最近の日本酒の名前にはユニークなものが多いような気がします。「横山50」もそのひとつ。「横山50」って新しいバンドか、お笑い第7世代の芸人さんなどと思われた方もおられたのではないかと思います。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール
日本でもっとも新しい日本酒
「横山50」が発売されたのは2018年に発売、当時は「日本で一番新しい日本酒」とリリースされました。
「横山50」をはじめとする「よこやま」シリーズを醸造するのは長崎県壱岐市の重家酒造株式会社。創業は大正13年、初代横山確蔵が焼酎「菊白雪」と「冨士の雪」、日本酒「金世界」を発売したことから始まりました。
戦時下の昭和17年には会社組織に改編、さらに平成24年に株式会社へ組織変更を行い現在へ至ります。
日本酒の醸造は創業当初より行っていました。創業当初より発売の「金世界」は、昭和40年に「冨士鶴」へ銘柄の名前を変更、地元を中心に好評博していました。しかし、日本酒の不振や焼酎の人気など、さまざまな理由が重なり、時代が変わった平成2年に壱岐島内で最後まで日本酒を醸造していましたが、ひっそりと醸造を終了しました。
そして2013年に、再び日本酒醸造を行い特別純米酒『確蔵 Our Spirit(僕らの想い)』を発売。
エドモンドの日本酒イベント組と合流しての呑み。初めていただく壱岐島の日本酒、『確蔵 特別純米 Our Spirit』甘酸っぱい香りと柔らかな酸味から始まり、旨味が膨らんできます。 pic.twitter.com/lquLuHoUw3
— みっきぃ〜(仮) (@DJ1typeR) April 24, 2016
壱岐では23年ぶりの日本酒が復活しました。2018年、日本酒専用の新しい酒蔵が完成。2018年9月に28年ぶりに壱岐島での商業ベースでの日本酒醸造が復活しました。壱岐の日本酒復活に投入されたお酒が、「横山50」と「よこやま」シリーズなのです。
壱岐の日本酒造り

壱岐島は、福岡県の北側、玄界灘に浮かぶ島で、古くから大陸文化とのとの交流の中継点として大きな役割を担ってきました。記紀をはじめ卑弥呼の記載で有名な魏志倭人伝など中国の古文書にも記載されているように、国境の要地として古くから栄えていました。
長い歴史をもつ壱岐は、焼酎造りが盛んなとこ。壱岐の焼酎造りは500年ほど前から行われています。なかでも麦焼酎は、ここ壱岐が発祥の地とされています。壱岐の麦焼酎は、日本で初めてWTO原産地呼称に認定され、国際ブランドとして認知されました。
一方、壱岐は近傍を対馬海流が流れ、平地も多いため稲作が盛んにおこなわれてきました。収穫されたお米を利用した日本酒造りも古くから行われてきました。明治35年には、壱岐全島に17か所もの日本酒を醸造する酒蔵があったといいます。その後、嗜好や消費の変化や杜氏の高齢化など、いろいろな理由が重なり、ついに平成2年に重家酒造が日本酒醸造を停止しました、その後、壱岐で日本酒造りを行っていた酒蔵も日本酒造りを廃止、ここに壱岐の日本酒造りの歴史が終わりました。
日本酒造りの再開
壱岐で最後まで日本酒を醸造していた重家酒造は、「もう一度この土地で日本酒を造りたい」と、日本酒醸造の再開を決意しました。日本酒の醸造を止めて20年余り、再開への道のりは簡単ではありませんでした。失われた日本酒醸造の技術を取り戻さなければなりません。技術の体得のため、国内の山口県の酒蔵澄川酒造場で修業し再開に備えました。また、日本酒の醸造に適した水を求め、調査箇所は壱岐島の島内で20か所に及びました。結果、日本酒醸造に最適な鉄分を含まないながら、ミネラル豊かで清らかな水源を探し当て、その場所に日本酒醸造のための新酒蔵を建設しました。
2018年、念願の日本酒の醸造を再開、新しいブランドを発売しました。それが「よこやま」シリーズです。なかでも「横山50純米大吟醸」は、現杜氏が修行した山口県の人気酒蔵、「東洋美人」を醸造する澄川酒造場との共同開発した商品。
創業は、約100年ほど前で1921年となります。2013年には災害により廃業寸前まで追い込まれましたが、「東洋美人」を愛する人々の支援により、再び「東洋美人」の醸造が再開されました。 その後「東洋美人 原点」を皮切りに、数々の東洋美人シリーズを販売。 dencross 幕末...
壱岐の日本酒「よこやま」シリーズ

「よこやま」シリーズは、現在多くの商品をラインナップしています。重家酒造では、酒米の雄「山田錦」を壱岐島内で栽培を行い、水と酒米など全てを壱岐島内の地産地消の酒造りを行っています。「よこやま」シリーズは、壱岐の米、水、風土がしっかりと詰まった、まさに壱岐の酒なのです。
「よこやま」シリーズの味わい
充実したラインナップを誇る「よこやま」シリーズですが、その味わいもいろいろです。そこで、豊富なラインナップのなからいくつかかの商品をピックアップして紹介しましょう。
横山五十WHITE
目に鮮やかなグリーンのボトルを開栓すると、ふわっと、立ち上がる、すがすがしいマスカットフレーバー。グラスに注ぎ、口に含むと、スッと抜けてくるマスカットのような果実香とともにジューシーな米の旨みと甘みが口一杯に広がります。圧倒的な旨みと甘さが後半に調和した酸が加わり、余韻を引きながら淡く消えて行きます。キリッと雪冷え、花冷えまで冷やして愉しむお酒です。
日本酒はビールなど他のお酒と異なり、0℃から60℃とさまざまな温度帯で楽しむことができ、さらに温度で香味まで変わるという、世界でもとてもめずらしいお酒です。焼酎も「お湯割り」「水割り」などがありますが、日本酒はお酒そのものを温めたり冷やしたりするのが、焼酎との大きな違いです。今回は、冷酒についてご紹...
よこやま等外生
よこやま 等外 生🍶
※全国1,450本限定販売‼️
現杜氏 横山太三氏の熱い思いから
約30年振りに
壱岐島に日本酒誕生✨
応援よろしくお願いいたします🙇♀️
横山杜氏の言葉をお借りして…
「國酒で乾杯」#長崎県 #壱岐市 #よこやま #等外 #生 #北九州市小倉北区 #日本酒 #日本酒女子 #紺屋町 #酒林べぇやん pic.twitter.com/Iw8Xi8LuPC— 酒林べぇやん (@SBeeyan) October 22, 2018
「よこやま等外生」は季節限定酒、文字通りの生酒ながら普通酒に分類されるお酒。等外酒といいながら、ポテンシャルは大変なお酒。酒米「山田錦」を全量使用するという贅沢な造り。
開栓すると広がるマスカットフレーバーは、大吟醸のそれと比べると穏やかなものながら遜色はありません。柔らかく優しい口あたりながら、しっかりとした米の旨みとすっきりとした甘さが広がっています。後半にはほのかな苦みと隠れた酸が見事に調和、スルッとキレて消えて行きます。生酒ですので、冷たく冷やして愉しみますが、お料理との相性も良く、晩酌にもピッタリのお酒です。
お酒を飲むときに欠かせないのがおつまみです。美味しいおつまみと合わせれば、いつものお酒がより美味しく感じられるようになるでしょう。 ※この記事を書いたお酒ライターAnchanのプロフィール お酒におつまみを合わせるコツ おつまみとお酒には相性があります。もちろん自分が好きな食べ物を選ぶ...
よこやまSILVER生
「よこやまSILVER7生」は、協会酵母701号を使用したお酒で、全量が山田錦を使用した贅沢な純米吟醸生の一本です。マスカットフレーバーがほど良く香ります。味わいはまったりとした米の旨みと甘みがやさしく広がります。微かな苦みや酸もあり、バランスのよいフルーティな味わいです。季節ごとに造り分けられる「SILVER生」シリーズは使用酵母による味わいの違いを飲み比べたくなお酒です。飲み比べれば、酵母の力の大きさを実感できます。
横山五十BLACK
最後に「横山五十BLACK」は純米大吟醸のお酒ですが、ホワイトとは違い火入れされたお酒です。このお酒も蔵元はワイングラスを推奨、注ぐと立ち上がる香りはリンゴの様な果実感のあるフルーティな香り。口に含むとジューシーな甘さがやってきますが、山田錦の旨みもしっかり感じることができます。しっかりとした旨味甘み酸の感じられるお酒で、白ワインのように愉しみたいお酒です。肴は白ワインと同じように、淡白な白身魚など。クリームチーズなども面白いかもしれません。
「横山50」と「よこやま」は、壱岐の地に復活した日本酒。蔵元の目指す先には、日本国内にとどまらず、広く世界のマーケット。白ワインのような酒質は、フレンチやイタリアンなどの欧州料理のほか、中華料理などでもマッチするのではないでしょうか。「横山50」と「よこやま」は、地産地消のお酒としても注目の商品。「山田錦」を壱岐で栽培して使用するという、離れ業も実現しています。さらに新たな試みに柔軟に挑む土壌を考えると、今後も目の離せないお酒ではないでしょうか。












