酒造の環境

九州は焼酎の人気が高い地と思われがちですが、存外、日本酒の蔵元も沢山あります。特に広大な筑紫平野をようする福岡県は、酒米の王者「山田錦」の産地であり、筑紫次郎の異名を持つ筑後川は酒造りに適した軟水のため、日本酒造りが発展してきました。
※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール
酒造の歴史
1922(大正11)年
創業は1922(大正11)年で、江戸時代の頃大刀洗町は、参勤交代の参道沿いの宿場町として栄えました。この沿道に3つの古い井戸があったことから、この一帯は三井郡と呼ばれており、『三井の寿』の銘は、この三つの井戸が酒造りに適した良質の水であったことが由来です。
1983(昭和58)年
1983(昭和58)年に、同じ福岡県の「山口酒造場」と共に焼酎を造る「研醸株式会社」も設立し、酒粕焼酎や人参を使った人参焼酎、ユニークな果実酒等を造っています。
2015年
2015年に、社名を「井上合名会社(いのうえごうめいがいしゃ)」から「株式会社みいの寿」へと改めました。
「みいの寿」で造られる日本酒は、99%が純米酒で、残りの1%は出品用の大吟醸酒等です。
これは、1987(昭和57)年に福岡とボルドーが姉妹都市になったのを機に、先代社長がワイン醸造を学ぶためにフランスに渡ったことがきっかけです。渡仏のさいに、ワイン造りにおけるテロワールの考え方や、新しい醸造方法にふれ、それまでの普通酒を主とした日本酒の造り方に疑問を抱くようになりました。
そして、より自然や地元に根ざした高品質の日本酒造りを目指し、ほぼ純米酒のみの蔵へと方針転換をしました。
この頃より温度管理にも力を入れ、商品貯蔵の為の冷蔵庫もいちはやく設置しました。
少量生産をいかし、自家培養酵母と蔵に棲む乳酸菌の力を活かして丁寧に造られる日本酒は、国内だけでなく海外でも高く評価されています。また、九州では珍らしい山廃仕込みの得意な蔵でもあります。
仕込み水と酒米

水は、蔵沿いに流れる小石原川の伏流水を仕込み水として、酒米には、地元糸島産の〈山田錦〉や〈レイホウ〉を主に使用しています。他にも、たった12粒の米粒から再生した戦前の米〈穀良都(こくりょうみやこ)〉、長らく途絶えていた三井郡原産の酒米〈三井神力〉を復活させたりといった挑戦もしています。
日本酒はお米を原料にして作られています。日本人の主食であるお米から作られているのでとても身近に感じられるお酒ですよね。 日本酒はお米が原料になっていますが、どんなお米でも日本酒を作れるわけではありません。日本酒を作るのに向いているお米とそうでないお米があります。またどのようなお米を使って日本酒を作...
「みいの寿」の代表銘柄は『三井の寿』と『美田』です。
『三井の寿』には、『イタリアンラベル』と呼ばれる春夏秋冬を表現したシリーズや、ワイン酵母を使った日本酒、そして、漫画・スラムダンクの登上人物の一人・三井寿の名前が『三井の寿』に因むものであることから、『三井の寿 純米吟醸 +14大辛口』というスラムダンクとコラボレーションした1本も造られています。
ダブルA面ラベルの日本酒とは 「三井の寿」
「三井の寿」は、筑後川水系の軟水を用いて醸造されています。ラインナップされている商品の根底には、軟水の造り出す、柔らかでキレが特徴とされています。
三井の寿 +14 大辛口純米吟醸 山田錦
「三井の寿 +14 大辛口純米吟醸 山田錦」、こちらのお酒はちょっと面白いボトルになっています。何とラベルが2つついているのです。ダブルA面ラベルといいますが、あまり日本酒では見掛けることはありません。片方のラベルは、普通のちょっと凝った、いい日本酒の雰囲気漂うラベル。もう一方のラベルが、スラムダンクの赤色に白2本線の湖北高校のユニフォームになっています。背番号は14番。日本酒度を表しています。肝心の味はどうかというと、名前の通り大辛口かというとそうではありません。たしかに、辛口でしっかりとしたキレがありますが、米のうまみがしっかりとあります。喉越しはすっきりと、あと味はクリアにサッパリとしています。
三井の寿 春純吟 クアドリフォリオ無濾過 生 うすにごり
「吟のさと」とあまり馴染みのない酒米を60%まで磨いて仕込み、無濾過のまま瓶詰、うすにごりのお酒に仕上げています。グラスに注ぐと立ち上がる純米吟醸酒ならではのマスカットか青リンゴ、メロンを思わせるフルーティな香り。優しい口当たりにふくらみのある米のうま味と甘みが、さらさらと滑らかに舌の上を流れていきます。柔らかな酸味がすっと立ち上がり、余韻を残し消えて行きます。軽く冷やして愉しむのがベストです。
「三井の寿」には、ほかにも面白い商品がラインナップされています。季節限定や数量限定の商品は、人気があり入手は困難かもしれません。ほぼ生産量の全量を純米酒とし、ワイン醸造を学んだ経験から低温貯蔵にこだわった品質の担保に努ているため、どのお酒でも、「みいの寿」の醸造するお酒の柔らかでやさしいながら、お米のうま味もしっかりとした味わいが愉しめます。興味を持たれた方は是非ともお試しください。ただ、生酒の1升瓶はなかなか冷蔵庫には入りませんので、ご注文にはご注意を。
『三井の寿』近年の受賞歴
- 三井の寿 大吟醸
- 全国新酒鑑評会 金賞
- 三井の寿 特別純米 山田錦
- 2019 SAKE COMPETITION 純米酒部門 SILVER
- 三井の寿 純米吟醸 芳吟
- 2015、2019 SAKE COMPETITION 純米吟醸部門 SILVER
- 福岡県酒類鑑評会 純米吟醸酒・純米酒の部(精米歩合51~59%)福岡県議会議長賞
- 三井の寿 純米大吟醸 斗瓶採り
- 2019 SAKE COMPETITION 純米大吟醸部門 SILVER
- 福岡県酒類鑑評会 純米大吟醸の部・福岡県知事賞
- 三井の寿 山廃 純米 古酒
- IWC 古酒部門 2016、2018、2019 GOLD (2016リージョナルトロフィー、2019 古酒トロフィーも受賞)、2017 SILVER
- 三井の寿 純米大吟醸 福
- IWC 純米大吟醸部門 2015 GOLD(リージョナルトロフィーも受賞)・2019 SILVER・2016、2017 IWC BRONZE
- 三井の寿 純米吟醸 酒未来
- IWC 純米吟醸酒・純米大吟醸酒部門 2015 SILVER
- 三井の寿 大吟醸 厳寒手造り
- 福岡県酒類鑑評会 大吟醸の部福岡県知事賞
- 三井の寿 純米吟醸 山田錦60 バトナージュ
- 福岡県酒類鑑評会 純米吟醸酒・純米酒の部(精米歩合60%以上)福岡県議会議長賞
酒蔵の名前と銘柄名のエピソード
「三井の寿」は、筑紫平野に位置する福岡県三井郡大刀洗町にある、創業大正11年の酒蔵、株式会社みいの寿の醸造する日本酒です。なるほど、酒蔵の名前が「みいの寿」で、銘柄まま「三井の寿」なのかと思うと、どうもそうではないようです。もともと、酒蔵の名前は「井上合名」だったものを、2015年12月に現社名の「みいの寿」に社名変更したとのこと。つまり、銘柄名を社名に採用したわけです。では、銘柄の「三井の寿」の由来とは。酒蔵の所在地でもある三井郡にある酒造りに適した水の湧き出す3つの井戸に由来するとのことです。
「三井の寿」を醸造する、こちらの酒造りのコンセプト少々変わっているのだとか。こちらの蔵元が掲げるコンセプトは「科学とセンスと情熱!」。以来、徹底した酒造りの研究を地道に積み上げてきました。その結果、日本国内にとどまらず、世界的な高評価を得るに至ったのです。
もうひとつ、「三井の寿」には面白いエピソードがあります。
先生、酒が呑みたいです・・・
(T ^ T)
という事で、純米吟醸『三井の寿』。
スラムダンク世代としては飲まないと。
スリーポイント決めないと。三井の名前、背番号になった日本酒。
アルコール度数14、+14。
背番号14。
あきらめたらそこで試合終了だよ。
先生!オレあきらめない!! pic.twitter.com/Tivo0KymM4
— 吉岡毅志 (@takeshiyoshioka) February 17, 2019
「三井の寿」という文字を眺めて、なにか閃いた人もおられるでしょう。そう、大人気のバスケットボール漫画、「スラムダンク」の登場人物「三井寿」。原作では、数々の名言を残す人気キャラクターの一人です。彼の名前と由来がまさにこちらのお酒「三井の寿」なのです。原作者の井上雄彦先生がお気に入りのお酒からキャラクターを命名したそうです。












