
※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール
酒造の歴史

1826(文政9)年、戦国時代山陰を統治していた尼子氏の居城〈月山富田城〉の城下町にて創業した、歴史のある蔵元です。
そのルーツは、1730(享保15)年より酒造りをおこなっていた「安屋坂店(やすやさかみせ)」に遡ります。1743(寛保3)年には、広瀬藩の藩公特許による酒造館となりました。
今でも、「吉田酒造」の煙突には、この旧家である「安屋坂店」の〈安〉の文字が残してあります。
『月山』という銘は、この地において、その年の最上の仕上がりの酒を『月山』と名付けて、殿様へ献上していた歴史が由来します。《殿様へ献上していたような最高の酒を、常に造りつづける》ことを目指し『月山』と名付けられました。
仕込の水
「吉田酒造」では、仕込の水に「島根の名水百選」に指定され、松江発祥の「不昧流茶道」において最高の水とされる「お茶の水井戸」から汲み上げた、硬度0.3の超軟水を使用しています。実際に文献に残る不昧流茶道の茶室があった場所に井戸を復元して汲みあげています。
酒造りにおいて軟水を仕込み水にすることは非常に難易度が高いといわれています。吉田酒造では、軟水の多い日本の風土には、軟水で醸した酒が向くと考え、超軟水を仕込みの水として使っています。
難易度の高い超軟水の酒造りも、300年にわたる伝統の手技と経験で、「月山」に仕上げています。
このミネラルが少ない超軟水を生かす為に、あえて扱いの難しい、あわ活性の活発な酵母を使って酒母を仕込んでいます。仕込みの時に製造タンクが泡でいっぱいになる為、少量ずつしか仕込めない難しい仕込みとなりますが、この丁寧な酒母の仕込みが、『月山』特有の香りと酸の立ったキレのある日本酒を生んでいます。
酒米

吉田酒造では、地元安来市の契約農家に酒米の栽培を依頼したものを中心に、酒蔵内の精米機で自家精米して使用しています。
米は、酒造好適米の〈山田錦〉〈五百万石〉に、島根県の〈佐香錦(さかにしき)〉を中心に、地元の契約農家から玄米の状態で仕入れています。
日本酒はお米を原料にして作られています。日本人の主食であるお米から作られているのでとても身近に感じられるお酒ですよね。 日本酒はお米が原料になっていますが、どんなお米でも日本酒を作れるわけではありません。日本酒を作るのに向いているお米とそうでないお米があります。またどのようなお米を使って日本酒を作...
現在、『特別純米 出雲』『芳醇辛口純米』『スパークリング クラウド』の3銘柄がヴィーガン認証されています。
「吉田酒造」では、毎年4月の始め頃に、地元〈尼子の里のおひな祭〉に合わせて〈酒蔵開き〉を開催しています。『月山』の様々な酒を試飲できる人気のイベントです。
また、事前予約が必要ですが見学もおこなっています。
安来のお酒 超軟水で仕込まれた「月山」7選
吉田酒造の醸造する代表銘柄である「月山」には多くの商品があります。
月山 純米吟醸
- 広島国税局清酒鑑評会 味を主たる特徴とする清酒部門 優等賞
- 2019 Sake Competition 純米吟醸の部 SILVER
華やかな吟醸香と、サラっとした飲みロながらもしっかりした味わいを持つ純米吟醸酒です。程よい酸でキレ味も良く、初心者にもおすすめの日本酒となります。
月山 特別純米 出雲
- 2016(平成28)年 ワイングラスで飲む日本酒アワード 特別金賞
- 平成 29、30年 ワイングラスで飲む日本酒アワード 金賞
- 広島国税局清酒品評会・純米酒部門 優等賞
日本酒には珍しいピンクのラベルは、出雲の縁結びをイメージしたものです。
2006(平成18)年にデビューした〈協会1801酵母〉を使って、丁寧に仕込まれた純米酒は、甘みのある香りが広がり、米の優しい旨味が心地よい飲み口です。
月山 芳醇辛口純米
月山 純米吟醸 中取 無濾過生原酒
月山 大吟醸 手しぼり
全国新酒鑑評会 金賞を12回受賞
受賞した年にのみ、出品酒と同じ斗瓶から瓶詰めされる特別な大吟醸酒で『月山』最上級の日本酒です。
〈山田錦〉を極限まで磨き、超軟水で仕込み、丁寧に醸した酒を袋吊りで手しぼりしました。なめらかなロあたりで、優しくも華やかな香りの甘口よりの日本酒です。
月山 スパークリング クラウド
ヴィーガン認証をうけた、新しいスパークリングタイプの日本酒です。
瓶内二次発酵によって、自然に発生した炭酸ガスが楽しめる発泡性の日本酒です。
シャンパンのようなボトルに詰められ、洋食にもあうのでパーティーにもおすすめです。
気軽に試せる360mlボトルもあります。
月山 純米吟醸 涼夏
「純米吟醸 涼夏」は夏季限定の純米吟醸酒。涼しげな白いすりガラスのようなボトルが特徴。真夏に愉しむ日本酒ということで、キンキンに冷やして、雪冷えで頂きたい。冷やして飲んでも鮮やかな香りとしっかりとした米のうま味が前面に出てきますが、サッパリとしたキレがあります。しっかりとした味わいながら、調和のとれた酸味がクドさをきれいに喉奥へ滑らかに流してゆきます。真夏の食中酒としてもよし、冷奴や白身のお造りを肴に晩酌を愉しむのにもよいお酒です。吟醸ではない、純米酒の涼夏もラインナップされており、吟醸酒よりも落ち着いた味わいです。2つを飲み比べると、違いが際立ち、日本酒の奥深さを感じることができるでしょう。
多数の商品がラインナップされる「月山」は共通して、出雲流の調和のとれたバランス良いお酒に仕上がっています。
また、日本酒以外にも米焼酎や、珍しい安来産の紅梅を使った梅酒なども製造しています。どれもなかなかの逸品揃い。興味がある方、一度味わってみませんか。
「月山」の名前の由来
酒の銘である「月山」についてですが、当然出羽三山の月山のことではありません。また、安来や周辺の地に月山を名乗る山があったわけでもございません。戦国時代が好きな歴史愛好家やお城好きの方には、「何を今さら」。安来で月山といえば当然お城のことでしょと、お叱りを受けるかもしれません。
「月山」の名は、戦国時代に山陰の覇者として君臨した尼子氏の居城、難攻不落の山城として名を馳せた、月山富田城よりいただいたといわれています。かつて、この地の酒造りで、その年の最上のお酒を一番樽と称し、「月山」と名付け、お殿様へ献上していました。その歴史をうけ、「殿様に献上するような最高の酒を、常に造りつづけること」を目指して、「月山」と命名したとのことです。
月山富田城は毛利家の猛攻により落城、その後は廃城となりましたが、近年は歴史公園として整備が進められており、城郭などが往時を偲ばせています。













