目次
奈良県の地酒の地域性と由来
奈良県は高原の豊かな伏流水や酒造りに適した寒冷な気候に恵まれ、良質な日本酒造りに適している地域です。県内には28の酒蔵があり個性的な製法を用い、味の特徴は酸味や糖分が活かされた濃醇甘口の酒が主流と言われています。貴重な歴史遺産に事欠かない地域ですが清酒発祥の地、日本酒と深い縁で結ばれた土地としても有名です。
三輪神社は酒造りの発祥の地としても有名で、神からのお告げで国を救うため酒を醸しました。大神神社は日本最古の神社で、毎年11月14日になると全国の蔵元から杜氏が集まって醸造祈願祭が行われ境内では酒の振舞いも行われるため参拝客が多いです。活日神社は杜氏の神様として有名で、日本書紀で疫病が流行した時代に酒を奉納すると去って国が富み始めたことが由来になります。
奈良県の地酒の歴史
奈良県の日本酒の歴史は古く、多くの寺院が建つため荘園で穫れた米を原料として造っていました。当時は僧坊酒と呼ばれ正暦寺のものはおいしいと評判で、米を3回に分けて発酵しやすくする三段仕込みや酒を腐らせないために火入れ殺菌を行うなど独自の醸造法が選ばれていました。日本酒は白く濁ったどぶろくでしたが、室町時代になって今のような澄んだ清酒へと変わったものです。
奈良県の地酒は大神神社から始まって時代とともに発展し、山々に囲まれた盆地にあるため冬場は寒くて酒造りが盛んです。清酒発祥の地の正暦寺は神仏習合の形態を取る中で鎮守や天部の仏に献上するため、荘園で作られた米を用いて自家製造されていました。現在は当時のような大規模な酒造りを行っていませんが、毎年1月に酒母の仕込みを行い奈良県菩提もとによる清酒製造研究会に属する奈良県の蔵元が持ち帰って清酒を醸造して福寿院で販売しています。
酒の味わいは米の旨味を堪能できる純米酒が多く、食中酒としてもおいしく味わえます。奈良漬とも相性がよく飲み口はスッキリし、キレの良いまろやかな口当たりになるなど伝統を受け継いでいます。
奈良県の有名な地酒の銘柄
奈良県の地酒で1番人気は明治26年に誕生した梅乃宿酒造の梅乃宿で、山田錦を中心とした酒造好適米を精米歩合55%で葛城山系の超軟水の伏流水で仕込んでいます。7年連続のモンドセレクション最高金賞に輝き、華やかな甘みと心地良い辛さが特徴です。
油長酒造は1719年に創業し、風の森は日本酒好きの間でメジャーになりました。全品純米、生酒、原酒、無濾過にこだわり、奈良県産の酒造好適米の秋津穂を使っていて人気です。
春鹿酒造は明治17年創業で春鹿は室町時代から江戸中期にかけて全国に名を馳せた奈良酒の伝統を受け継ぎ、キレの良いまろやかな口当たりに仕上げています。日本酒度13度の超辛口生もと造り原酒で、熱燗にするとおいしいです。
風の森
秋津穂を使って作られた県内トップの純米酒
酒蔵がある御所市周辺は葛城山の麓にあり、田んぼが多く自然に囲まれた場所にあります。酒米は奈良県産で酒造好適米の秋津穂を使用してフレッシュな味わいを楽しめ、自然な発泡感と濃厚な米の旨味を味わえることが特徴です。
酸化を抑えて作っているため炭酸ガスが残っていることが特徴で、アルコール感がうまく消される飲みごたえがあります。
御所市周辺は葛城山がありおいしい水が採れるため、米の旨味を引き出せるように酒造りにこだわっています。酒の味わいは濃さと甘さを両立させて飲みやすい味わいになり、初心者でもおいしく味わえて人気です。
奈良県産の酒米の秋津穂を使用するなどこだわっている
米の旨味を引き出せるような酒造りが特徴
酒の味わいは濃さと甘みを両立させて飲みやすい
- 酒造
- 油長酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市本町1160
- 電話番号
- 0745-62-2047
- 価格帯
- 890円~4350円
- ホームページ
- http://www.yucho-sake.jp/
- 通販
詳細情報
奈良県御所市にある油長酒造株式会社は1719年創業の老舗酒蔵です。奈良県は日本清酒発祥の地とされていて、現在の日本酒製造技術のはじまりとされています。 dencross 奈良の寺院の僧侶たちによって様々な酒造りの手法が誕生しました。油長酒造では、代々伝わっている技術をさらに進...
みむろ杉
地元の山の杉にちなんで付けられた地酒
蔵元がある桜井市三輪は大神神社が有名で、酒の神様として信仰された三輪山があります。その三輪山の杉にちなんでみむろ杉となり、350年以上の歴史があり地元流通商品のため入手が難しいです。
味わいは華やかな香りとフレッシュさがあり、初心者でも味わえます。酒米は山田錦を使用するなどおいしく仕上がるように製法を工夫し、甘みから米の旨味を引き出していることが特徴です。
芳醇な味わいですが爽やかさもあり、山々に囲まれた自然豊かな場所にあるため水にもこだわっています。飲み方は食事と一緒に味わうと本格的な味がするため、宴会などを楽しめることが魅力です。
酒の神様として信仰された三輪山にちなんでいる
酒米は山田錦を使用し本格的な味に仕上げている
華やかな香りとフレッシュさが特徴で飲みやすい
- 酒造
- 今西酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県桜井市三輪510
- 電話番号
- 0744-42-6022
- 価格帯
- 1512円~5950円
- ホームページ
- http://imanishisyuzou.com/
- 通販
日本酒の発祥の地とも言われている奈良県ですが、日本酒「みむろ杉」の蔵元は、奈良県桜井市にある今西酒造株式会社さんです。 dencross みむろ杉は、限定流通ブランドです。このお酒は、飲み口がよく、お米の芳醇な香りと旨みにすぐれています。 近年になっての日本酒ブームを受ける...
篠峯
純米酒にこだわった種類豊富なお酒
篠峯は限定流通商品として1999年から販売されています。
米の品種の違いによる味わいの変化を生かすために自家栽培の「山田錦」の他に契約栽培農家からの「山田錦」や「雄町」といった品種のお米も使用しています。
仕込み水は、葛城山の伏流水を自社井戸から汲み出してそのまま使用しています。その昔、葛城山のことを篠峯と呼ばれていた時期があったそうです。
千代酒造では、日本酒本来の姿である純米酒にこだわり、酒米作りから醸造まで一貫した酒造りに励まれています。篠峯は、種類が豊富で月別によって出荷されるお酒もあるので色々な味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
葛城山の伏流水を自社井戸から汲み出してそのまま使用しています
契約栽培農家からの山田錦や雄町のお米も使用しています
日本酒本来である純米酒にこだわっています
- 酒造
- 千代酒造株式会社
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市大字櫛羅621
- 電話番号
- 0745-62-2301
- 価格帯
- 720ml ¥1200~
- ホームページ
- http://www.chiyoshuzo.co.jp/
- 通販
「篠峯」を醸造するのは、奈良県御所市ある千代酒造です。 dencross 奈良は古の都の地にして、日本酒発祥の地。酒蔵のある御所の地も、飛鳥時代よりも古い時代に豪族が開いた地といわれています。 また、西に聳える葛城山は修験道の開祖ともいわれている、役小角が修行し...
春鹿
春日大社にちなんで付けられた奈良を代表する酒
春鹿の名前は春日大社の鹿から一文字づつ取っているため、地元の酒として親しまれています。酒の特徴は辛口で軽快でまろやかさがあり、精米をした酒米を使うなど本格的な米の旨味を出せるように仕上げています。
奈良の銘酒として有名な南部諸白の伝統を現在に受け継いでいることが特徴で、味やコク、香りなどすべての点で高い品質です。酒造りをする時は米や水、技、心を磨くと良い味わいになり、春鹿の製造理念として受け継がれています。
辛口のお酒は魚介類などと合うため一緒に飲むと本格的な風味を味わえ、穏やかな香りと凛とした切れ味が特徴です。
春日大社の鹿にちなんで付けられたお酒
奈良の銘酒の南部諸白の伝統を受け継いでいる
味やコク、香りなどすべての点で高い品質
- 酒造
- 今西清兵衛商店
- 酒蔵住所
- 奈良県奈良市福智院町24-1
- 電話番号
- 0742-23-2255
- 価格帯
- 756円~15357円
- ホームページ
- http://www.harushika.com/
- 通販
日本酒発祥の地として知られる奈良県で生まれた「春鹿(はるしか)」というお酒をご存じでしょうか。日本国内はもちろん、世界10か国以上に輸出されており、世界中の日本酒愛好家から愛されている銘柄です。 ここでは春鹿について詳しく知りたいという方に向け、その味わいや歴史をご紹介いたします。 製造元は...
花巴
呑んでビックリする酒と蔵元が話す通りの酒
山廃の寒仕込みらしさを感じる一本です。蔵元が呑んでビックリする酒と語られている通りの印象を栓を開けたと同時に感じることができます。見た目の色あい、そしてグラスに注いだ時の酒のトロみ、ここからだけでもある程度味わいが想像できてしまいます。
口に含むと濃厚な甘味を強く感じることができ、原酒ゆえのに力強さをも感じることがでしょう。乳酸菌から生まれたアミノ酸の影響でしょう、グッと濃厚な旨味も広がり甘味と旨味の複合感が楽しく無濾過ゆえの口当たりが華を添えます。
花巴は本醸造以外にも速醸など仕上がりの違うものがあります。寝かせ具合で味が変化しますのでお好みの一本を探すのをお薦めします。
山廃の純米酒、飲み口で驚かされる花巴
甘酸っぱさから山廃らしさを感じることができる
バリエーション豊富、好みの花巴を探そう
- 酒造
- 美吉野醸造
- 酒蔵住所
- 奈良県吉野郡吉野町六田1286
- 電話番号
- 0746-32-3639
- 価格帯
- 720ml 1620円
- ホームページ
- http://www.hanatomoe.com/
- 通販
「奈良にうまいもんなし」といったのは、明治の文豪志賀直哉。なんとも奈良の方々には失礼な話です。実際、奈良にも美味しいものはたくさんあります。三輪素麺や柿の葉寿司、そしておいしい日本酒。 dencross 今回ご紹介する「花巴」は、最近日本酒党の間で人気が高まっているお酒。こち...
百楽門
自家製精米にこだわるなど伝統を受け継いでいる純米酒
酒蔵は葛城山の麓の御所市にあり、仕込み水は金剛山系の地下水を使っています。山に染み込んでろ過されているため澄み切っていることが特徴で、酒米は酒造好適米の備前雄町を使っていることが特徴です。
精米歩合は60%でアルコール度は16度で、温度に関係なくおいしく味わえるため好みに合わせて飲めます。創業は明治20年と130年の歴史があり、葛城山の自然の恩恵の中で昔ながらの製法は用いていることが特徴です。
室町時代から続く伝統の菩提もと仕込みが特徴で、自家製精米にこだわって地元でしか味わえない酒造りを行っています。
室町時代から続く菩提もと仕込みが特徴
酒米は酒造好適米の備前雄町を使用
金剛山系の地下水を井戸で汲み上げて使っている
- 酒造
- 葛城酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市名柄347-2
- 電話番号
- 0745-66-1141
- 価格帯
- 1296円~5554円
- 通販
睡龍
新たなコンセプトで作られた純米酒
大宇陀町にある山深い場所にある300年あまり続く蔵元で普通酒が主体でしたが、純米酒に力を注ぐために平成15年に新しいコンセプトで作られました。
生もと仕込みで作られているため甘みや酸味だけでなく旨味もあり、2年ほど熟成させてから出荷することが特徴です。生もと仕込みは江戸時代からはじまり蒸米と麹と水のみで仕込み、天然の乳酸菌を活性化させた環境で酒母を育てます。
原料米に山田錦や秋津穂など酒造好適米を用いてアルコール度は16度と飲みやすく、精米歩合は65%で熱燗にしてもおいしくなるため食事と一緒に飲むと効果的です。
新たなコンセプトで作られた純米酒
江戸時代から続く生もと仕込みが特徴
原料米に山田錦や秋津穂など酒造好適米を使用
- 酒造
- 久保本家酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県宇陀市大宇陀出新1834
- 電話番号
- 0745-83-0036
- 価格帯
- 1337円~7560円
- ホームページ
- http://kubohonke.com/
- 通販
梅乃宿
120年の歴史を伝える大和の地酒
奈良は菩提山正暦寺に日本清酒発祥之地の碑が建ち、初めて日本酒が醸造されたという言い伝えがあります。梅乃宿は1893年に誕生して120年以上の歴史があり、大和の地酒にこだわって妥協せずに伝統を受け継いできたものです。
使用する酒米は兵庫県産の山田錦など酒造好適米を選び、透明感がある華やかな甘味と心地よい辛さが味わえます。
モンドセレクションで7年連続金賞を受賞するなど実績があり、IWC酒部門銀メダル受賞など世界に認められていることが特徴です。純米酒としてリッチな味わいになるため人気が高く、南部杜氏の技と魂を惜しみなく注いでいます。
モンドセレクションで7年連続金賞を受賞
大和の地酒にこだわって120年以上の歴史がある
使用する酒米は全国各地の酒造好適米を選ぶ
- 酒造
- 梅乃宿酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県葛城市東室27
- 電話番号
- 0745-69-2121
- 価格帯
- 920円~31960円
- ホームページ
- https://www.umenoyado.com/
- 通販
樽丸・百年杉 木桶仕込み
60年ぶりに復活した吉野杉の木桶仕込みの1本
林業の街吉野、吉野杉の良さを伝えるべく業種の枠を越えて吉野の街全体で作った酒とも言えるのが百年杉と樽丸です。木桶仕込みは実に60年ぶりということで、日本の伝統美を感じることができる一本といえるでしょう。
山廃仕込みならではの乳酸菌から生まれるアミノ酸の力強いコクと酸味を感じることができますが、何よりの特徴は吉野杉の木桶で仕込まれたことによる香りと味わいの柔らかさでしょう。
人によってウッディであったり、スモーキーであったり捉え方は違うと思いますが、間近に吉野杉を感じることができます。樽丸は吉野杉の樽に2週間貯蔵した酒です。樽と木桶仕込みの違いを感じる飲み方がお薦めです。
ウッディ、スモーキー吉野杉を間近に感じる香りの良さ
山廃のよさと木桶仕込みのよさが絡みあう一本
百年杉とは違うあっさりした樽丸のよさ
- 酒造
- 美吉野醸造
- 酒蔵住所
- 奈良県吉野郡吉野町六田1238番地1
- 電話番号
- 0746-32-3639
- 価格帯
- 720ml 2,667円(税込2,880円)
- ホームページ
- http://www.hanatomoe.com/
- 通販
アンフィルタード・サケ 山田錦 純米大吟醸 袋しぼり無濾過生原酒
アンフィルタードサケの名が示す通りの酒
ワールドワイドで展開している梅乃宿酒造らしさを名前から感じることができる酒と言っていいでしょう。アンフィルタードとはズバリ無濾過のことを指しています。
ラベルに書かれているほどの酸味は感じられず優しい飲み口を感じることができるのは、火入れも濾過もしてない生原酒の良さといえるでしょう。無濾過に意識が行きがちですが、山田錦を使った純米大吟醸らしいフルーティな吟醸香の良さは素晴らしいものがあります。
精米歩合は50%ですので雑味は少なくキレの良さも感じることができます。雪冷えでよりスッキリ飲むか、涼冷えでまろやかさを感じるかは迷うところです。
梅乃宿酒造らしい世界を意識したSAKE
無濾過の生原酒らしい濃厚な旨味と力強さ
山田錦の純米大吟醸らしい吟醸香の良さ
- 酒造
- 梅乃宿酒造株式会社
- 酒蔵住所
- 奈良県葛城市東室27
- 電話番号
- 0745-69-2121
- 価格帯
- 720ml / 1750円(税別) 1.8ml / 3500円(税別)
- ホームページ
- https://www.umenoyado.com/
とろとろの梅酒
あまーい梅酒が好きな方におすすめの梅酒
私がこのお酒に出会ったのは全国梅酒まつりというイベントに参加した時でした。日本梅酒品評会「にごり梅酒部門」で銅賞を受賞した梅酒とのこと。
「にごり・とろとろ」のフレーズだけで魅力的。グラスに注ぐとその名のとおりとろとろで甘い香りが広がります。完熟梅のペーストが入っていて八木酒造さんのホームページにも掲載されているとおり「桃のような甘さ」、その中にクッとくる焼酎がたまりません。
青梅を使ったスッキリとしたものも好きですが、このタイプの梅酒は特別感がありプレゼントに喜ばれそうです。のんあるタイプもあってお酒が苦手な方や授乳中のママも一緒にお酒の席を楽しめる、酒造さんの粋な計らいが素敵だなと思いました。
完熟梅のペーストが入ったとろとろ濃厚なあまーい梅酒
日本梅酒品評会「にごり梅酒部門」で銅賞受賞の実力
のんあるタイプもあるのでお酒が飲めない方とも楽しめます
- 酒造
- 八木酒造株式会社
- 酒蔵住所
- 奈良県奈良市高畑町915番地
- 電話番号
- 0742-26-2300
- 価格帯
- 1,500円~3,000円(750ml/1500ml)
- 通販
鷹長
葛城金剛山系の豊かな地形で育んだお酒
鷹長のコンセプトは日々をより豊かにそして愉しいひとときに変えることで、日本酒のイメージを一新する純米酒に仕上げています。
葛城金剛山系の豊かな地形は水や米などを作り、酒の個性を色とりどりに表現していることが特徴です。製法はろ過される前の芳醇な味わいを大切にしているため、上質で純真無垢なお酒になります。
使用する酒米は奈良県産のヒノヒカリで精米歩合は70%で、アルコール度は17度です。仕込み水は葛城金剛山系深層地下水で硬水ですが本格的な味わいがあり、スッキリしてまろやかで上品な甘みが特徴で飲みやすいです。
葛城金剛山系の自然豊かな場所で作られている
深層地下水で仕込み本格的な味に仕上げている
酒米は奈良県産のヒノヒカリを使用
- 酒造
- 油長酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市本町1160
- 電話番号
- 0745-62-2047
- 価格帯
- 1620円~1836円
- ホームページ
- http://www.yucho-sake.jp/
櫛羅
葛城山の麓で作られる本格的な地酒
酒蔵がある御所市は明日香の時代よりさらに古い豪族が開いた土地で、神話の里としても有名です。役行者が修行した霊峰葛城山の麓は櫛羅という地名で、地下水を自家井戸から汲み出してそのまま仕込み水として使っています。
酒米は自家栽培を行うなどこだわりがあり、山田錦を使用して本格的な味に仕上げていることが特徴です。精米歩合は50%で低温で熟成させてから蔵出しを行い、上品な吟醸香をそのまま瓶に閉じ込めています。
味わいは甘味と酸味のバランスが良く、寝かしても本格的な味わいになるため好みに合わせて飲むと良いものです。
葛城山の麓で作られる本格的なお酒
酒の名前は地名に由来し地下水を使用
酒米は地元で作られる山田錦を使うため本格的
- 酒造
- 千代酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市櫛羅621
- 電話番号
- 0745-62-2301
- 価格帯
- 1620円~4320円
- ホームページ
- http://www.chiyoshuzo.co.jp/
- 通販
今西 純米吟醸 朝日
三諸杉、みむろ杉でもない今西を冠にした酒
蔵元の名前を冠する酒が不味い訳がない、そんな先入観通りの美味い酒です。限定流通ブランド故にみむろ杉と比べるとお目にかかる機会が少ないのですが飲む機会があれば是非とも試して頂きたい純米吟醸です。
原料米には朝日米を使い精米歩合は60%なこともあり、シンプルな米の旨さ、ジューシーさが残っているのが感じられ滲みでてくるのがわかるでしょう。純米吟醸らしい吟醸香の甘い香りも酒欲をそそります。
全体的には豊潤でふくよかな甘味と旨味を感じることができます。甘い香りをひきたてるためにぬる燗あたりで飲むと香りとともにまろやかさも感じることができるのでお薦めです。
蔵元の名前を印した限定流通ブランド
朝日米の旨さがにじみでる豊潤な味わい
朝日米のうまさと吟醸香のバランスをぬる燗で味わう
- 酒造
- 今西酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県桜井市大字三輪510番地
- 電話番号
- 0744-42-6022
- 価格帯
- 720ml 1377円
- ホームページ
- http://imanishisyuzou.com/
- 通販
八咫烏
神話に出てくる瑞鳥にちなんで付けられた地酒
酒蔵は吉野にあり神武天皇が山中で道に迷った時に案内をした瑞鳥の八咫烏にちなんで付けられ、大正時代に商標登録しています。吉野といえば山林労働者が宿泊する宿場町で、大和から伊勢や熊野に抜ける交通の要衝でした。
1868年に北岡本店酒造業専業になり、150年の歴史があります。酒米は兵庫県産山田錦を100%使用し、純米吟醸酒ならではの深い味わいが特徴です。
ラベルをシンプルにするなど外見にかけるコストを減らし、清酒の中でも最高級な味わいをお得に楽しめます。アルコール度は15度で精米歩合は50%で、まろやかな旨味を味わえて穏やかです。
兵庫県産山田錦を100%使用し最高級な味わい
神武天皇の案内をした八咫烏にちなんで付けられた
ラベルをシンプルにするなど味で勝負している
- 酒造
- 北岡本店
- 酒蔵住所
- 奈良県吉野郡吉野町上市61
- 電話番号
- 0746-32-2777
- 価格帯
- 1868円~5746円
- 通販
豊祝
全国新酒鑑評会で金賞を受賞した大吟醸酒
酒米は山田錦を100%使用し精米歩合35%で仕上げ、長期低温発酵で米の旨味を最大限に引き出しています。アルコール度は16度から17度で使用酵母は明利酵母にこだわって作り、杜氏たちが妥協を許さない繊細な手作りを行っていることが特徴です。
味わいは華やかな香りに芳醇な旨味のバランスがあり、和食以外に洋食などと合うため食中酒としておいしく味わえます。豊祝会は全国新酒鑑評会で金賞を受賞したことを記念し、秋の恒例行事として開催されています。
会員は1800人と多く多くの講師陣を招き、酒本来の魅力を伝えていることが特徴です。
全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど実績がある
秋の恒例行事として豊祝会で酒の魅力を伝える
酒米は山田錦を100%使用し長期低温発酵で仕上げている
- 酒造
- 奈良豊澤酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県奈良市今市町3-430
- 電話番号
- 0742-61-7636
- 価格帯
- 1188円~30000円
- ホームページ
- http://nara-toyosawa.jp/
- 通販
憲
奈良で作られる入手困難な純米酒
憲は奈良県の地酒の中ではレアで生産数が限られ、入手困難な純米酒として注目されています。使用する酒米は100%備前雄町で精米歩合55%で、アルコール度は15度と純米吟醸酒の中でも無濾過原酒として有名です。
酒造りは機械化が進んでも手作りで昔ながらの方法を用い、麹造りから自家製酵母による本格的な味わいに仕上げています。酒の味わいは温度が上がると甘みが強くなりますが、ほんのりした香りになるため飲みやすいです。
原酒のため米の旨味を味わいながら本格的な手作りの酒を堪能でき、スッキリしたのどごしになるため人気があります。
奈良県の地酒の中ではレアで手に入りにくい
使用する酒米は備前雄町が100%
昔ながらの手作りが特徴の無濾過原酒
- 酒造
- 奈良豊澤酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県奈良市今市町3-430
- 電話番号
- 0742-61-7636
- 価格帯
- 2160円~
- ホームページ
- http://nara-toyosawa.jp/
倭姫
奈良県産五百万石を100%使用した純米酒
酒米は奈良県産の酒造好適米である五百万石を100%使用し、サーマルタンクで仕込みを行いキレの良さをそのままにふくらみのある酸と米の旨味と柔らかな吟醸香が調和の取れた味をイメージしています。
酵母は協会1901号を使用し精米歩合は60%で、アルコール度は17度でやや辛口に仕上がっていることが特徴です。酒の名前はヤマトタケルノミコトに草薙の剣を与えた倭姫命に由来し、地域に根付いた純米酒としても人気があります。
ほんのりとしたジューシーな味わいが特徴で、米の旨味や麹由来の風味があるため奥深さを感じる純米酒です。
酒の名前は倭姫命に由来し地元に根付いている
奈良県産の五百万石を使用し麹本来の味わいがある
サーマルタンクで仕込みキレの良さを出している
- 酒造
- 今西清兵衛商店
- 酒蔵住所
- 奈良県奈良市福智院町24-1
- 電話番号
- 0742-23-2255
- 価格帯
- 1458円~3240円
- ホームページ
- http://www.harushika.com/
千代 山廃純米酒
櫛羅、篠峯だけが千代酒造ではない
千代酒造が近年新しく取り組んでいる2つの日本酒、そのうちの1つの山廃の純米酒です。ちよブランドとともに蔵の名前を冠に宿した蔵元が力を入れた新ブランドでもあります。
コンセプトはきれいな酸ですから山廃での仕込みが使われたのも頷けます。山廃ならではの程よい酸味と五百石米のコクと旨味を強く感じることができます。
コクと旨味を強く感じることができる故に度数を14%に抑えてスッキリとした飲み口を実現させています。日本酒度は+10と辛口酒ではありますが精米歩合が65%でふくよかな1面も感じることができるでしょう。
スッキリとした味わいですから、ぬる燗で芳醇な1面を出すのもまた一興です。
きれいな酸をテーマに取り組んだ山廃純米酒
新たな挑戦をする蔵元の新たな酒の代名詞、千代
山廃の特徴を活かすべく度数を抑えた純米酒
- 酒造
- 千代酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県御所市大字櫛羅621番地
- 電話番号
- 0745-62-2301
- 価格帯
- 1800ml 1836円
- ホームページ
- http://www.chiyoshuzo.co.jp/
風香 純米大吟醸
風山香シリーズの代表的な一本、風香純米大吟醸
山風香シリーズは精米度合いに余裕を持たせた山香とシャープかつ雑味を残した風香どちらを選ぶかは迷うところです。但し風香シリーズは終売になったため、現状店頭に出回ってる分のみの在庫になるためまずは風香を優先して呑んでみるのが賢明でしょう。
なかでも風香純米大吟醸は山田錦を50%まで精米し、シャープさと複雑な旨味を実現した逸品です。風香シリーズは瓶詰め後も氷温で貯蔵されているため、新酒のような味と匂いがすると評価が高いのですが、特に吟醸香の豊かな大吟醸はこの恩恵を特に受けていると言えるでしょう。香りの高さ、深い味わいと旨味に新酒のような刺激感の調和が人気の秘密です。
純米吟醸か純米大吟醸か雄町か山田錦か迷う酒
山田錦精米度合50%の分柔らかさの残る旨味
終売品、店頭で見かけた際には要入手
- 酒造
- 梅乃宿酒造
- 酒蔵住所
- 奈良県葛城市東室27
- 電話番号
- 0745-69-2121
- 価格帯
- 1800ml 3300円(税抜)
- ホームページ
- https://www.umenoyado.com/
まとめ
奈良県の地酒の歴史は古くて三輪にある大神神社が酒造りの神が祀られ、全国の蔵元から杜氏が集まって祈願する神社です。
奈良県の酒は白い濁り酒で、室町時代に現在のような澄んだ清酒になるまで続きました。当時の日本酒は寺院の荘園で作られた米を使って僧侶が造っていたことが特徴で、中でも正暦寺のものはおいしくて人気でした。人気の秘訣は三段仕込みや火入れ殺菌など醸造法にあり、現在の清酒造りの原点とも言われています。
奈良県は盆地にあるため冬場は寒冷な気候に恵まれ、高原の豊かな伏流水や栽培される酒造好適米を使って良質な日本酒を造っています。県内には28の酒蔵があり酸味や糖分が活かされた濃醇甘口の酒が主流で、純米酒が多く熱燗にするとおいしいです。
奈良県は貴重な歴史遺産に事欠かない地域ですが日本酒とも縁が深く、清酒発祥の地としても注目されています。奈良県は酒を奉納して疫病から救ったことで盛んになり、当時の伝統が受け継がれている地域です。