「口万」、スラッと読める方は相当な日本酒通か洒落者。初見で読める方はまずいないでしょう。「口万」と書いて、「ろまん」と読みます。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール
「口万」を醸造する「花泉酒造」とは
創業は大正9年。前身となる「南会醸造株式会社」を設立。その後、昭和12年に「南会醸造合名会社」に組織変更。平成元年、社名をの製造銘柄の「花泉」にちなんで、「花泉酒造合名会社」と改めました。
代表銘柄の「花泉」は、屋号を冠したのではなく、屋号の方が銘柄の名前を頂戴しました。
「花泉」の名前の由来は?
「花泉酒造」の社名の由来は、醸造銘柄の「花泉」から。では、「花泉」の由来は?
「花泉」の名は、「花」咲く大地から、こんこんと「泉」のように湧き出す清水から名付けられたそうです。
環境
花泉酒造が所在する、南会津町南郷地区は、標高1500メートル超える山々が周囲を囲む山間の地。その谷間を尾瀬を源とし、遥か日本海へ流れ出る伊南川が流れています。

冬季は日本有数の豪雪地帯で、すべてが雪に閉ざされます。春、雪解けの水は、ゆっくりと時間をかけて大地に浸み込み、時間かけて磨かれ、豊かで清冽な伏流水となります。
ヒメサユリの咲きほこる群生地で有名な高清水自然公園、その中から滾々と湧き出す高清水は林野庁水源百選に選定された名水。その高清水を仕込みの水として使用したお酒が「花泉」なのです。
酒造りへのこだわり
花泉酒造の酒造りへのこだわりは、南会津にこだわること。現在、会津産米100%、うち南会津産米を9割使用しています。その会津の米を、清冽な高清水で仕込んだものが、南会津の風土に委ねられ、お酒へと変わっていきます。
酒米を栽培にも南会津の環境は適しています。酒米はお酒にするとき精米をしますが、精米の工程も、自家精米にこだわっています。毎年異なる米の状態や、種類や田による細かな違いを、蔵人に受け継がれた経験により微妙な調整により絶妙に磨き上げてゆきます。
日本酒はお米を原料にして作られています。日本人の主食であるお米から作られているのでとても身近に感じられるお酒ですよね。 日本酒はお米が原料になっていますが、どんなお米でも日本酒を作れるわけではありません。日本酒を作るのに向いているお米とそうでないお米があります。またどのようなお米を使って日本酒を作...
もち米四段仕込み
花泉酒造の特色とこだわりは、仕込み方法にも及びます。
全銘柄に採用されている仕込み法として「もち米四段仕込み」を採用しています。
通常、お酒の醸造法は米、麹、水を3回に分けて仕込む「三段仕込み」で醸造されます。
しかし、花泉酒造では「三段仕込み」の後にもう一段手間を加えます。蒸し上げたもち米を熱いまま仕込むのです。古来より引き継がれてきた伝承の技法に、蔵人たちが年々、独自に工夫を凝らし引き継いできた技法です。
こうして醸造されたお酒は、スッキリとしながら優しい旨味とコクを持つ、独特の味わいを生み出します。
「もち米四段仕込み製法」で日本酒を醸しているの花泉酒造だけともいわれています。
南会津の山間奥深く、真の地酒を目指す「口万」3選

「口万」を見掛けた方はあまり多くないでしょう。生産量が少ないため、特約販売店のみ卸されているため、量販店などではまったくお目にかかることはありません。最近は、ネット簡単に特約店を調べることができるので、記事を読んで興味が湧いた方、検索してみてください。
さて、「口万」シリーズです。シリーズのテーマとして、「本当の地酒」にこだわるということ。米、水、人のすべてを南会津にこだわりつくしたお酒ということです。
口万「一口万」純米大吟醸 生原酒
「口万「一口万」純米大吟醸 生原酒」は、「口万」シリーズの原点に位置づけられるお酒。このお酒から「口万」シリーズが始まりました。南会津産「五百万石」と「ヒメノモチ」を45%まで磨き上げ、清冽な「高清水」で仕込みました。使用している酵母も福島県独自酵母の「うつくしま夢酵母」と、徹底的に地元志向。季節限定で、毎年12月中旬から下旬という極めて短期のみに販売されます。
大吟醸の生酒、フレッシュさは栓を開けると立ち上るメロンのような芳香とともに感じ取れます。上品な甘さの向こうに新酒ならではの若々しくふくらみのある米の旨味がしっかりと広がります。喉越しもは滑らかに余韻を長く引きながら、喉の奥へと消えてゆきます。旨味と甘さ、ほのかな酸味が絶妙に調和した深い味わいを奏でます。
口万 純米吟醸1回火入れ

「口万 純米吟醸1回火入れ」は、通年商品。そして「口万」のテーマの答えの一つを表すお酒です。「五百万石」、福島県の酒米「夢の香」、「ヒメノモチ」を6割に精米して仕込んだ一本。南会津の夢とロマンの詰まった味がします。大吟醸とは異なる、穏やかな香りは、大吟醸譲りのメロンか上質の白ワインのよう。
口に含むと、クリアで滑らかな口当たりはさらさらと喉の奥へと流れていくかのよう。舌の上にはしっかりとした上質の甘さがそっと感じるとともに、ふくよかでボリュームんおある米の旨味が広がっていきます。あと味はスッキリときれいな喉越しとともに軽い余韻を残し消えて行きます。純米吟醸でありながら、軽快でスッキリな仕上がりは、食事とともに愉しむのにピッタリ。南会津名物の蕎麦と愉しむのも一興。フレンチやイタリアンにも好相性なお酒です。
他にも、季節商品の「口万」がいろいろ販売されます。しかしどれも販売期間が短い商品。見掛けたら、即買いくらいの気持ちが必要かもしれません。美味しいお酒とは一期一会です。
花泉
花泉酒造もう一つの銘柄、「花泉」にも軽く触れておきます。「花泉」シリーズは日常の食事にあうお酒。ほとんどが通年商品とお買い求めやすく、購入ハードルも低いお酒です。しかし、味わいは「口万」とは異なるものの、ポテンシャルは高く、寒い冬に燗酒でちびちび味わうのにピッタリ。懐の深さは、こちらに軍配が上がるのではと、思わせるお酒を揃えています。
まとめ
花泉酒造のある、南会津南郷地区は旧南郷村だった地域。周りを標高1500mを超える山々が囲み、中心を遥か日本海へ注ぐ阿賀野川へ名を変える伊南川が流れる場所にあります。この辺りは、世界有数の豪雪地域。冬に積もった雪が雪解けとともに大地奥深く、ゆっくり浸透し、時間をかけて清冽で豊かな水の変わります。花泉酒造では、林野庁水源百選にも選定された「高清水」を仕込みの水として使用しています。この「高清水」は、ヒメサユリが咲きほこる地から、滾々と泉のように湧き出る清水を使用していることから、社名の「花泉」と名付けたそうです。
花泉酒造は、「花泉」と「口万」の2つの趣の異なるお酒を醸造しています。味わいや風味など、異なる部分も多くあります。しかし、2つのお酒に根底には、南会津の米、水、風土、そして蔵人たちの熱い思いと、伝統のもち米四段仕込み技法を用いる点は共通しています。2つの銘柄、どちらも南会津の詰まったお酒といえるでしょう。飲み比べて、南会津を感じてみてはいかがでしょうか。











