「山川光男」って誰。大方の人はそう思うでしょう。「山川光男」は人名に非ず、日本酒の名前なのです。
早速、いろいろ調べてみました。「山川光男2017年ふゆ」のラベルに所ジョージさんが酒瓶を被ったようなおっさんが、柄杓をストック代わりに、櫂をはいてスキーをする絵がかいた、アバンギャルドなラベルのお酒だということがわかりました。

さて、この「山川光男」は非常にユニークなお酒です。名前とラベルもユニークなら、蔵元もユニーク。なんとこのお酒は山形県の4つの蔵元のコラボで製造されています。ラベルをよく見ると4つの酒瓶を背負っているではないですか。
参加している蔵元は、「山形正宗」・「楯野川」・「東光」・「羽陽男山」の4つの蔵元。察しのいい方はすでにお気づきでしょう。それぞれの銘柄から1字採って「山川光男」と命名されました。
肝心なお酒の味はどうなのでしょう。4つの蔵元の合作で素晴らしい酒ができるのか、それとも船頭多くして船、山に登るの例えになるのか。
山川光男2019プレミアム

「山川光男2019プレミアム」はまるでワインボトルのような出立。酒米には山形県で開発された吟醸酒用の「雪女神」を32%まで磨き上げて仕込まれたました。プレミアムの名の通りの特別なお酒です。
グラスに注ぐと立ち上がる上質で華やかな香り。口にすると、華やかでフレッシュな果実のような米の甘みと旨味が溢れるようですが、下支えする酸味がしっかりと仕事をしているのか、くどい感じがまったくしない、さらさらと流れるように喉奥へ消えて行く感じです。余韻も長く引かず、スーッと、まるで淡い雪のように溶けていきます。
山川光男 2019 ふゆ

「山川光男 2019 ふゆ」は令和元年11月発売の新酒です。今回のラベルは、山川光男と思しきおっさんがソリに乗って配達しているイラスト。
「山川光男 2019 ふゆ」は山形県の醸造界でも話題の一本だそう。今回の仕込みには新型酵母が使用されたことが業界の目を引いています。酒米は山形県産「出羽の里」を60%に磨いて仕込んだお酒です。
グラスに注いだときに立ち上がる香りは穏やかですが、やはりフレッシュ感のあるものです。口に含むと、フルーティなお米のワインを飲んでいるかのよう。雑味のないクリアで滑らか。するすると喉奥へと流れていきます。米の旨味や甘みはしっかりと出ているのですが、鈍重さはなくサラッとした美味しいお酒に仕上がっています。
「山川光男」は、山形を日本酒のブルゴーニュにへの想いで立ち上がった計画だそうです。そのあたりのお話も興味深いものがありますが、お酒のご紹介として、ラインナップは抑えられていますが、毎シーズンに発売される挑戦的なお酒は飲む前から期待度もあがります。新発売の情報をいち早くゲットしなければ入手困難なお酒もあります。気になる方はネットでリリースをこまめにチェックしましょう。
『山川光男』を醸す四つの蔵元と代表銘柄をご紹介します。
「水戸部酒造」の『山形正宗』
「水戸部酒造」は1898(明治31)年に創業された、山形県天童市にある蔵です。代表銘柄の『山形正宗』は、辛口でバランスの良く切れ味が特徴で、昔ながらの木槽で搾られる手作りを大切にした日本酒です。
杜氏の水戸部朝信さんは子供の頃についたあだ名が「稲造」という、今では農業法人も立ち上げ、稲作にも力を入れる米を愛する人物です。
「楯の川酒造」の『楯野川』
「楯の川酒造」は、1854(安政元)年創業の山形県酒田市にある蔵です。2010年よりは、全量純米大吟醸のみを作る方針へと転換し、オーソドックスで丁寧に醸された、こだわりの日本酒作りをしています。その一方で、全国初のヨーグルトなどを使用したリキュールを市販化したりと、新しい酒の開発にも意欲的な蔵です。
日本酒の醸造には「米を磨く」という工程があります。平たく言えば、米を削る作業のことです。どれくらい「磨いた」のかを表す指標を精米歩合といい、精米歩合が60%と表記されていればお米の40%を削り取ったということです。一般的なお酒では3割から4割、大吟醸酒になると6割以上の部分を削りとってしまいます。し...
「小嶋総本店」の『東光』
「小嶋総本店」は山形県米沢市にある蔵です。米沢藩上杉家御用酒屋でもあった、410余年の歴史ある蔵で、代表銘柄の『東光』は国内外で数々の賞をとり、名酒と名高い日本酒です。近年は「東光 蔵開き」という、地元の米沢の料理と日本酒が楽しめる、日本酒ファンに嬉しいイベントを年に1回行っています。
「男山酒造」の『羽陽男山』
「男山酒造」は山形県山形市にある蔵です。〈地元に支持されるまじめな酒造り〉を掲げ、全国新酒鑑評会でも金賞受賞多数の実力派の蔵です。「男山と俺の酒を造る会」という、田植えから日本酒ができラベルまでをイベントとして参加できるという、ユニークな活動もしていています。
まとめ
『山川光男』は、山形県の酒蔵4社がユニットを組み、共同で醸造されている日本酒銘柄です。まるで人の名前のような銘は、各酒造メーカーの銘柄から一文字ずつを取り、名付けられました。
- 「水戸部酒造」水戸部朝信さんの『山形正宗』から《山》。
- 「楯の川酒造」佐藤淳平さんの「楯野川」から《川》。
- 「小嶋総本店」小嶋健市郎さんの『東光』から《光》。
- 「男山酒造」尾原俊之さんの『羽陽男山』から《男》。
同年代の仲間が集まり、結成されたこのユニットから生み出される『山川光男』は、テノワールを意識し、酒米には山形県産の米を主に使い、時に新しい地元酵母を使うなどし、地元に根ざした日本酒となっています。
ほっこりするようなユーモラスなキャラクター、《山川光男》が描かれた遊び心のあるラベルが特徴的なこの日本酒は、2016年に、「小嶋総本店」から発売され、以降は各蔵が交代で毎年3本ずつが送り出されてきました。
2019年において、これまでより1本多く出された『山川光男 2019 プレミアム』は、酒造好適米の〈雪女神〉を使用し、精米歩合を32%まで磨き、まさにプレミアムな山形の日本酒『山川光男』として作られました。瓶もプレミアムに合わせ、瓶に直接印刷を施したプリントボトルを使用しています。











