石鎚

石鎚(愛媛伊予西条の日本酒)緑ラベル・夏吟・VANQUISHの特徴や美味しい飲み方を分析

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日本酒「石鎚(いしづち)」は愛媛県にある石鎚酒造株式会社の醸すお酒です。石鎚酒造の創業は1920年(大正9年)で、100年の歴史がある酒蔵になります。

日本酒、気になる事調べものライターdencross
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そんな石鎚酒造が蔵を構えるのは、その酒名の由来となった「石鎚山」のふもとの愛媛県西条市です。

※この記事を書いた日本酒ライターdencrossのプロフィール

環境

ひょうたん池の桜
「石鎚」は、愛媛県の伊予西条にある石鎚酒造が醸造する日本酒。西条といえば酒処として知られていますが、その西条ではありません。酒処で知られる西条は広島県。こちらの西条は愛媛県です。かつての国鉄(現JR)は、全国に同じ名前の駅名をつけるときは、その所在する地方の名を付けていました。ですから、鉄道の駅は伊予西条となっています。もっとも、酒蔵の最寄駅は伊予氷見で、こちらも富山県の氷見とと区別するため、伊予が付けられています。
「石鎚」は、 全国新酒鑑評会金賞やワイングラスでおいしい日本酒アワード最高金賞など、毎年のように錚々たる賞を受賞し続けていあるお酒としても知られています。

「石鎚」の名の由来

石鎚山
「石鎚」の名の由来は当然石鎚山からでしょう。石鎚山は四国の最高峰にして、近畿地方以西の西日本最高峰の山です。また、古くからの山岳信仰の山でもあり、日本7霊山のひとつにも数えられています。石鎚山の頂上のひとつ弥山には石鎚神社山頂社が鎮座しています。また西日本最高峰ということもあって登山客も多い山ですが、頂上への道のりはなかなか険しく、3か所も鎖場があります。

酒造り

1回の仕込みに使う原料米は500~1000kgと、小規模です。洗米から吸水、蒸しの工程もていねいに行い、さばけが良く香りも良い蒸米に仕上げています。アルミ製甑を使い、ボイラー蒸気の間接噴射型で蒸しているそうです。麹造りはタライ麹法で、突き破精型の吟醸麹になるようにしています。
もろみを搾るためには、平成13酒造年度から復活させた酒槽でゆっくりと袋搾りを行っています。また平成29年には自動圧搾機も導入したそうです。
石鎚酒造の目指す酒造りは「食中に活きる酒造り」です。「石鎚」を愛してくださっているお客様のために、3杯目から旨くなる酒を造ることを目指しています。
商品は純米酒、純米吟醸酒が中心です。使用するお米はそれぞれの品種による特性を活かすことを考え、そのお米の良さである香味をどうお酒に反映させるかと研究されています。

清冽な名水を使用

愛媛県西条市のうちぬき
もちろん石鎚酒造が仕込み水として使っているのも、この石鎚山系の湧き水です。
「石鎚」を醸す石鎚酒造がある西条の街は、名水百選にも選ばれた「うちぬき」と呼ばれる自噴水で知られています。自噴水は、石鎚山系に降った雨や雪が年月を重ね地下から湧き上ってきた地下水です。「石鎚」は、この石鎚山系のクリアで清冽な名水を使用して造られています。
蔵の敷地内には清らかな湧き水がこんこんと湧き出る井戸があり、これを使って美味しいお酒を仕込んでいます。ここの水は超軟水で、この水を使って仕込んだお酒は香りが良く、ビロードのような柔らかさがありながらもスッキリとした口当たりのお酒になります。
また、この地の背後には周桑平野が広がっており、酒造りに必要な水と米が揃った土地でもあります。さらに、瀬戸内海気候といわれる晴天が多く降雨が少ない気候で、酒造りにも適した風土が揃っています。
酒造りに適した環境のもと「石鎚」は、「食中に活きる酒造り」を目指した酒造りを行っています。確実かつ丁寧な仕事をを信条に醸造されたお酒は素朴で柔らかい味わいのお酒といわれています。

名水の湧き出す伊予西条のお酒「石鎚」2選

石鎚 純米吟醸 緑ラベル

「石鎚」には、様々タイプのお酒がラインナップされています。蔵元がスタンダートとしているお酒が「石鎚 純米吟醸 緑ラベル」です。蔵元が標榜する「食中に活きる酒」に対する一つの回答がこのお酒になります。
純米吟醸ですから、フレッシュで果実感ある香りがあります。口に含むとふくらみのある米のうま味しっかりながら、そのあとにくるしっかり主張のある酸味がよけいな雑味をかき消すように洗い流してゆくようです。お酒の仕事は料理に寄り添い、料理を引き立てるという仕事しっかりこなすために、過剰なうま味や甘みが、米の発酵で造られる、気品のある酸味によってきれいに流されていくような感じがする味わいです。後口は爽やかなで清涼。常温でも冷酒でも愉しめますが、あえて日向燗や人肌燗、ぬる燗にして味わうのも面白いかもしれません。

石鎚 吟醸酒 夏吟

石鎚 吟醸酒 夏吟」は、5月から7月までの季節限定酒。淡い青みがかった透明感あるボトルが涼やかな一本です。使用する酒米は蔵元こだわりの麹米に50%に磨いた阿波山田錦、掛米には60%に磨いた愛媛県酒米「松山三井」の組み合わせ。
グラスに注ぐとしっかりとしたトロピカルでフルーティーな香りが立ちあがります。口すると柔らかく優しい口当たりのあと、穏やかにスーッと米のうま味が立ち上がります。舌の上を軽やかに流れながらしっかりとしたうま味と甘みが跡を引きながら、最後に現れる爽快感のある酸味いよってそっと消えてゆきます。クドさ全くありません。夏にスッキリとしたキレとうま味のあわせもつお酒に仕上がっています。

このほかに「石鎚」には大吟醸酒や季節限定酒などが多くラインアップされています。どのお酒も、丁寧で確実な仕事によって造られた、細やかで「食事に合うお酒」を目指して造られました。「石鎚」の飲み口に興味がある方は是非ともお試しください。

酒造の実績

家族中心のこじんまりとした酒蔵ですが、受賞歴は多くあります。1999年(平成11年)、杜氏制を廃止し家族中心の酒造りをすることになった年から毎年、全国新酒鑑評会に出品するようになりました。今までに20回出品してきて、入賞以上の成績をおさめたのは17回にものぼるそうです。平成27年からは4年連続で通算8回の最高位金賞も受賞しています。
また「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020」では、「石鎚純米大吟醸VANQUISH」が最高金賞を受賞しています。この時は、このお酒以外にも4酒が金賞を受賞しました。

石鎚 純米大吟醸 VANQUISH

石鎚 純米大吟醸 VANQUISH」は愛媛県産松山三井を25%まで精米した、究極の石鎚を謳うお酒です。「VANQUISH」とは「打ち破る、征服する」という意味で、今までの酒造りの常識を打ち破り、進化したお酒になっています。石鎚酒造が新たな挑戦として造ったお酒ですので、機会があればぜひ飲んでみてください。

家族中心のこじんまりとした酒蔵で醸す食中に活きる酒

石鎚酒造は家族4人が中心となって酒造りを行っている、こじんまりとした酒蔵です。もともとは西条市の隣に位置する新居浜市で、庄屋をやっていました。西条市に移り廻船問屋を営んだ後、1920年に酒造業を始めて石鎚酒造を創業しています。
以前は備中杜氏、越智杜氏、伊方杜氏など5人の杜氏が「石鎚」を醸してきましたが、1999年(平成11年)に杜氏制を廃止して家族中心での酒造りに変わりました。それからすでに20年となります。
お父さんである酒蔵の社長自らが「釜屋」さんとなり、長男・次男・それに長男の奥様もそれぞれに作業を分担しています。そして家族で力を合わせてお客様から喜ばれるお酒を造ろうと頑張っているのです。
次男は以前、茨城県結城市の武勇酒造で蔵人をしていたことがあります。実家の石鎚酒造で杜氏がいなくなることになり、社長である父親から相談をされて戻ることにしたそうです。
蔵元家族中心で酒造りを行っているからこその利点もあります。小さな規模での仕込みだからこそ、一つ一つの工程を確実にていねいな手作業で行うことができるのです。このような手造りの酒は、大型の仕込みを行っている酒蔵では難しいでしょう。

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