全国2番目の狭い面積でありながら、日本の人口の7%が集中する大阪、この大阪は関西の文化の中心として昔から続いてきました。
そんな環境でありながら、西日本におけるビジネスの中心という側面から他の都道府県より人々が集まり多くの文化の影響を受けています。そういった環境で食文化も同時に発展し食い倒れの街大阪という言葉も生まれました。
※この記事を書いたライターランニングフリージーのプロフィール
たこ焼き
大阪の定番!たこ焼き
全国で日常的に食べられるようになったたこ焼き。ご存知の通り大阪発祥のB級グルメです。
もともと福島県の会津出身の遠藤留吉氏によって従来からあったラヂオ焼き(ボール状の中に牛筋などが入った粉もの料理)や明石焼き(タコの切り身を卵で包んで球状にした料理)から着想を得て、大阪の屋台でたこ焼きを販売するようになりました。同氏が営んでいた会津屋は、現在も西成区で営業をしており三代目の店主が腕を振るっています。
そんなたこ焼きも大阪では非常に多くのお店が軒を連ねており、スタイルも様々です。同じたこ焼きでも表面がカリカリしたもの、しっとりしたもの、バランスを重視したものなど店ごとに異なります。
そんなたこ焼きは専門の居酒屋ができるほどお酒との相性も抜群、是非お酒と一緒に本場のたこ焼きを楽しんでください。
豚まん
西日本の肉まん!豚まん
東京を中心とした東日本では肉まんと呼ばれるこのグルメは関西で豚まんと呼びます。あえて豚と分けるのは、肉と言うと関西では牛肉を指してしまうため、牛肉の饅頭ではないことを示すために豚と付けています。
大阪は日本で二番目に外国人の居住者数が多く、中国の方も多く居住しています。また、神戸の中華街にも地理的に近いことから中華料理も盛んにつくられているエリアでもあるのです。そういった背景から20世紀初頭に豚まんが生み出され大阪の食文化に浸透していきました。
辛子をつけて食べるのも特徴であつあつの豚まんとお酒との相性も最高です。また、ディープな関西人は練りからしの他にウスターソースを少しつけて食べる方もいます。固定観念を払しょくし、そういったおつまみの楽しみ方も試してみる価値があるかもしれません。
お好み焼き
お好み焼きは大阪風で!
大量のみじん切りキャベツを生地に混ぜ込んで、イカや豚肉などを加えて焼き上げる、これが大阪風のお好み焼きです。基本的に大阪風のお好み焼きも広島風のお好み焼きや京都の洋食焼き(具材をいためて薄いクレープ状の生地を上に乗せる料理)に似た材料を使います。
しかし、大阪風の特徴は焼き上げた際のふんわり感を出すために山芋を混ぜ込むこと、これによって他のお好み焼きや粉もの料理にはない食感がある特徴を持っています。そんなふんわりした大阪風のお好み焼きを鉄板で焼きながらお酒を飲めば一気に大阪気分になること間違いありません。
串カツ
二度付け禁止のグルメ!串カツ
豚肉や玉ねぎを串にさして揚げた料理、それが串カツです。大阪では、それに加えて様々な具材を串にさして衣をつけて揚げることから「串揚げ」の別名もあります。もともと昭和初期に大阪新世界の飲食店「だるま」というお店で釜ヶ崎の肉体労働者のために出したのが始まりとされている料理です。
牛かつを串で刺したものが串カツだったのですが、様々な食材を使って揚げるようになり現在に至ります。こちらもたこ焼きの会津屋のようにお店が現存しており元プロボクサーの赤井英和氏の後輩が4代目を引き継ぎ海外出店するまでに成長しています。そんなエピソードあふれる串カツは、ソースの容器へ一度口にした串カツを二度付けするのは厳禁です。自宅で食べる時も大阪ルールでお酒と一緒に楽しみましょう。
いか焼き
たこ焼きもあればいか焼きも!
阪神百貨店の地下で売ってるいか焼きは有名やな。
いか焼き言うたら夜店の屋台でようあるけど、ここのはホンマに上手いんや。 普通のんは卵なし。卵入りはデラバン(デラックス版)。 pic.twitter.com/lzCKA1PCKp— 最速デーハー!鳴子章吉の【大阪あるある】 (@narukosyoukiti) September 24, 2020
いか焼きというと関東ではイカのワタを抜いたものを串にさして焼く料理をイメージします。しかし、大阪をはじめとした関西では、粉もの料理を指すのです。
このいか焼きは、イカの切り身をクレープ状の小麦粉の生地に入れてあつあつの鉄板に広げ、生卵を載せます。そして鉄板に押し付けて薄く焼いて作るという流れで供されるのです。最後はお好み焼きに使われる独特の甘辛いソースを塗って頂きます。お好み焼きとは違った独特の食感にお酒もきっと進むはずです。
大阪の食の文化や郷土料理について
これまで紹介してきた大阪の料理は様々なエリアの影響を受けて誕生した全国的にも比較的知名度の高い料理ばかりです。そして、いずれも大正から昭和と言った近代に生まれた料理でした。しかし、大阪は古くから天下の台所という異名の通り、様々な物資が流入し食文化も大いに発展してきたという過去があります。
次の項目で紹介するものは、そういった料理がルーツになった料理です。大阪と言えば粉ものというイメージを払拭する料理も多く、きっと初めて知る大阪の伝統料理やおつまみも多いはずです。もちろんこれらの料理も大阪へ行けば気軽に食べられる料理ばかりですので決して敷居の高いものではないので大阪を訪れたら一度は召し上がってみてはいかがでしょうか。
大阪寿司
江戸前があれば大阪も!大阪寿司
江戸前寿司と言う寿司があります。江戸に対抗するという意味で実は大阪にも大阪寿司と呼ばれる料理があるのです。しかも江戸前寿司が江戸時代に発達したのに対し、大阪寿司は原型がその100年以上前に生まれています。
具体的には押し寿司の一種です。箱状の型に下ごしらえをした魚介類を四角い形に切って型に詰めた酢飯の上にきれいに並べ蓋をして押し寿司にします。木のかけら、こけらに形が似ていることからこけら寿司と言う名称がありきれいに並んだ寿司ネタが美しい押し寿司です。
当然お酒とも相性が良く、大阪寿司をつまみながら一杯やるのも楽しい時間の過ごし方と言えるのではないでしょうか。
どて焼き
大阪の煮込み料理の定番!どて煮
牛のスジ肉を味噌やみりんで煮込んだ料理です。鉄鍋の内側に味噌で土手を作って、具材を焼いてから味噌を崩して煮込んでいくというのが特徴の大阪グルメになります。
スジ肉は基本的に串にささっているため食べやすく、まさにおつまみと言った体裁を取っている料理です。しっかり煮込まれたどて焼きはとろとろで、基本的に非常に硬い部位であるスジ肉がほろほろと溶けていく食感についついお酒が進みます。
紅葉や紅ショウガの天ぷら
大阪の変わり種天ぷら!紅葉や紅ショウガの天ぷら
「揚げもみじ」トレンド入ってて思い出したけど、わたしはもみじといえば、大阪・箕面の「もみじの天ぷら」が大好きなのだ。知らん人からはびっくりされるけど、かりんとうみたいでめちゃくちゃ美味い。小さい頃紅葉シーズンで箕面の滝に行っては妹と取り合いしてた。また食べたいなあ pic.twitter.com/mISQ3uHWgZ
— かえで@ゆるく体重記録用垢 (@goodkor77) August 30, 2020
天ぷらと言うと全国どこでも食べられている料理ですが大阪では昔から紅葉や紅ショウガなども天ぷらにして食べられています。大阪北部の箕面(みのお)は、紅葉の名所として知られており、そこではカリカリの衣の天ぷらにした紅葉の天ぷらも有名です。
塩味が利いてスナック感覚で食べられるものやカリントウのように甘い衣をつけてお菓子のようにしても食べられています。当然どちらもお酒のおつまみに最適です。
一方紅ショウガも天ぷらにします。焼きそばなどの隅に置いてある紅ショウガですがこれを衣で固めてかき揚げのように調理するのです。揚げることで紅しょうがの余分な水分が出てショウガのうまみが濃縮されるので、辛みと爽やかさを存分に楽しめます。こちらは大人の味で、お酒にぴったりのおつまみと言えます。
共に大阪名物の天ぷらです。
サバの煮付け
大阪はしょう油で煮込む!サバの煮付け
サバの煮魚と言うと、東日本ではサバを味噌で煮込んだサバ味噌がメジャーです。一方大阪はしょう油で煮込んだものが定番になっています。
サバを煮る時に生姜とねぎをきかせて煮込んだサバの煮付けは、福井から鯖(さば)街道を通って古くからもたらされた料理です。箸をつければスーッと切れる柔らかい煮付けはお酒との相性も抜群。ご飯にも合いますので締めのおかずにしても楽しめる一皿です。
ちりとり鍋
ちりとりのような形の鍋でいただく、ちりとり鍋
ちりとり鍋は、タレで下味をつけた豚や牛の肉、あるいはホルモンなどを玉ねぎ、キャベツ、ニラ、ネギ、もやしと言った野菜と炒めて煮た料理です。この調理を行う鉄鍋がちりとりのように四角い形状であることからちりとり鍋と呼ばれるようになりました。
鉄工所を経営する鉄板焼きの店主がこの料理のために開発した特製の鍋で生まれたというユニークな経緯があります。焼肉のような調理法やコリアンタウンでよく目にする料理なので、別名韓国風すき焼きと言う名前を持っています。しかし、先ほどの経緯から生まれた料理のため、韓国や北朝鮮などの朝鮮半島には存在しない料理です。
ちりとり鍋は、様々なバリエーションが生み出され、豆乳を入れたものやカレー風味、塩だれなどが知られています。いずれもお酒によく合う味わいです。
歴史と発展 大阪府は旧国名で摂津の国と呼ばれ、江戸時代から商業が盛んな地域です。 大阪府の地酒は江戸時代から商業の街であるため蔵元が増え、酒米や水など原料にこだわって造られて発展しています。地域の特色を生かして酒米や仕込み水などにこだわり、山廃仕込みなど様々な製法があるため興味深いです。 酒の...
まとめ
大阪は食い倒れ、天下の台所など食にまつわる別名を持つエリアです。それに負けないユニークな料理がたくさん存在し多くはお酒にもよく合います。
そんな大阪のおつまみですが前半で紹介した定番を楽しむのも良いですし、後半に紹介したローカル感のある料理を楽しむのもおすすめです。お酒とおつまみで(安全な範囲で)飲み倒れ、食い倒れを楽しみましょう。