み出された料理も出あります。
その味わいの良さから京都でも伝統的なお惣菜「おばんざい」として取り入れられるようになりました。食べやすいお惣菜でもありますから、お酒のおつまみとしてもつまみやすく、えび豆があるだけでもお酒が進みます。ふっくらと柔らかい大豆と、上品な味わいのスジエビとの相性が抜群な伝統料理で一杯飲んでみてはいかがでしょうか。
お肉系
とんちゃん
「とん」とつくのに鶏料理！とんちゃん
とんちゃんという響きから、豚料理を連想した方も多いのではないでしょうか。しかし、とんちゃんは高島市で親しまれているタレで漬け込んだ味付けの鶏肉（かしわ）です。滋賀県ではバーベキューの定番として持ち込まれることが多く、焼くだけで味のしみ込んだおいしい鶏肉が楽しめます。スーパーや精肉店で調理方法が工夫されており、みそ味やしょうゆ味など様々なとんちゃんを楽しむことができます。
応用料理として唐揚げにしたり、鍋に入れたりなどお酒のおつまみとしても様々な変化を見せてくれる魅力的な鶏料理です。もともと滋賀県の鶏肉専門店が考案したオリジナル料理も今や滋賀県全域の名物に成長しました。
鴨すき鍋
すき焼きとはちょっと違うかものすき鍋
滋賀県では、かつて冬場に琵琶湖へたくさんの鴨がやってきました。その鴨を狩猟で手に入れ、鍋にした料理が鴨のすき鍋です。すき焼きと同じようにしょうゆや砂糖ベースのたれを使いますが、鍋のように汁状に伸ばした点が特徴です。
鴨が葱を背負ってくるという言葉のように甘じょっぱい鴨肉と鍋に入ったネギとの相性は最高で、そこにお酒が入ると得も言われぬ旨味に変わります。かつては太閤秀吉も愛したというこの鴨のすき鍋、殿様気分で上等なお酒と一緒に楽しんでみるのもおすすめです。滋賀の冬の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。
近江牛のステーキ
滋賀が誇るブランド牛を贅沢に！近江牛のステーキ
日本には数多くのブランド牛が存在します。そのひとつに近江牛があり、滋賀県が誇る全国的に知られているブランド牛です。そんな近江牛の味をストレートに楽しめるのがステーキ、世界的な人気を誇る神戸ビーフに匹敵する旨味が口の中に広がります。
なぜここまで似ているのか、それは神戸ビーフとルーツが同じだからです。日本三大和牛と呼ばれている松阪牛や神戸ビーフは但馬産の黒毛和種を仕入れ、それぞれの土地で飼育して出荷しています。実は近江牛も但馬産の黒毛和種を利用しているのです。当然同じ牛を使っているのですから品質が高いですし、滋賀県の畜産家の方が丹精込めて飼育しているのでそれらの牛に負けることはありません。
肉質はきめ細かく、脂は甘くて、口の中でとろけると例えられる近江牛のステーキとおいしいお酒で贅沢を満喫しましょう。
滋賀県の食の文化や郷土料理について
琵琶湖を囲む滋賀県は、琵琶湖の幸を生かした料理やブランド牛を使ったり、調理に創意工夫したりした肉料理などがあります。それらはお酒との相性も良く、多くの方がこれらの料理とお酒を楽しんでいます。そんな滋賀県のお酒に合うおつまみは、これら湖魚や肉を使った料理以外にも様々なものが存在するのです。他県にも見られる食材を使って滋賀県独自の調理方法で料理にしたものや滋賀県の原料を生かしたお菓子などもそれに含まれます。これらも滋賀県らしいお酒に合うおつまみの一つとしておすすめしたいものばかりです。
次の項目では野菜やお菓子なども触れていきます。これらもお酒に合うおつまみと言えるので、一度試してみてはいかがでしょうか。
その他
赤こんにゃく
べんがらの赤が鮮やか！赤こんにゃく
赤こんにゃくは文字通り赤いこんにゃくです。べんがら（三二酸化鉄）という毒性のない鉄由来の着色料を使って作られたこんにゃくとして知られています。中世頃から作られている伝統食で、基本は煮物などに入れられることが多い傾向です。
お酒と一緒に楽しむのであれば、刺身でいただくのをおすすめします。クセがなくこんにゃくの刺身のように酢味噌や醤油でいただくのも良いのではないでしょうか。また、ごま油と塩などで食べるとそのレバーのような外見からレバ刺しのようなおつまみになるという感想も見られます。ただの赤いこんにゃくと言うわけでなく、鉄分も優れているため栄養も期待できるこんにゃくです。
丁字麩のからし和え
滋賀県独特のお麩を使った料理・丁字麩のからし和え
出遅れた…
滋賀県名物、丁字麩の辛子和えと赤こんにゃく煮を肴にイッパイどうぞ(^-^)
#カンパイ都道府県 pic.twitter.com/1R60aVTwh5— あーす（淡い海の人） (@earth_solid) October 23, 2016
丁子麩は最中のような四角い形のユニークなお麩です。この丁字麩のからし和えはお麩を和え物にし料理になります。ちなみにこの料理に使っている調味料はどろ酢と呼ばれるものです。白みそをべースにからしと酢を混ぜた滋賀県独自の調味料で、これを使うことで丁字麩をよりあっさり、おいしく、お酒に合うおつまみに仕立ててくれます。
湖のくに生チーズケーキ
湖のくに滋賀県のチーズケーキは一味違う！湖のくに生チーズケーキ
チーズケーキと言うと全国どこにでもあるようなイメージがあります。しかし、湖のくに生チーズケーキは日本酒の酒粕を原料に使っていることで他のチーズケーキとは一線を画しているのです。
地元滋賀県の各蔵元から仕入れた酒粕を使って、蔵元ごとの個性的な味わいをチーズケーキで表現しています。そのためお酒との相性も良く、おつまみにもなるお菓子です。
まとめ
滋賀県は、琵琶湖の幸を生かした湖魚料理をはじめ、近江牛などの肉料理、そして様々な地元の郷土料理やお菓子があります。これらはいずれもお酒と楽しいひと時を提供してくれるものとも言えます。そんな滋賀県のおつまみは、これら以外にもたくさんの種類があります。もし興味があれば、ほかの料理も試してみてはいかがでしょうか。打ち豆汁や近江牛のしぐれ煮など今回紹介できなかった料理がたくさん待っています。
日本最大の湖である琵琶湖をはじめ、豊富な自然に囲まれた滋賀県は、水や穀物に恵まれておりお酒造りがさかんに行われています。規模の小さな蔵元が多いですが、その分どこもこだわりを持った酒造りをしており、それぞれ個性があふれているのが特徴です。そんな滋賀のお酒は、お土産やギフトとしてもよく親しまれています。...
