江戸時代、日本の対外政策によって限られたエリアでしか海外との貿易ができませんでした。そのエリアが長崎県の出島です。この出島によって海外にある多くの文化が長崎に流入し、他のエリアでは見られない独自の文化が生まれました。
今回はこの長崎県のお酒にあうおつまみというテーマで紹介しまとめました。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
海鮮系
ハトシ
中国からやってきたパン料理!ハトシ
長崎のハトシ
食パンに海老しんじょを挟んで揚げたもの。
ハトシは「蝦吐司」。蝦はエビ、吐司はトーストという意味の中国語だそうだ。 pic.twitter.com/TQOIFYHjhg— きょ (@kyosshern) February 12, 2020
ハトシはエビのすり身などをパンにはさんで揚げた料理です。中国(清)から「蝦多士(ハートーシー)」という呼び名で伝わりました。
中国からアジア全域に広がり長崎以外でも形は異なるものの多くのハトシが存在します。揚げたてのハトシをほおばるとエビなどの海鮮の旨味がギュッとあふれ出、それをビールなどと食べればきっと素晴らしい体験ができるはずです。
ヒラス鉄火巻き
鉄火巻きなのに白い?ヒラス鉄火巻き
鉄火巻き(長崎仕様)
ヒラスなので、白身w pic.twitter.com/ZsPwAbSuhf
— 千葉 (@moto_chi_ba) June 30, 2020
鉄火巻きというとマグロの赤身を使った赤い芯のものを連想するのではないでしょうか。しかし、長崎ではマグロ以外にもヒラスという白身魚を使って鉄火巻きにする習慣があります。むしろ長崎ではヒラスの方が主流であり、チェーン店の寿司店以外では基本的に白い鉄火巻きが出てくるのです。
ヒラス(ヒラマサ)は長崎周辺でよく漁獲され、現地で獲れた新鮮なヒラスは、臭みがなく、ほどよい脂ともちっとした食感が魅力です。
当然マグロにも負けない美味しさであることから、鉄火巻きにしても決してマグロに引けを取りません。話のネタに頼んだつもりが、ビックリするくらいお酒にあうおいしいおつまみだと気づくのではないでしょうか。
いりやき
豊富な海産物を楽しむ!いりやき
いりやきは長崎県の海の幸をたっぷり加え、地野菜などもたくさん加えた寄せ鍋風の郷土料理です。
海の幸や野菜のダシで旨味の塊となったスープを飲めば、それだけで幸せな気分になります。もちろん、そんなスープで煮込んだ魚をつつきながらお酒を飲むと、おつまみとしても最高の料理だと分かります。ブリ(ハマチ)が主に使われており、ほろほろとした身とお酒の組み合わせを楽しんでみてください。地域によってはあらかじめ軽く焼いた魚を使うので、通常の寄せ鍋とは違った味わいを体験できます。
楽焼うなぎ
調理方法が決め手!楽焼うなぎ
長崎県は諫早市の『北御門』で
諫早名物『楽焼うなぎ』今年初の外食うなぎでした🌈#北御門諫早 #うなぎ#諫早市 #楽焼うなぎ#グルメ #ランチ #飯テロ pic.twitter.com/DhYZyl7VKi
— Koiぴー (@Koi66620207) August 25, 2020
長崎県諫早市は、古くから美味しいうなぎの名産地として知られています。そんな諫早市は名産であるだけでなく、うなぎの美味しい調理法の研究も長年行われてきました。そのうちの一つが楽焼鰻です。
うなぎをかば焼き風に開いて二重底になった京都の楽焼きと言う焼き物を使ってしっかり蒸し上げます。通常のかば焼きとは違ったふっくらとした歯触りと溶けるような舌ざわりでお酒ともよく合う料理として仕上がっているのが特徴です。もちろんこだわりのタレはうなぎのかば焼きを連想させる旨味と甘みの合わさった絶品タレです。
お肉系
東坡煮
卓袱料理の代表格!東坡煮(とうばに)
東坡煮は豚の三枚肉を使った角煮です。中国のトンポーローを元にしています。このボリュームや味わいの良さから卓袱料理には欠かすことのできない料理として利用されており、現在もその座を譲ることはありません。
とろとろの豚の三枚肉からあふれるジューシーな肉汁と旨味がお酒にぴったりのおつまみとして存在感を発揮してくれます。中国でも著名な詩人が愛したトンポーロー、詩人でない多くの方にとっても愛すべき長崎の肉料理のおつまみです。
パスティ
オランダから伝わった伝統料理!パスティ
#出島 #長崎内外クラブ メインディッシュのパスティ。
和風出汁でにたひき肉煮込みの上にパイ生地をのせたもの。
意外と和風に美味しく旨味を感じる一品。
長崎の伝統料理とのこと。 pic.twitter.com/5XSCb5ru1X— hideaki 610 (@hideaki_610) December 31, 2019
パスティは、オランダから伝わって長崎の伝統料理になったミートパイです。海外のようにトマトソースやベシャメルソースなどで煮込んだ具材ではなく、中国風に鶏ガラスープを使っているのが特徴的と言えます。
鶏肉や山芋、きくらげやモヤシを鶏ガラスープでしっかりと煮込み、ゆで卵が具材のアクセントになったミートパイです。外見は洋風のミートパイそのものですが、味わいは中華料理と言う長崎らしい奥深い味となっています。そんなボリューミーな料理も当然お酒にぴったりの相棒です。長崎流のパスティで一杯行きましょう。
角煮まん
気軽な本格肉まん!角煮まん
東坡煮を簡単に食べたいというニーズは少なくありません。そういったニーズにこたえるおつまみが東坡煮を肉まんの生地で挟んだ角煮まんです。
肉まんそっくりな製品が県外で多く販売されていますが、こちらはサンドした形状をしている点で食感や東坡煮の風味を存分に楽しめるメリットを持っています。お土産にも向いているため、長崎で購入したものを自宅の家飲みで楽しむのもおすすめです。
長崎県の食の文化や郷土料理について
長崎県は、諫早(いさはや)湾や日本海で獲れる海の幸や江戸時代、中国、欧州の唯一の窓口であった背景から異国の食文化が大きな影響を及ぼしているのが特徴です。
和食、洋食、中国料理の要素が互いに混じり合ったコース料理のような卓袱料理、中国人留学生向けに中華料理店の店主が発明した皿うどんや長崎ちゃんぽんが良く知られています。中国の精進料理が元になったゴマ豆腐が有名な普茶料理なども長崎の料理として有名です。この他おつまみではありませんが、中国からもたらされた製法を今に伝える五島手延うどんも知られています。
そんな異国情緒あふれる長崎の食文化や郷土料理、そしておつまみ、今度は切り口を変えてお菓子や海藻などのおつまみを紹介していきましょう。
お菓子や海藻
いぎりす
国名と混同しそうなグルメ!いぎりす
これぞ長崎のいぎりす pic.twitter.com/JjsA15RwG9
— タウ (@tau156) February 14, 2019
いぎりすと言うとイギリスを連想しますが、長崎ではイギスという海藻をようかん状に固めた料理です。このいぎりすですが人参やピーナツなどを練り込んで作られたもので、さっぱりした味わいを持っています。
お酒のおつまみとしても酢のもののような口直し役として活躍してくれるのが特徴です。
カスドース
カステラを一歩進めた通の味!カスドース
カスドースとは、カステラに卵黄をコーティングしてグラニュー糖をまぶして冷ましたものです。元々は平戸藩という藩の秘伝の味として代々作られていたものになります。
長崎と言うとカステラ、そんなイメージがありますが、このカスドースこそ現地で食べられているこだわりの南蛮菓子です。こういった経緯もあって何となく珍味的なイメージもあり、洋酒類との相性も良く、長崎らしいおつまみと言えます。
笋羹(シュンカン)
中国からやってきた野菜の盛り合わせ!笋羹
(普茶料理)の真骨頂、笋羹。見た目楽しい。左上のウナギ風のものも作り物(海苔で皮まで作ってある!)です。精進料理だから肉や魚やない。本来は、こういうものをたくさん並べて、皆で食べながら、打ち上げ兼反省会を寺でやっていたとか pic.twitter.com/2JHZK5gomW
— Sひろし (@1970er) October 25, 2014
笋羹は中国の普茶料理を参考に生み出された野菜の煮物です。擬製豆腐(豆腐と野菜入り卵焼き)やこんにゃくの揚げ物や野菜類が炊き合わせられています。
同じ名前で野菜の煮物が出されるエリアもありますが、長崎の笋羹は煮物だけではないという点が特徴です。つまみやすい料理が皿に盛られており、文字通りお酒に合うおつまみになっています。
日本列島の南西端に位置する九州地方。豊かな自然や歴史の魅力が感じられる名所が盛りだくさんです。九州といえば、温泉や文化財、そして農産物や海産物が豊富で九州地方全体がまさに日本のお宝箱。その中で今回は長崎県にスポットを当て、特に県内産の地酒についてご紹介していきたいと思います。 2013年ユネスコ無...
まとめ
長崎県は中国やオランダなどの欧州の影響を受けた食文化を持っています。他県では見られない個性的な料理が多くあり、お酒のおつまみにも合いそうなものがたくさんあるのも魅力的な点です。
初めて見るようなユニークな料理も多く、お酒を飲みながらこんな料理もあるんだ、そんな感想を持つことも少なくありません。話のタネになる美味しくて個性的な料理を食べつつお酒を飲めば、きっと話の花も咲くのではないでしょうか。