「天明」は、人気の日本酒銘柄の一つです。福島県の地酒として知られるこの銘柄は、季節感を大切にしており透明感のある味を表現しています。
蔵元は長い歴史をもち、伝統を大切にしながらも新しい試みを続けてきました。「天明」は現在から数えて一世代前の蔵元が作り上げた銘柄であり、それまで日本酒づくりでは当たり前と思われていた杜氏の制度を廃止してつくられたそうです。
ここではそんな「天明」の魅力についてお伝えしていきます。日本酒好きの方はもちろん、普段は飲まない方もぜひ目を通してみてくださいね。
※この記事を書いたお酒ライターAnchanのプロフィール
天明の歴史
「天明」は、福島県の会津にある曙酒造によって造られているお酒です。
酒造の歴史は古く、明治時代までさかのぼります。もともとは味噌を作る蔵だったそうで、創立者であった鈴木幸四郎氏が地元の米の上質さに気づき酒づくりをはじめたことがきっかけです。
歴史の長い蔵ですが、シンプルな酒造りだけではなく個性を大切にしていることで知られています。たとえば二代目以降の杜氏についてですが、当時は酒造り=男性の場所というイメージが強かった中で、曙酒造は三代続けて女性が杜氏を務めていました。また近年では純米酒や吟醸酒づくりに力を入れるため、杜氏制を廃止し地元の蔵人と家族でお酒を作るようにしています。
名前の由来について
「天明」という名前は、夜明けや明け方を意味しています。酒造の名前に使われている「曙」も同様の意味を持ち、伝統だけに捉われず新しいことに挑戦していくという意味が込められているそうです。
蔵元自身もまさにチャレンジ精神の塊のような方で、もともとは一般企業に就職されていたそうですが、先代の病をきっかけに家業を継ぐことを決意されました。1から酒造りを勉強し直し全国の蔵元を尋ねるなど努力を重ねたそうです。
震災を乗り越えて

2011年の東日本大震災は、会津の地にも大きな被害を与えました。曙酒造も例外ではなく、母屋は崩れ倉庫にあった多数のお酒も失われてしまったそうです。
被害を目の当たりにし、何かできることがないかを探したところ、日本酒を使いみんなを笑顔にするという答えに行き着いたそうです。
その後、「ハート天明」などのシリーズを生み出し、売上の一部を寄付するなど、地元福島の復興に努めてきました。
受賞歴と評判

天明シリーズの人気は、地元福島だけに留まりません。優しいタッチのお酒は全国で愛されており、多くのファンがいます。数々の品評会で受賞歴があるなど、その実力は確かなものとなっています。
たとえば2020年5月に行われた「全国新酒鑑評会」で入賞したほか、2019年開催の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2019」で銀メダルを獲得するなど世界規模で評価されていることがわかります。
そのほかにも「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」で最高金賞も獲得しており、幅広い層から人気を集めています。メディアなどで紹介されることも多く、売れてしまうのが早いので、見かけたら是非手に取ってみてください。
仕込み水と酒米
天明の仕込み水に使われているのは町内の「辰巳の水」と呼ばれる水です。米のうまさを引き立てるのに適した軟水で、この水によって天明らしい透明感が表現されています。
酒米は会津で作られるさまざまな酒造好適米が使われています。丁寧な酒づくりを行い季節ごとに変わる米の旨みを最大限に引き出しており、定番商品だけでなく季節限定のボトルなど、特定の時期にだけ楽しめるシリーズもあります。
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天明のおすすめシリーズ7選

ここからは、たくさんある天明シリーズの中でも特におすすめしたいものを7つご紹介していきます。日常に楽しめるお酒から贅沢感を感じられるお酒まで、天明には沢山の種類があります。ぜひお酒選びの参考にしてみてくださいね。
天明 槽しぼり 純米本生
天明には定番商品がいくつかあり、それぞれラベルの色が異なります。これは「空色の天明」と呼ばれており、水色のラベルが目印です。透明感と酸味が感じられる爽やかなお酒で、食中酒にぴったりです。穏やかで優しい口当たりなので、万人受けする生酒です。
- 原料米:会津坂下産 五百万石
- 精米歩合:50%(麹)・65%(掛)
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:+3.0
- 酸度:1.7
天明 槽しぼり 純米火入れ
こちらは「オレンジの天明」と呼ばれるものです。火入れ処理により、生酒タイプよりも酸味が抑えられてよりまろやかになっています。麹に山田錦、さらに掛米として五百万石、亀の尾、夢の香が使われており、それぞれの長所を活かしたバランスの良い味わいがポイントです。- 原料米:山田錦(麹)・五百万石等(掛)
- 精米歩合:50%(麹)・65%(掛)
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:+3.0
- 酸度:1.5
天明 槽しぼり 純米吟醸 本生
3種類の酵母を使ったこちらのシリーズは、「みどりの天明」と呼ばれ親しまれています。しっかりと磨き上げた酒米を使った純米吟醸のお酒は、1口含むと程よい立ち香と甘味を感じられます。そして後からしっかりとしたキレと喉越しの良さを感じられる、まとまりのある味わいです。生酒由来の生まれたての新鮮さと、季節を追うごとの熟成を楽しめる1本です。
- 原料米:山田錦
- 精米歩合:50%(麹)・55%(掛)
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:±0
- 酸度:1.7
天明 一年熟成 純米大吟醸 火入
1年の熟成で無濾過の良さを楽しむことをコンセプトに作られた、「茶の天明」です。生のまま冷蔵貯蔵し、1年後に火入れ処理を行っています。熟成による鮮やかで豊かな味わいが特徴で、冷やしても燗にしても楽しめるボトルです。オールマイティなお酒なので、食中酒にもピッタリです。
- 原料米:山田錦
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:+1.0
- 酸度:1.4
天明 ちょいリッチ47 亀の尾 純米大吟醸 無濾過生原酒
曙酒造
「天明 ちょいリッチ47 亀の尾
純米大吟醸 無濾過生原酒」
福島県会津坂下町の蔵。麹米は兵庫県産「山田錦」40%精米
掛米は会津坂下産「亀の尾」47%精米爽やかで上品な香り、やわらかい米の
旨味、やや爽やかな酸味のバランスの
取れた心地良い余韻とキレのある後口。#日本酒 pic.twitter.com/5bFY5JKMTB— ぽん (@takepon1302) August 11, 2019
ちょいリッチシリーズは、その名の通り贅沢感を出している限定醸造のタイプです。使われる酒米で複数タイプがあり、こちらは幻の米と呼ばれる「亀の尾」を使用したものです。
酸味がありシャープでキレのある飲み口が特徴のお酒は、冷やして飲むとより美味しく感じられるでしょう。
- 原料米:兵庫県産「山田錦」(麹)、会津坂下産「亀の尾」(掛)
- 精米歩合:40%(麹)・47%(掛)
- アルコール度数:16~17度
- 日本酒度:±0
- 酸度:1.9
天明 純米おりがらみ本生 中取り零号
天明 『中取り零号』純米生酒
おりがらみ 本生 R1BY
使用米 : 会津坂下産 瑞穂黄金天明 新酒第一号の中取り零号 !!
コンセプトは 旨・甘・酸のバランスです。
新酒ならではのフレッシュ感があり美味しいですよ~ pic.twitter.com/ZJT58Kdgz0— ちい (@fwnt4453) November 6, 2019
おりがらみとは、うっすらと濁っている日本酒のことです。お米の旨味をより感じられる、贅沢感のあるお酒です。
特にこのボトルは中取りといい、日本酒をつくる過程で取れる1番美味しい部分を瓶詰めしたタイプになります。
酸味、旨味、甘みのバランスが絶妙な限定酒で、さらにコストパフォーマンスにも優れた1本です。
- 原料米:瑞穂黄金
- 精米歩合:65%
- アルコール度数:15~16度
- 日本酒度:−2.0~−4.0
- 酸度:2.5~3.0
天明 焔(HOMURA) 山廃もと 特別純米本生
冬の燗酒にぴったりな、山廃仕込みの天明です。温めることでふくよかな酸味と香りを感じられる、伸びやかなシリーズです。天明らしい透明感も感じられるお酒は、おでんや鍋料理などの冬の食卓にぴったりです。- 原料米:山田錦、五百万石
- 精米歩合:60%
- アルコール度数:16度
- 日本酒度:+2.0
- 酸度:1.8
天明のおいしい飲み方について

使用米や醸し方によってシリーズごとに味わいの異なる天明は、それぞれに合った飲み方があります。
たとえば夏季限定のボトルや、吟醸酒のものはしっかりと冷やして飲むのが相応しく、生もとタイプなどは温めることで味の広がりを楽しめるでしょう。季節によって選ぶお酒や飲み方を変えるのもいいですね。
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