四方を山に囲まれた県、それが長野県です。自然豊かなこの地理的な特徴は、海こそありませんが豊かな食文化を生み出してきました。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
お肉系
馬刺し
信州も有名!おつまみに最適な馬刺し
馬刺しというと西日本の方は熊本名物、東北の方は福島名物とイメージしている方が多いのではないでしょうか。しかし長野県でも古くから馬を飼育する文化があり、食文化としても馬肉を食べる習慣があります。もともと農耕馬として飼育していましたが、様々な事情から手放すことになった馬を食肉として食べる習慣ができたのです。
その後一気に馬肉を食べる習慣が長野県内に広がりました。その需要に県内の生産では追い付かず東北から輸送することもしばしば、新宿経由で沿線の松本などに多くの馬が送られたのです。そういった経緯から馬肉文化は長野県の中央部の松本で特に盛んになり、馬刺しはお酒にあうおつまみとして現在も親しまれています。
山賊焼き
長野名物のニューフェイス!山賊焼き
山賊焼きは、鳥の竜田揚げのような料理です。
竜田揚げと違うところは、すり下ろしたニンニクやタマネギを効かせた醤油タレをじっくりと漬け込むこと。これによってニンニクのパンチが効いた揚げ物料理に仕上がります。通常はモモ肉ですが、ボリュームのある胸肉を使ったものがあり、食べ応えも抜群です。こういったから揚げのような揚げ物はお酒に合わないはずがありません。
ちなみに山口県にも同名の料理がありますが、これは炙り焼きの焼き鳥です。これらの違いを楽しむのも良いのではないでしょうか。
おたぐり
馬のホルモン煮込み!おたぐり
おたぐりは長野の南エリアの伝統料理で、馬のホルモンの煮込みです。馬の肉を食べる習慣についてはお話ししましたが、肉を食べれば当然内蔵、ホルモンも食べます。刺身では難しいので、煮込み料理にして食べる習慣があります。それがこのおたぐりです。かつて調理する際に馬の体内からホルモン(主に腸)を取り出す動きがたぐりよせる動作だったことから、この名前がつきました。ホルモンなので独特の香りがありますが、刻みネギや唐辛子を加えるとお酒にあうおつまみとして美味しくいただけます。味噌味で作るところと塩味で作るところがあり、好みを見つけるのも良いかも知れません。
牛や豚のホルモンの煮込み(もつ煮やどて煮など)では物足りないという方にもお勧めしたいおつまみです。
ジンギスカン
長野もジンギスカンが有名!
羊肉の焼肉、ジンギスカンと言えば北海道を連想する方も多いのではないでしょうか。しかし、長野県では北部と南部に有名なジンギスカンのスポットがあり、多くの長野県民に親しまれています。
北部では信州新町という山間部で広く食べられており、ジンギスカン街道と呼ばれる店舗が集中したエリアが知られています。南部では遠山郷の遠山ジンギスが有名です。ここは伊那谷と呼ばれる山岳地帯であり、そこで従事する労働者のためのスタミナ源として導入されました。こちらは北部と異なり、羊肉に限らずたれで漬け込んだ肉であれば何でもジンギスと呼んでいます。その為イノシシやシカなどのジビエも製法が同じならジンギスと呼びます。また店舗によってはたれ漬けの鶏肉もそう呼んで出されることもあるのです。いずれも信州らしいリンゴがたくさん入った特製だれで柔らかく、お酒がどんどん進むおつまみです。
お野菜系
野沢菜漬け
長野の漬物の代名詞!野沢菜漬け
野沢菜漬けは、長野の地野菜である野沢菜を塩漬けにした漬物です。全国的に知られている漬物であると共に地元長野では「お葉漬け」と呼ばれています。漬け込む環境が寒ければ寒いほどやわらかでおいしい野沢菜漬けになるとされ、かつては雪の降る中、漬け込む様子も多く見られたようです。おつまみとしてもお酒に合う漬物で、漬けてから数日程度の浅漬けや乳酸菌によって発酵し光沢のあるアンバー色になった古漬け等様々な野沢菜漬けがあります。
もともと京都のカブを長野で栽培すると葉だけが成長してしまったという経緯があることから、どこかカブの漬物を連想させる風味をわずかに感じさせる漬物です。また、お店や家庭によって昆布や煮干し、柿の皮、酒、トウガラシなど様々な食材を加えたつけ汁を用いている為、場所によって野沢菜漬けの味も異なります。
そういった違いを楽しんでお酒を飲むのもおすすめです。
おやき
野菜たっぷりの軽食おつまみ・おやき
おやきは先ほど紹介した野沢菜を刻んだものや切り干し大根などの煮物を刻んだもの、丸ナスと言うボールのようなナスを入れたものなどを地元で挽かれた粉、地粉の生地で包んたものです。地域によって文字通り焼いたり、あるいは蒸したり、蒸したものを炙ったりして食べられています。最近ではピザやポテトなど若者を意識した具を入れる所もあり、あんこなどを入れる場合も少なくありません。
お酒のおつまみとしても楽しめる軽食であり、お酒のしめのご飯代わりに頂くというのも良いのではないでしょうか焼くか蒸すかと言った製法ごとに違うおやきをお酒で楽しむのもおすすめです。
にらせんべい
ニラチヂミに似ている?にらせんべい
長野のソールフード
「にらせんべい」作りました。
(⚠️地域により異なります⚠️)😋いっただきま~す😋 pic.twitter.com/8eF4HGNnDr
— いくたん ✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。 (@smile_ikutan) July 11, 2020
にらせんべいは、にらを切って薄力粉やみそ、醤油を混ぜた生地に加えて揚げるように焼いた料理です。製法からも分かる通り、外見が何となく韓国料理のニラチヂミに似ています。しかし、にらせんべいの方が厚みがあり、たれをつけて味付けをしなくともそのまま食べられるという違いがあります。その食べやすさ、気軽さがお酒のおつまみとしても適しており、にらせんべいとお酒の組み合わせも合います。
少ない材料でできるので、もう一品おつまみが欲しいと思った時も簡単に作れるのも魅力です。
長野県の食の文化や郷土料理について
長野県は内陸県であり、山深い事から独自の食文化を作ってきました。今回は触れませんが、イナゴや蜂の子(蜂の幼虫)、ザザ虫(川に生息する虫)などを佃煮にして食べる習慣もあります。ただ、そういった環境であっても他県の食文化を吸収し、長野の食文化に合った料理にすることも多いのです。もちろんそういった料理の中にはお酒にあうおつまみとして楽しめるものもたくさんあり、今回紹介しきれない位存在しています。また、ジビエ料理も有名で鹿やイノシシ、時にクマなども調理され、ローストにしたり、シチューやカレーに入れたり、と言った料理が提供されるお店も少なくありません。最後に紹介するのは、お酒に合うおつまみと言えるお菓子や軽食のような食品です。これらもお酒を楽しむのに最適と言えます。
その他・お菓子系
五平餅
長野の五平餅もお酒の相性は最高!
五平餅は全国各地にありますが、長野県でも名物として供されています。特徴は、団子型やわらじ型に形成し、そこに長野の名物であるくるみをいれたり、ごま、時に田楽のように山椒の芽を入れることもあります。さらにユニークな形である御幣(正月の鏡餅に飾れている四角い形の紙が連なったもの)を模した波形の五平餅も見られるのが特徴です。これらの五平餅とお酒との相性も良く、一串用意するだけでもお酒が沢山楽しめます。
朴葉巻
朴葉の香りでお酒が進む!朴葉巻
本日6/16は「和菓子の日」🍵
848年のこの日、仁明天皇が16個の菓子を神前に供えて疫病退散・健康招福を祈願したことに由来し制定。
木曽の初夏を代表するお菓子の「朴葉巻」の販売が始まっています✨#木曽 #朴葉巻 #和菓子の日 #今日は何の日 pic.twitter.com/8GHNPaHmaR— し あ わ せ 信 州 (@nagano_b) June 16, 2020
朴葉巻きは、朴葉と呼ばれる良い香りの葉であんこの入った団子状の生地をくるんで蒸したものです。県外の柏餅のように端午の節句などでよく食べられます。朴葉は香りがよく、全国各地で料理に利用されていますが、このようなお菓子として食べるのは長野ならではです。通常のあんこ以外にもクルミを入れたクルミあんなどもあり、いずれもお酒と合うおつまみです。
くるみおはぎ
長野名産のクルミを存分に楽しむ!くるみおはぎ
くるみおはぎ🍡
長野県に出張さいこう🙌 pic.twitter.com/kVhbZEMKmK— たべべ(てるみ) (@game_to_gohan) July 27, 2020
長野は全国一のクルミの産地です。その為料理に限らずお菓子にもクルミは盛んに用いられます。このくるみおはぎもその一つです。クルミをすって砂糖と絡め、おはぎのあんこ代わりにたくさんつけたお菓子に仕上げられています。これをほお張れば、上質な甘みがお酒と好相性。きっとおいしいお酒がいただけるのではないでしょうか。
日本酒が有名な場所といえばどこを思い浮かべますか?米どころの新潟県と答える方が多いかと思いますが、実は長野県には新潟に続き全国で2番目に多い地酒蔵元があるんです。 味の特徴とオススメの銘柄 味の特徴としては、美山錦は稲が他の稲とも比べ早く成長する「早稲」という種類の米で米質は硬く醸造の時に溶けに...
まとめ
長野県は、海こそありませんが様々な食材が沢山あります。そしてそれらを生かしたお酒に合うおつまみも少なくありません。そんな長野県ですが、今回紹介しきれなかった川魚料理なども名物です。もし機会があれば、そういった料理もおつまみとして頂いてみてはいかがでしょうか。きっと海の魚にはない素晴らしい味わいでお酒が進むはずです。