射美

射美(岐阜の日本酒)WHITE・GOLD・SILVERの特徴や美味しい飲み方を分析

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日本酒、気になる事調べものライターdencross
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日本酒「射美(いび)」は岐阜県にある小さな酒蔵「杉原酒造」の造るお酒です。杉原酒造の従業員数はわずか2人ほど、生産石数は60石くらいでとてもこじんまりとした酒蔵になります。自称「日本一小さな酒蔵」として頑張っています。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール

日本一小さな酒蔵

杉原酒造は、「日本一小さな酒蔵」としても知られています。酒蔵の規模を表す方法はありますが、一般的には年間の生産量で表します。
ここで唐突ですが、日本酒の生産量を表す単位は、リットルや立方メートルではありません。何と、石なのだそうです。「いし」ではありませんよ、「こく」です。加賀百万石など、江戸時代の大名の規模を表した石です。杉原酒造のHPによれば、年産60石となっています。1石は10斗、1斗は10升ですので、杉原酒造の年生産量は600升になります。何と、年間に1升瓶6000本足らずしか生産していないことになります。リットル直すと10,800リットルです。少ないのか多いのかイメージが湧きませんが、100石より少ない生産量の酒蔵はほとんどないそうなので、商業ベースで生産しているのは珍しい規模なのでしょう。
酒蔵の小ささを表すデータがもう一つあります。従業員数。杉原酒造は、なんと製造から販売まで、従業員が2名と驚きの人数なのです。この点でも、「日本一小さな酒蔵」の称号に、異論はないところでしょう。

こだわりの酒米

また、1994年より地元の契約農家とともに新たな酒米作り着手。品種改良や試行錯誤を重ね、当地では不可能とされていた酒米の栽培に成功しました。オリジナルの酒米「揖斐の誉」は、その努力の産物として生み出されました。平成21年より本格的に使用を開始、杉原酒造の酒造りを支える品種となっています。さらに、酒母も蔵付の酒母を使用、米、水、酵母、気候と、地元にこだわった酒造りを行っています。

おすすめのお酒3選

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少量生産の杉原酒造ですが、製造する銘柄多くあります。今回ご紹介する「射美」のほかに、「千代の花」、「揖斐川」、「濃陽」のほか、創業当時の銘柄「杉乃井」があります。さらに、息子さんの名を冠した「慶樹」というお酒もラインナップされています。

なかでも「射美」は、酒蔵が特に地元にこだわって醸造した商品です。

射美 WHITE無濾過生原酒

射美 WHITE無濾過生原酒」は、酒米「揖斐の誉」を6割まで磨いて仕込まれた一本。こってりとした洋食にもあう日本酒のイメージで醸造されたお酒で、イメージは名前にあるように白ワインのようなスタイルを目指したもの。製造には白麹も使用するため、製造のために麹室を新たに増設した、酒蔵の力の入った商品です。
白麹を使用しているため、サッパリとした酸味が、ふくらみのある米のうま味と甘みと調和し、甘酸っぱいスッキリとした独特の味わいを醸し出しています。無濾過生のフレッシュな風味は、常温や軽く冷やして飲むのが愉しいお酒です。

射美 GOLD 無濾過生原酒

射美 GOLD 無濾過生原酒」は、酒米「揖斐の誉」を4割まで磨き上げて仕込んだお酒です。なんと「GOLD」は4年に1度、オリンピックイヤーにしか出荷されないお酒だそう。

射美 SILVER 無濾過生原酒

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ほかにも「SILVER」も同様だとか。さてその味わいはというと、純米大吟醸の風格ある華やかな香りが立ち上ります。
砂糖菓子のような優しく甘い口当たりの向こうに米のうま味と甘みがしっかりと口に広がっていきます。圧倒的なうま味と甘みの陰に酸味や苦みが隠れていますが、そっとした主張があるだけで、そのまま喉奥へ消えてゆきます。甘さのやや勝った感じがする味わいですが、クドさはありません。オリンピックイヤーである2020年の今年は手に入りますが、次回は2024年になるのでしょうか。

「射美」は。ほかにも多くのラインナップがあります。オリンピックイヤーに醸造される「GOLD」と「SILVER」といった限定品や季節限定品が多くあります。また、「千代の花」もいろいろなバリエーションがございます。
ただ、「日本一小さな酒蔵」の製品。なかなか手に入れるのも難しいでしょう。酒蔵には小売部が設けられています。岐阜県の近郊の方はドライブがてらに出向けば、購入できる確率も高くなります。ただ、運転手の試飲は厳禁です。遠くの方は残念ですが、ネットで購入するしかありません。「日本一小さな酒蔵」のお酒を味わってみませんか。

「射美」が誕生するまで

霞間ヶ谷の桜
そんな杉原酒造ですが、創業は1892年(明治25年)とかなり歴史のある酒蔵です。最盛期には2000石を生産していたこともあり、2022年には創業130年を迎えます。岐阜県揖斐郡の揖斐川とその支流である根尾川に囲まれた土地に蔵を構えていて、現在は少ない量の日本酒をていねいな手仕事によって造っています。
「射美」が誕生したのは2009年。少量しか造られていないこともあって飲みたくてもなかなか手に入らない、日本酒ファンの間で話題の地酒です。しかしこの「射美」が誕生するまでには、大変なストーリーがありました。
杉原酒造の5代目杉原慶樹さんはもともと酒蔵を継ぐ気はなく、大学卒業後は青年海外協力隊の隊員としてミクロネシアで3年近くを過ごしました。お父様の4代目杉原庄司さんも、あえて家業を継がす気はなかったようです。
慶樹さんが子供の頃には、日本酒の人気は全国的に低迷していました。杉原酒造も大手酒造メーカーとの契約が打ち切られ、本業の酒造りだけで家計を支えることが難しくなっていました。そこで酒蔵の隣に雑貨店「冨久屋(ふくや)」をオープンして、そちらの経営で家計を支える形になっていたのです。
酒造りをしていると徐々に設備も古くなっていきますが、4代目は自分の代で酒蔵は閉めることになるからと思い、無理に新しい機械を入れるなどの設備投資もしていませんでした。経済的に難しかったということもありますが、もう酒蔵は閉めるから残念だけど仕方がないと思っていたようです。
5代目はミクロネシアで3年を過ごした後、鹿児島県の水産会社に就職し、一旦は会社員になります。ただミクロネシアの人々と付き合っていく中で日本伝統の酒造りは大切なものだと気づき、酒蔵を継ぐことを考えたそうです。
決心を固めて酒蔵に戻ったのは、5代目が28歳の時でした。まずは酒蔵の修繕をしたり、麹をつくるための部屋「室(むろ)」の壁を張り替えるといった作業から取り掛かります。そして地元産の米を使った日本酒造りを始めました。
そこには大切な仲間もいました。自分のことを「米オタク」というほどお米の品種改良に熱心な研究者の方と、そのお米を栽培してくれる農家さんとタッグを組んで美味しいお酒を造ろうと奮闘して行きます。酒米の代表である「山田錦」と背が低くて倒れにくいという特徴を持った「若水」を掛け合わせて新品種の酒米「揖斐の誉」を作りました。

「揖斐の誉」の命名は奥様の名前にも由来します。奥様とは青年海外協力隊にいた頃に知り合い、結婚しました。奥様の名前の一文字「誉」をとって、「揖斐の誉」と名付けられたのです。

その酒米を育てるのにも農家さんの協力が欠かせません。酒米は普通のお米よりも育てにくく、農家さんにとってはデメリットが多いのですが、1軒の農家さんが協力してくれました。そんな貴重な酒米を使い、揖斐川の伏流水を使って造られたのが「射美」なのです。

実は5代目は、直接杜氏から酒造りのやり方を教えてもらったことがありません。そのため五感を駆使した酒造りではなく、教科書通りの酒造りを突き詰めて行こうとしています。一つ一つの過程で分析をし、そこで出てきた数値を大切にして酒造りをしていくのです。
このような酒造りだったこともあり、初期の頃は岐阜の地元の酒販店ではあまり扱ってもらえませんでした。そんなとき、美味しく新しい地酒の存在にいち早く気づいたのは東京の地酒屋でした。そして東京の地酒ファンの間で広まり、そこから全国へと広まっていったのです。現在はイギリスやフランスからも注目され、海外進出も果たしました。
小さな酒蔵のため生産量をなかなか増やせずに大変な部分もあるようですが、新たな挑戦もいろいろと行っています。白麹を使った「WHITE」や黒米の浸漬水を使った淡いピンクのお酒「SAKURA」といったお酒も気になるところです。生産量が少ないため手に入りにくいかもしれませんが、どこかで出会ったらぜひ飲んでみてください。

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