県内の全体が起伏に富み、土地の高低差や気温差が激しい特徴を持つのが岐阜です。このエリアでは、伝統産業が多く根付いており、豊かな森林や優れた粘土質の地質が全国有数の工芸品を生み出す背景になっています。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
美濃焼のぐい呑み
岐阜を代表する焼き物のぐい呑み
岐阜の南部、東濃エリアで作られている焼き物が岐阜焼です。広いエリアで様々な美濃焼が焼かれており、その特徴は土岐、多治見、瑞浪、可児と個性が分かれています。この広範囲なエリアで焼かれている背景から従事する方も多く、エリア全ての生産量を合算すると日本屈指の陶磁器生産量を誇ります。
また、平安時代から焼かれてきた歴史を持ち、織田信長の保護を受けてもいます。このような歴史を持つ美濃焼は丈夫で実用性が高く、工業製品にも生かされている焼き物です。そんな実用性の高い美濃焼をぐい呑みにしたのがこの酒器です。まさに晩酌のための実用本位のぐい呑みです。毎日のお酒のおともに最適な酒器の一つといえるでしょう。
美濃焼の片口徳利
様々な表情を持つ美濃焼
美濃焼と言っても、その生産エリアの広さや従事する方の多さから非常に多彩な特徴を持っています。一口に美濃焼というくくりであっても全く異なった表情を見せることも多くみられます。
この美濃焼の徳利は、シンプルで素朴な雰囲気を持つ美濃焼とは一線を画し、金箔を贅沢に配した片口徳利です。黒色の美濃焼をベースに中央には華やかな金の模様が配されており、ハレの日にも利用できる酒器に仕上げられています。どんな場面でも活躍できる徳利で一杯楽しんでみてはいかがでしょうか。
美濃焼の白磁カップ
個性的なシェイプの白磁
美濃焼という名前が付いていても、全く性格の異なった焼き物が存在しているのが美濃焼の魅力です。この白磁のカップもその一つで、真っ白な白磁の美濃焼です。
足の部分には確かに美濃焼のイメージを感じさせますが、その上は美濃焼の一般的なイメージである黒く素朴な印象とはかけ離れた美しい白色とユニークなシェイプをしたラッパ型の酒器に仕上がっています。洋酒などを頂くのに最適な美濃焼の酒器といえ、これが美濃焼とびっくりするような印象を与えてくれるでしょう。
岩魚骨酒用の徳利
岐阜名物の川魚をお酒で楽しむ
岐阜の名物として木曽川、揖斐川、長良川といった木曽三川の豊かな河川が挙げられます。その河川では、多くの岩魚が漁獲され、焼き魚など様々な料理として岐阜の伝統的な食文化の一角をなしています。
そんな岩魚のもう一つの楽しみが岩魚を日本酒に浸した岩魚の骨酒です。岩魚を丸ごと入れることから、ある程度のサイズの酒器が必要となるのため、場合によっては専用の酒器を用いるケースも少なくありません。そんな骨酒専用の酒器と言えるのが、この徳利です。
岩魚をモチーフにしたユニークな形をしており、見ているだけでも楽しめる酒器といえます。岐阜の食文化、酒文化を堪能できる岐阜らしい酒器でもあります。
美濃焼のダルマ徳利
窯業の生産技術の高さが光る
徳利というとシンプルな形に絵付けや釉薬といった表面の模様で勝負している酒器が少なくありません。しかし、美濃焼は企業で様々な技術を利用した陶磁器生産が行われており、ダルマのような形がユニークなモデルを徳利として生産できる技術を持っています。
この酒器は徳利の胴部分に大胆なダルマ模様を配し、窯変紺、黒備前、黒鉄錆といったカラーバリエーションも揃えています。お酒の席の話題作りや縁起物としてお酒を楽しむのに最適な酒器といえるでしょう。
飛騨のひのきぐい呑み
世界文化遺産白川郷、このエリアでは木工技術も高く、古くから多くの木器が生み出されてきました。この酒器はそんな技術の一つ「折板(せっぱん)技法」を用いているのが特徴です。
薄くヒノキを切った板を高い技術でつなぎ合わせ、あたかも一つの器のように仕上げてあるのがこの技術で、木目が自然に繋がって見え、木の風合いをより強く感じられるぐい呑みに仕上げられています。
日本の木材加工技術を感じながら日本酒を楽しんでみるのも良いかもしれません。
冷感桜 グラス天開
岐阜の企業のガラス加工技術が生み出す酒器
ガラスの加工技術は、各国様々な種類が存在します。岐阜にもガラス加工技術が存在し、この酒器に生かされています。
17度以上では、雪の積もった涼しげなサクラの木の絵柄が冷たいお酒を注いで17度を下回ると満開の桜の絵柄に変化するのが特徴です。自宅にいながら、まるでお花見でもしているような印象を与えるこの酒器で、お酒の場を盛り上げてみるのもおすすめです。
オークヴィレッジのカップ
木という身近な素材を使い、環境との共生を目指したモノ造りをモットーに現代的なセンスで、家具や小物など様々な木の製品を生み出しているのが飛騨高山のオークヴィレッジです。
無垢の木にこだわった製品作りで手作りの持つ豊かな製品を多く生み出しています。この酒器は拭き仕上げという独自の技法を用いて丁寧に仕上げてあるのが特徴で、最後に植物性オイルを塗布しています。この特徴によって使い込むほど豊かな質感が生み出され、晩酌のおともにもピッタリの酒器になってくれるでしょう。豊かな岐阜の自然と木工技術が光るカップです。
東濃ひのきの一合升
神棚にも使われる檜を使った枡
東濃ひのきは文字通り、美濃焼が焼かれている東濃エリアで切り出されている檜です。
この檜は節が小さく香りが高いうえ、艶のある高い品質の檜であり、伊勢神宮の式年遷宮では外宮の用材として使用されている木材でもあります。こういった背景から神棚など神聖な用途に用いられるケースが多く、会社や自宅で目にする神棚も東濃ひのきで作られている場合も少なくありません。
このような神聖で品質の高い東濃ひのきを一合枡にしたのがこの酒器です。檜の香りが素晴らしく、日本酒のすばらしさを引き立ててくれる枡として利用できます。
まとめ
岐阜は飛騨や東濃の豊かな森林資源と美濃エリアの上質な粘土、そして岐阜の企業の高い技術によって様々な酒器が生み出されています。いずれも全国の酒器に勝るとも劣らない酒器が多く、実用性の面においても十分な品質を秘めています。
どちらかというと晩酌のように頻繁な利用に適した酒器が多い印象があるものの東濃ひのきの枡のように神聖な酒器が存在します。こういった懐の広さを感じながら、お酒を堪能してみてください。