うどん県と呼ばれる香川県は、文字通りうどんが有名な県として全国に知られています。そんなうどんの食中酒として、お酒を楽しむのもおすすめの時間といえますが、そんな時間をより豊かなものにする道具として酒器があります。
香川の酒器のうち、今回は漆器やガラス、陶器といったおすすめしたい酒器をまとめました。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
香川漆器の杯
香川漆器でいただく日本酒三種飲み比べ
なみなみと注いでくれている嬉しい pic.twitter.com/ys3M3NpAHn— カズヒコ (@kazu_hi_ko) December 5, 2020
香川は木の工芸品も有名!香川漆器の杯
香川漆器は江戸時代から続く香川の伝統工芸品です。もともと江戸時代に高松を治めていた松平家がこの文化を見出し、茶道や書道に付随して広く振興を図ったのが始まりとされています。高松藩の手厚い保護の下、職人の技術の向上が図られて全国的にもレベルの高い漆器技術を確立しました。
もともと中国伝来の漆技法に高松の独自技術を加えて新しい手法を取り入れているのが特徴です。例えば、黒い漆の中から朱色の漆を浮き出させることで黒地に朱の線彫りをあしらった蒟醤(きんま)、黒地・赤地・黄地などの漆面に色漆で絵を描いて更に彫刻した存清(ぞんせい)、色漆を塗り重ねて彫る芸術性豊かな絵模様の彫漆(ちょうしつ)などが有名です。
これらの技術をふんだんに用いて杯にしたのがこの酒器になります。
もともと漆器なので、軽く持ちやすいだけでなく浮き出た模様の美しさでお酒の場も、より華やかなものとなるでしょう。
庵治石硝子のちょこ
店内ガラスケースにて庵治石特集をしています。
庵治石のキーフックやさぬき庵治石硝子の食器など様々な庵治石関連商品を展示販売しています。ぜひチェックしてみてください! pic.twitter.com/sO7XuaZSvY
— かがわ物産館 栗林庵 (@ritsurinan) August 27, 2020
香川のガラス技術が光る!庵治石硝子のちょこ
香川の山には庵治石(あじいし)と呼ばれる石が採掘されます。北東部に位置する庵治地方にだけ産する花崗岩で、その美しさから花崗岩のダイヤモンドという異名を持っています。主に高級な石製品に用いられることの多い石材です。
そんな庵治石をガラスの原料にしたのが庵治石ガラスで、庵治石の特徴である構成鉱物のひとつひとつの結晶が極めて小さく結合が緻密な性質が生きたガラスという特徴を持っています。さらに完成したガラスの質感は、瀬戸内海のマリンブルーそのもの、一躍香川の名産品として知られるようになりました。
そんな香川らしい逸品を、ちょこにしたのがこの酒器です。お酒を注いで口に流し込めば、瀬戸内の美しい海が喉を通り過ぎていきます。特に夏の暑い日に冷たい日本酒で楽しむのがおすすめです。
もちろん寒い日でもどこか温かみを感じる青色は、決して合わないわけではありません。肉厚なちょこで楽しんでいる方も気分を変えて試してみるのはいかがでしょうか。
GlassTai.m(グラスタイム)のグラス
新進気鋭のガラス作家集団の手掛ける酒器!
glasstai.m(グラスタイム)は、ガラス作家の夫婦と、スタッフでもあるもう一名のガラス作家が運営するガラス工房です。主に日常使いの器を手作業で作っており、全品完全ハンドメイドのガラス製品ばかりです。もちろんエキシビジョンという形で全国に作品展示を行っており、2020年だけでも倉敷、東京日本橋、熊本、京都、福岡、そして東京の人気スポットとして成長しつつある北千住でも発表しています。香川県中部、綾川町に工房を構えて製作されるガラス製品は手作りならではの温かみを感じさせます。
そんな同工房で生み出されるガラス製品にはグラスのような酒器もあります。どんな用途にも使えるグラスは、ビールはもちろん日本酒や焼酎、ハイボールといったのど越しの良いアルコール飲料を楽しむのに最適です。簡単なガラスのコップで楽しむのも味があっていいという方も、このような手作業のガラス製品で頂くお酒もきっと楽しい時間を過ごせるはずです。
ガラス工房 グラスタイムのHP
住所:香川県綾歌郡綾川町陶5590-5
猪熊猪口
【ミュージアムショップ】寒くなってきましたね。温かいお飲み物でホッとひと息いかがですか。猪熊猪口で、、、https://t.co/RCuUduWpz6 pic.twitter.com/Uuv2iPHagP
— 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 MIMOCA (@mimoca_org) November 16, 2019
香川のアーティストのデザインが施された猪熊猪口
猪熊 弦一郎(いのくま げんいちろう)氏は香川県を代表する洋画家の一人です。昭和初期から平成前期にかけて活躍し、フランスの大画家であるアンリ・マティスの師事を受けた人物でもあります。香川県の芸術シーンに強い影響を与え、香川県庁のレリーフデザインも手掛けたアーティストです。
そんな猪熊氏のイラストをお猪口にあしらったのが、この猪熊猪口です。様々なデザインが用意されており、気分に応じて使い分けるのも楽しいかもしれません。お前の絵はうますぎると師匠のマティスに批判的に言われたことに衝撃をうけ、とにかくシンプルな絵から美しさを見出そうと一生をささげた猪熊氏。どこかゆるいイラストに見えますが、その裏には熱い魂が宿っています。
そんな背景を知ってお酒を飲むのも良いですし、ゆるいイラストがかわいいという感覚で楽しむのも良いかもしれません。美術館のミュージアムショップという酒器とはどこか縁遠いような場所にあるのも印象的な酒器です。
花吹後藤塗 漆塗りのビールグラス
ガラスと漆器のハイブリッド!花吹後藤塗 漆塗りのビールグラス
これまでの印象として香川の工芸品は、漆器とガラス器が中心であると感じたのではないでしょうか。そんな香川の強みを組み合わせた工芸品がこの酒器です。
丈夫なガラスのグラスに漆器職人が朱塗りを施して、まるで足の部分が木製の漆器のような印象を与える作品に仕上がっているのが最大の特徴です。まるで花びらが舞い散っているような朱色の足は、お酒の場をさらに華やかなものにさせるでしょう。ガラス器でありながら、その風合いの変化は漆器そのもので使えば使うほど味わい深いビールグラスの風合いに変化していきます。
ガラス器でありながら漆器でもある、そんな独特の風格を漂わせるビールグラスで、同じく職人の技が光るクラフトビールをゆっくり楽しんでみるのも良いかもしれません。きっと華やかで奥深い上質な時間をこの酒器は提供してくれるでしょう。漆器は木器という常識を覆す独特な印象の酒器です。
渕広丸盆 後藤塗
徳利やお猪口のお供に・ひょうたん盆 後藤塗
後藤塗(ごとうぬり)は香川漆器の一つです。香川漆器の伝統的工芸品に指定されている五技法の中の1つを言い、朱を基調にした飽きのこない文様が特徴です。シンプルなだけにどんな徳利やお猪口にも合うというのが特徴で、酒器の一角としてそれらの酒器の下敷きとして利用できます。
また、ひょうたん盆というどこか愛嬌のある形は、お酒の場を和やかな雰囲気に演出してくれるでしょう。創始者である後藤太平氏の名前が後世に残るほど香川漆器の中でも画期的な技法として知られる後藤塗はきっと様々な酒器の魅力を倍加させてくれるはずです。
創作工房どいのロックグラス
昨日創作工房どいさんの所にお邪魔した時に風先輩のロックグラスを購入しました。
楽しいお話も聞けて楽しかったです( *´艸`) pic.twitter.com/SmZXgulkke— ティーパーティ (@0141_tea_party) January 13, 2019
観音寺のオリジナル製品製作で生み出される創作工房どいのロックグラス
香川県の西端に位置する観音寺市(かんおんじし)にある創作工房どい。この工房では様々なガラス製品にデザインを施す工房です。そのデザインは多岐にわたり、贈り物やオリジナルデザインのオーダーメイドガラス器などあらゆるニーズに対応しています。
今回紹介するのは、そんな工房で加工されたアニメキャラクターのロックグラスです。複雑な描写がみられることが多いアニメキャラクター、そんな描写も制約なくロックグラスに仕上げてしまう技術を持っています。お気に入りのキャラクターのグラスで、その作品を楽しむというのも良いかもしれません。
創作工房どいのホームページ
住所:香川県観音寺市古川町146-7
まとめ
香川は、漆器とガラスを中心に様々な工芸品を活かした酒器があります。これらの酒器は、グラスや杯、そしてお盆に至るまで決して陶器にも負けない実力や性能を秘めたものばかりです。
また、現代的なセンスを生かした自由な酒器も多く、アニメキャラクターのデザインが施された酒器すら存在する革新的な製品も見られます。ただ、どんなに革新的なものと言っても根本には香川の自然を活かした素材や香川の美しい風景にインスピレーションを受けたものばかりです。
そんな香川の酒器でお酒を楽しんでみませんか。きっと瀬戸内のさわやかな風景や香川の森林、そしてそこから派生した文化を感じることができるはずです。まずは今回紹介したおすすめの酒器を中心に品定めをしてみてはいかがでしょうか。