五橋

五橋(山口の日本酒)木桶造りやfiveシリーズの特徴や美味しい飲み方を分析

日本酒、気になる事調べものライターdencross
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「五橋(ごきょう)」は山口県岩国市にある、酒井酒造の醸す日本酒です。酒井酒造の創業は1871年(明治4年)で、150年近くの歴史がある酒蔵になります。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール

名前の由来

「五橋」、なかなか変わった名前のお酒です。「ごはし」とでも読むのでしょうか。お酒をよく見ると、ラベルにローマ字でしっかりと名前が表記されていました。「ごきょう」と読みます。そうか、このお酒は「ごきょう」というお酒だそう。さらにラベルを眺めていると、「!}、なるほどと合点がいきました。
五橋」を醸造しているのは、山口県岩国市にある明治4年創業の老舗酒蔵、酒井酒造です。酒蔵の所在する岩国といえば、真っ先に思い出させるのが、岩国市内を流れる錦川に架かる錦帯橋ではないでしょうか。
錦帯橋
錦帯橋は、石積みの橋脚に木造の太鼓橋が5連に連なる美しい橋。日本の三名橋や三大奇橋のひとつに数えられています。「五橋」の由来は、岩国のシンボルである錦帯橋よりいただいたことは言うまでもありません。「五橋」のラベルの名前の下には、しっかりと錦帯橋の姿が描かれています。
「五橋」の名の由来は錦帯橋ですが、ただ単に岩国の象徴である錦帯橋よりいただいたわけではありません。「錦帯橋の優美さを願い心と心の掛け橋に」との思いをこめて命名したそうです。

仕込み水

錦帯橋の架かる錦川は山口県で一番大きな川で、その流域には豊かな自然も残る清流です。酒井酒造ではそんな清流錦川の伏流水を仕込み水として使っています。実は錦川の伏流水は、まろやかで柔らかい口あたりのお酒ができるという軟水なのです。酒蔵は、この素晴らしい軟水に恵まれた土地に酒蔵を開きました。「五橋」は軟水で仕込まれています。軟水仕込みの酒は女酒ともよばれています。しなやかで優美、口あたりがソフトでまろやかな酒質が特徴とされています。
酒蔵の敷地内には3本の井戸が掘られていて、それぞれ深さは10m、30m、40mあります。仕込みの際にはこの井戸から水を汲み上げて使っているのです。
この水の特徴はなんと言っても「超軟水」であることです。硬度は1.5で、一般的な日本酒の仕込み水の硬度からするととても軟らかな水になります。
五橋の名前が全国に知られるようになったきっかけも、この超軟水の仕込み水にあります。1947年(昭和22年)の春、五橋は全国新酒鑑評会で第一位を獲得します。実はこの時代の日本酒は硬水で仕込まれることが当たり前でした。硬水の方が発酵がスムーズに進み辛口の酒が醸せます。そのため硬水で仕込まれることが多く、新酒鑑評会で入賞する酒も硬水で仕込んだものが大半でした。
しかしそんな時代に、五橋は軟水で仕込んで第一位を獲得したのです。このことが日本酒関係者の注目を集め、全国的に有名になりました。超軟水で仕込まれる五橋の酒質は、ソフトで香り高いものです。

酒米

日本酒の酒米
酒井酒造では、もちろん米にもこだわっています。近くの山口県柳井市伊陸には「トラタン村」と言う村おこしのグループがあります。ここの伊陸で生産された米は昔から品質が良いとされてきました。そこで酒井酒造では1996年(平成8年)からこのトラタン村の人たちと手を組んで、山田錦の契約栽培を始めたのです。

ただ栽培をお願いするだけでなく、栽培の途中で蔵元と製造担当者が視察に行き稲の生育状態を確認したりもします。トラタン村の中に自家精米所も建ててしまいました。このように、美味しいお酒を造ってお客様に届けるためには原料となるお米にこだわることが重要なのだ考えているのです。
そしてそんなお酒を造ってくれる杜氏や蔵人にもこだわりを持っています。米も水もこだわりの地元のものを使うのだから、それらの原料から美味しいお酒を醸すにも地元の人でなくてはダメだというこだわりがあるのです。

木桶仕込み

杜氏は山口県大津郡出身の大津杜氏で、蔵人もみんな山口県出身者なのだそうです。「五橋」の醸造にはもうひとう、面白い取り組みがなされています。桶仕込み。文字通り、日本酒醸造の原点、木桶で仕込むというもの。
昔は木桶で仕込まれていた日本酒ですが、戦後はホーロータンクが主流になっていました。ホーロータンクの方が衛生的に良いなどの理由があったのですが、最近は木桶仕込みも見直されてきています。
今、日本中のほとんど酒蔵では、ホーローやステンレスのタンクで日本酒を醸造しています。いや、日本酒だけではありません。醤油や味噌などの日本の伝統的な調味料も大方がそうでしょう。ホーローやステンレスのタンクが悪いわけではありません。衛生的で合理的、機能的で融通が利きます。だからこそ完成した日本酒の逸品が全国的に沢山存在します。
しかし一方で、あえて日本酒醸造の原点回帰して、失われたものを見付け、新たなお酒の魅了が発見されるかもしれません。
ですが、桶仕込みは簡単ではありません。大きな木桶を造る技術を持つ職人も数少なくなっています。ある意味、日本酒の伝統技術の承継とともに、桶職人の技術承継の機会でもあります。

五橋 五(five)シリーズ

そんな木桶で醸されたお酒が「五(five)」のシリーズです。3月発売の生原酒はピンク、6月発売の夏らしい生酒はブルーなど、それぞれ季節感のあるお酒にそのイメージに合ったロゴカラーを決めて販売しているのです。以前は5種類だったのですが、2020年4月に目が覚めるような超辛口のレッドが新発売となり、現在は6種類あります。

錦川の伏流軟水で仕込まれたお酒2選

錦川の伏流軟水で仕込まれたお酒2選

五橋 木桶造り 生もと 純米酒

そうして、木桶でで仕込まれたお酒が「五橋 木桶造り 生もと 純米酒」です。フッとほのかに香る木香が心地よいお酒。木の香りに負けずに主張する純米酒ならではの力強い鮮やかな香りもスーッと抜けていきます。口あたりは柔らかく、うま味と甘みがバランスよく広がっていきます。しかしながら、キレのある酸味が力強く追いかけてくるので、後口のよいキレ味抜群のお酒に仕上がっています。冷やしてよし、常温でよし、燗酒でもよしとあらゆる温度で愉しめる、懐の深いお酒。日々の晩酌にもピッタリです。

五橋 純米吟醸

五橋
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五橋 純米吟醸」は、全量を山口県産の酒米を55%まで磨いて仕込んだお酒。フワッとした優しくフルーティな香りと軽快で柔らかな口あたりに、軟水仕込みのお酒であることを感じさせるお酒。ふくらみのある豊かなお米のうま味がしっかりと、甘み酸味もバランスよく仕上がっています。しかし、柔らかな口あたりの濃密な味わいのあとに、しっかりとキレる潔さをみせるやや辛口という感じのお酒です。

「五橋」には、季節限定酒で是非とも試していただきたいお酒や、通年品の大吟醸酒などもラインナップされています。いづれも、錦川の伏流軟水で仕込まれた、あたりの優しいお酒です。すべてではありませんが、柔らかくまろやかな酒質でありながら、しっかりキレるお酒が多く、お料理とあわせても、引き立ててくれるお酒が多いのも特徴的です。
気になる方。一度試してみてはいかがでしょう。口に含むと柔らかでまろやかな味わいに、岩国城と錦帯橋が瞼に浮かびませんか?

実績

令和元酒造年度の山口県新酒鑑評会では、以下のお酒が受賞しています。

  • 「吟醸の部」では「五橋 大吟醸 西都の雫」が最優等賞を受賞
  • 「純米の部」では「五橋 純米大吟醸50%」が最優等賞を受賞

蔵元の信念は「当たり前のことを当たり前にやる」。そんな酒井酒造の醸す日本酒、どこかで見かけたらぜひ味わってみてください。

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