福寿の歴史や特徴について
『福寿』の蔵元は、兵庫県神戸市「株式会社神戸酒心館」です。
灘五郷といわれる地域の一つである東灘区、多くの有名な日本酒の蔵元がある地で、1751年(宝暦元年)に創業し、日本酒を造り続けてきた「福壽酒造」は、1995年の阪神淡路大震災で蔵が全壊してしまいました。同じく被災した「豊澤酒造株式会社」は1868年(明治元年)に大阪で酒卸業を創業し、1887年に酒造業を起こした蔵元でした。蔵は神戸市東灘区にあり、清酒『酒豪』を作っていましたが、阪神淡路大震災で被災し、現在は『酒豪』の銘は大関に譲渡しています。
阪神淡路大震災から2年後の1997年、ともに「株式会社神戸酒心館」を設立し、蔵の復活を遂げることとなりました。
再建の際に、酒の苦手な人でも楽しめるようにと設計された「神戸酒心館」では、蔵見学(要事前予約)も行っており、敷地内の販売店舗では無濾過生原酒の量り売りや、季節限定酒の試飲があります。また、蔵の仕込み水を使って作られた自家製の豆腐やそば料理が楽しめる店「さかばやし」などの施設もあり、日本酒好きだけにとどまらない神戸の観光スポットとなっています。
福寿の酒造り
代表銘柄の『福寿』は、《福禄寿》にちなんでつけられた銘柄です。5名の蔵人を中心に秋から春にかけて作られる酒は、手造りのため生産量は限られますが、量は追わず、丁寧な酒作りに徹しています。酒米に兵庫県産の山田錦を、仕込み水には西宮で湧出された宮水(みやみず)を使い、麹も箱麹法(はここうじほう)という完全手作業から醸される『福寿』はまさに灘の日本酒です。
ノーベル賞公式行事で提供
この小さな蔵が一躍有名になったのは、2008年のノーベル賞受賞晩餐会で『福寿 純米吟醸』が供されたことがきっかけです。
福寿 純米吟醸
実績
2016年、IWCに日本酒部分が設立されて10年目を迎えたことから、兵庫県が灘に誘致しておこなわれた、IWC(インターナショナルワインチャレンジ)のSAKE部門にて、『生酛(きもと)純米 壱』が純米酒部門で、『寒造り』が本醸造部門で、それぞれ金賞を受賞し、さらに「神戸酒心館」の名が知られることとなりました。
生酛(きもと)純米 壱
2019年ノーベル賞受賞晩餐会で供されたお酒「福寿」
2019年のノーベル賞授賞式に続く晩餐会。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんをはじめ受賞者の皆さんが、万雷の拍手でその偉業を讃えられました。
さて、その晩餐会の会場で日本酒が供されたことをご存知ですか。
福寿 純米吟醸
ノーベル賞公式行事の提供酒として選ばれた日本酒が、晩餐会のメニューに名を連ねていたのです。そのお酒は、「福寿 純米吟醸」。
「福寿」は灘のお酒。古い言い方をすれば、「灘の生一本」です。
なかでも「福寿」、全国新酒鑑評会で金賞をほぼ平成22年以来毎年受賞しているほか、インターナショナル・サケ・チャレンジ、インターナショナル・ワイン・チャレンジなどの錚々たるコンクルートで数々の受賞歴を誇っています。
そんな「福寿」、製造法や種類によりいくつかのバリエーションが存在します。代表的な商品について解説していきましょう。
「福寿 純米吟醸」は先にご紹介したようにノーベル賞公式行事提供酒にも採用されたお酒。クールな淡い蒼い瓶が目印の一本。グラスに注ぐと立ち上がる香りは控えめな感じながら、しっかりとフレッシュで豊かな果実感があります。口に含むと米の深い旨味がそっと立ち上がってきます。甘みは際立って主張せず、微かな酸味とうまく調和し、あと味もサッパリとした味わいに仕上がっています。調和のとれたキレのよさは、食事のおともにもピッタリで、和食だけではなくフレンチやイタリアンとも好相性でしょう。
福寿 純米酒 御影郷
鮮やかなグリーンのボトルからグラスへお酒を注ぐと、フレッシュで瑞々しい香りがフッと立ち上がってきます。口に含むと、ガツンとくるタイプではなく、じんわりと優しい米の旨味が広がっていきます。しっかりとした米の旨味の陰にスッキリとした酸味があります。灘の男酒の伝統の、キレのある辛口。あと味がスッキリ爽やかで、絶妙の余韻が残しながら、スーッと消えて行きます。まるでワインのようといわれるように、しっかりとした旨味のある料理とあわすと、両方が引き立つ、べすとマッチングを生み出します。
ここで紹介した以外にも、大吟醸の「福寿」や、数量限定の原酒、発泡酒などもあります。どれも、灘の生一本の伝統と「福寿」に懸けた蔵元の思いのつまった逸品ばかりです。機会があれば、一度は召し上がっていただきものです。
日本酒「福寿」のおいしい飲み方
日本酒「福寿」と言えば、灘五郷の一つである神戸酒心館で醸されるお酒です。
特に昨今、日本人がノーベル賞を受賞した際に振る舞われるお酒としてその名を知られるようになりました。
そんな福寿の特徴は、灘の男酒でありながらも繊細さが感じられ、食前酒にも食中酒にもなる万能選手であるところだと言えます。
冷酒・常温・ぬる燗で楽しむ
おいしい飲み方は、純米大吟醸や純米吟醸であれば、冷酒や常温で、純米酒「御影郷」は案外ぬる燗でもほのかに開いてくれるので、まろやかさの中にキレを感じることもできるはずです。
日本酒ハイボール・福寿のソーダ割り
ほかにも、最近ですと、日本酒ハイボールなる飲み方も推奨されており、福寿のソーダ割りは、すっきりしたのどごしの中に、酒米の甘みがアクセントとなり、女性にも好まれること間違いありません。
カクテル風
少し趣向を変えて、ロックグラスに氷を浮かべていただくカクテル風にしてみるのも、冷酒とはまた違った味わいを楽しめるでしょう。
昨日買ったゆず日本酒カクテルの素に、福寿いれて飲んだ♡超ンマい(^^)北海道で買って来た北一硝子のお猪口も可愛いし♡明日も頑張るっ♪ pic.twitter.com/ZmvI67gVg2
— の。@手指振盪甲状腺機能亢進?! (@sai5niwaraereba) March 16, 2018
ほかにも、アイスクリームやジェラートに回し掛けて、大人のアフォガードとしてお召し上がりいただくのも、デザートであり、食後酒のようにもなるため、あらためて福寿の魅力を再発見できますよ。
また、夏場であれば、少し凍らせてシャーベット状にしていただけば、日本酒フラペチーノのようにもなり、若い人や日本酒に馴染みのない方でも抵抗なくご賞味いただけるはずです。
ところで、日本酒をおいしくいただくには、酒器選びも大切になってきます。
たとえば、冷酒であれば切り子の繊細なグラスで、常温やぬる燗ならお猪口で、氷を浮かべるならロックグラス、デザート風にするならカクテルグラス、スパークリングを楽しむならシャンパングラスや薄張りのタンブラーなどが良いでしょう。
日本酒「福寿」の合う料理
さて、ここからは、そんな福寿に合うお料理をご紹介していきたいと思います。
どこに出しても恥じることのない正真正銘の日本酒である福寿は、何を差し置いてもまずは、和食との相性が抜群です。
具体的に思い浮かべていただきたいのは、会席のコース料理のようなラインナップがあげられます。
先付・椀物・向付・鉢肴・強肴・止め肴のいずれを合わせてもベストマッチすること間違いありません。
旬のお野菜を炊いたものや、新鮮なお刺身、それにお蕎麦やお豆腐などを合わせることも王道です。
とはいえ、和食だけでなく、ステーキや中華など割と味が濃厚でこってりしたお料理に合わせても、それに負けない強さを持っていると言わしめる何かがあると思います。
きっと、その有能さこそが、福寿がここまで愛されるようになった理由であると言っても過言ではないような気がいたします。
神戸酒心館ホームページ
さかばやし TEL:078-841-2612
アクセス:〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17 TEL:078-841-1121